2014_07
09
(Wed)15:51

瓦解3

こんばんは。
あさ、です。

ちまちま書いていたら、終わってしまいました。
あれ?

何でも大丈夫!な方のみ、スクロールお願い致しますね。
ごめんなさい。








《瓦解3》  最終話


夕鈴らしく綺麗に片付けられた室内。
無駄なものが一切ないのは、仮暮らしが身についての事だろう。

地に縫い付けた浩大の始末は後でいい。
あの脚ではどこへ逃げようともすぐに捕まる。


今夜は、闇夜。
夜目の利く浩大には必要ないだろうが、夕鈴には灯火が必要だ。
もっとも奥まった部屋から漏れる微かな明かりが、彼女の居場所を知らせた。

_____あそこに彼女がいる。

夢ではない現実の質量が実感となって黎翔を包んだ。

一歩足を踏み出すごとに浅くなる呼吸。
己の鼓動が耳鳴りを起こし。
指が、手が、腕が。
足までもが。
震える。


夕鈴。

そこに、いるのか。


「・・・・っ。」

ようやくの事で呼吸を整え、扉を開ける。

眼に映ったのは、恋い焦がれた薄茶の髪と白い肌。
橙色の灯に照らされた、愛しい妃の寝姿。

淡く揺れる睫毛が少し痩せた頬に影を作り。
仄かな明かりが唇に艶を落とす。

「_____っ!」

日々夢に見続けた夕鈴の寝顔は。
自分の記憶の中の彼女と同じ、清らかさで。

「・・・へい・・・・か・・・へいか・・・」

その穢れのなさと、夢見心地で幸せそうに笑う夕鈴から紡がれた言葉に。
己の過ちを瞬時に悟った黎翔の顔色が変わった。



踵を返して表に出る。
一度灯火を見た眼が暗さに馴染むのを待って目を凝らすが、浩大の姿は既になく。

「浩大っ!!どこだ?!」

加減なく突き立てたはずの剣が綺麗に拭われて置かれていた。

「っ!!浩大っ!!」

声を張り上げるが、答えはなく。

「くっ!」

足元の泥濘が、浩大がどれ程の血を失ったかを教えてくれて。
噛み締めた唇から鉄の味がした。

「浩大・・・どこだ・・・」

そう遠くへ行ってはいまい。
そういう風に、傷をつけた。

じっと地面を見ると、浮き上がる黒点が目に入った。
浩大の、血。

点々と続くそれは、母屋へ向かい。
あろうことか、軒先で途切れ。
隠密の使う鉤縄が、屋根からぶら下がっていて。

「・・・・へー、か。な、にやってんだよ・・・早く、会いに行けよ。」
「こ、」
「道具の心配してる場合じゃないだろ?」

明るい声が、降ってくる。

「お妃ちゃん、起きたみたいだ。頼むよ、行ってやってくれよ。」
「こうだ」
「俺じゃダメなんだっ!!ここまで言わすのか?!馬鹿野郎っ!!」

声を荒げ、肩で息をして屋根に立ち上がる隠密の姿は、なぜか大きく見えて。

「・・・すまん。礼を言う。」
「礼より酒がいいな。」

もういつもの声に戻った浩大は、どかっと屋根に腰を下ろした。

______ここが、俺の場所だ。

そう言わんばかりに。







「随分酷くやられたのう、小僧。」
「手加減してくんなかったからさー、仕方ねえよ。」

あれから、一月。
今度こそお妃ちゃんを捕まえた陛下は、俺に休暇をくれた。

温泉付きの離宮に特別ご招待、だとさ。
俺の脚をやっちまったこと、お妃ちゃんにこっぴどく叱られて凹んでたからな。
こっちは役得だ。

「なんでじいちゃんも離宮にいんの?」
「おぬしの治療のためじゃっ!!」

絶対違う。
毎日遊び暮らしてるだけだもんな、このじいちゃん。

でも、まあ。
おかげで。

「うん、だいぶいい。もう動ける。」
「そうか?」

俺は思ったより早く、役目に戻れそうだ。

俺は優秀な隠密だかさら。
負う役目も、ハンパねえ。

壊れかけたこの国を陛下を、作り直す事のできる。
この国の民が生んだ最後の切り札――――「正妃」。
その警護が、俺の役目。

俺は。

枯れない花の、花守。
祝辞   
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C.O.M.M.E.N.T

ありがとう。

最終話まで書いてくれてありがとう。
花守のようにこの春の中に、『羽梨』が
居続けることを、許して頂けますか?
あさ様、大好き。
公開告白でした。

2014/07/09 (Wed) 23:12 | 羽梨 #- | URL | 編集 | 返信

Re

羽梨さま大好き。
「この世の春」の半分は羽梨さまのものですよ。
嫌と言われても、居場所はいつもここに。

2014/07/09 (Wed) 23:18 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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2014/07/10 (Thu) 20:22 | # | | 編集 | 返信

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