2014_06
16
(Mon)17:46

道程6

だめだ、纏まらなかった。
何が書きたかったんだ自分。

通しで読むのが憚られるこのSS。
どうかスルーして下さい。

せっかく書いたからUPしよう。

そんな軽い気持ちでブログを運営しております。
見逃して下さい。(汗)






《道程6》 最終話です



汀家に異変が起きた事を知った陛下の動きに迷いはなく。
止める間もなく、王都に降りた。

氾か、柳か。
どちらでもよく、それ以外でもいい。
王宮に巣食う闇の尻尾が少しでも掴めさえすればよかった。

それなのに。

氾も柳も、彼らの息子達によって動きを封じられ。
あろうことか、こちら側であったはずの周が花嫁を匿うと申し出たのだ。

「囮にするのは結構ですが、臨時花嫁の身を危険にさらすのは陛下の本意ではございますまい。」

さらりと舞台裏を語られて尚足掻くほど、自分は馬鹿でないつもりだ。

「何も囮に使うわけではありません。・・・ただそこに在るだけで闇が釣れる、誠に都合のよい存在なだけですよ。」

隠す必要ながないなら、本音を言えばいい。
ただそれだけの事。

「正直ですな。」

周はやや呆れたように呟き。

「李順殿は、命が惜しくは?」
「ありませんね。」

即答する側近を、気の毒そうに見つめた。

そんな周に、李順は笑いかける。

「私は陛下の道具の一つに過ぎませんから。壊れるまで働くだけです。」
「・・・道具。」

ええ。
と軽くいなして。
李順は短い手紙をしたためた。

「邸の者にこちらをお見せ下されば、彼らは宰相の指示に従います。あとはご自由にお使い下さい。」

黙って部屋を出て行った周を無言で見送り。
李順は自嘲めいた笑いを浮かべ。
重苦しい気配に語り掛ける。

「_____陛下から、私を見張るよう命じられましたか。」

天井裏の気配が動く。

「その様な腕では道具にすらなれませんよ?せいぜい捨て駒が良い所です。」

諦めたように静まる天井。

「陛下にご報告を。李順は王宮内の自室から一歩も出ず、何もしない。後はご随意に、と。」

返答代わりに微かに軋んだ天井から、気配が消え。

「_____何もしませんよ、陛下。」

今頃は自邸に到着しているであろう国王を思いながら。
李順はじっと闇に目を凝らす。

彼女を王宮に本物として迎え入れるなら、虎視眈々と後宮入りを狙う輩の掃除から始めねばならなかった。
そうでなくば、彼女を待ち受けるのは。
かつて多くの妃達が歩んだのと同じ道程。

王の寵愛だけを縁に生きて行かねばならぬ、心を削るような日々。

処分するはずだった『臨時花嫁』を生き延びさせた時点で、今日の日が来ることは決まっていたのかもしれないが。
それでも。

彼女を逃がしてやりたかった。

例え囮として果てようが、柳や氾に囚われて生きるより。
いや、後宮で生きながら死ぬよりは遥かに人間らしい。

彼女らしく終わらせてやることが、かつての上司の務めだと。
そう思っていたのに。

成す術もなく見守るしかできない。

不幸にすると分かっていても尚、彼女を手放せぬ我儘な主。
命を削ると知っていても尚、陛下の手を取るであろう彼女。

彼らが歩むこれかの道程は、明らかで。
その先にある幸せを掴む頃には、きっと。

「身も心もボロボロですよ?陛下。」

暗澹たる気持ちを抱えたまま。
李順は決済待ちの書簡を整理し始めた。







「李順さんの邸だよ。」

浩大が教えてくれて、なるほどと思った。
無駄が一切ないと言えば聞こえが良い、殺風景なお邸。
以前行ったことのある紅珠の邸とは正反対だ。

「一つ聞いてもいい?」

広い部屋に通された私は、どうしても聞いておかなきゃいけなかった。
いくら考えても分からないから。
当たって砕けるしかない。

「浩大は、私を殺す?」
「____ははっ、何言ってんの、お妃ちゃん。」

僅かな間が、答え。

「そうよね。ごめんね変なこと聞いて。」

夕鈴はいつも通りの笑顔を浮かべた。



____やられた。

そう、思った。

「浩大は、私を殺す?」

完全に油断していた俺は、間抜けな返事をして。
お妃ちゃんに答えを与えてしまった。

もちろん現時点でお妃ちゃんを殺すつもりはねえ。
その逆で、護衛しているくらいだ。
だがもしも、陛下に命じられたら。
俺は道具だから。
躊躇いなく奪うだろう。

お妃ちゃん。
アンタ、すげえよ。

俺を油断させて、答えを引き出した。

「・・・こりゃ手こずるかもよ、へーか。」

きっと今頃こちらに向かっているであろう主を思い浮かべて。

隠密は複雑な表情を浮かべた。









二年後、章安区。
汀家。

「もう来ないでって言ってるでしょう?!何度も何度も何度もっ!!同じことを言わせないでっ!!」

毎朝恒例の怒声が響き渡り。
人々は一日の始まりを知る。

「今朝も威勢がいいねえ、夕鈴ちゃんは。」
「あの方もいい加減しつこいねぇ。」
「そりゃ、あんた_______」

狼だから。

その先を口にする命知らずは、几商店の跡取りくらいなもので。
庶民が大っぴらにその名を呼ぶことも憚られるこの国で一番貴いはずの人物は。

「ゆうりーん、お願いだから、ね?」
「小犬でも狼でも、ダメなものはダメなんですっ!!陛下の馬鹿っ!!」

門前払いを食らい続けても尚食い下がる。
毎朝毎朝、そのしつこさは最早日常と化すほどで。

『もう騙されませんからね?!陛下の事なんて、信じてあげませんっ!!』

二年前のあの日。
李順の邸で求婚を断られてから、毎朝。

『信じてもらえるまで、諦めないから。』

有言実行を地で行く狼陛下は、下町に降りてくるようになったのだ。

当初は仰天していた人々も、間近で見る狼陛下の容貌の涼やかさと、狼とは名ばかりの小犬の様な態度に毒気を抜かれ。
また、彼らが良く知る娘が国王陛下相手に切る啖呵の爽快さにも気を良くし、今では誰もが微笑ましく国王と少女の痴話喧嘩を見守っている。



あの日。

もう誰も信用しない。
そう決めた夕鈴は頑なに黎翔を拒み。
周を青褪めるほど、国王を手こずらせた。

「こんな状況で、誰をどう信じろっていうんですか!陛下のばかっ!!」
「ゆーりん・・・」

怒り方すら真っ直ぐな彼女には、敵わず。

「ごめんね、ごめんね?」

狼狽える黎翔は、ただ謝るしかできなかった。

いつまでも戻らぬ王を迎えに来た李順は、あきれ返り。
周は無言で天を仰ぎ。
水月はいつの間にか姿を消し。
方淵は王を罵倒する庶民に今にも掴みかかりそうになっているのを浩大に抑え込まれ。

「夕鈴、お願いだから僕のお嫁さんに」
「いやですっ!!」

何度断られても諦めぬ国王はひたすらに謝り続けて今日に至る。


もう、白陽国では誰もが知る。

狼陛下とその花嫁の、犬も食わない夫婦喧嘩。


「ねえ、夕鈴。」
「____もうっ!!」

いい加減にして下さい!

そう言いかけた花嫁の唇が塞がれて終わる、毎朝の喧嘩は。

「んーーっ!んんっ!」

ぱたん、と国王が後ろ手に扉を閉めて、終わりを告げる。

「・・・・どうしても、だめ?」
「だ・・・め、って、ちょ、やぁっ!___んっ!」
「もう今更なのにー。」
「あっ・・・やっ!」
「____ねえ、夕鈴。ほんとに、いや?」
「・・・もうっ!」

眉を下げて苦笑する夕鈴と、嬉しげに尻尾を振る黎翔。

本当は、もう。

「・・・もう、怒ってなんてないんです。」
「うん、知ってる。」

柔らかな頬に口付けながら、嬉しげに。

「もう少しで本当に迎えに来るから。」

黎翔は小さく囁く。

「随分遠回りしたけど。」

申し訳なさそうな黎翔の声に、夕鈴は笑顔で返し。

「陛下と一緒なら、どんなに遠くたって平気。」
「____君には敵わないな。」

くすくすと声を潜めて笑う二人の声が朝日に溶ける。


どんな道も、二人なら。
きっと、楽しい。

どんな苦しみも悲しみも、二人なら。
きっと越えて行ける。


浩大も李順さんも、宰相さんだって、水月さんだって方淵だって。
皆それぞれの道がある。

私の道は、陛下のそれと重なって。
いつか果てるその日まで、重なり続けるのだろう。

二人らしく、回り道をしながら。
眠り方   
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C.O.M.M.E.N.T

面白かった!楽しかった!
清々しく楽しい最後は、さすがあさ様!
最初から読んで来よ。
元気が出てきました。ありがとう。

2014/06/16 (Mon) 17:59 | 羽梨 #- | URL | 編集 | 返信

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2014/06/16 (Mon) 18:49 | # | | 編集 | 返信

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2014/06/16 (Mon) 21:11 | # | | 編集 | 返信

Re

羽梨さまへ
羽梨さま優しいっ。ううっ。
やりかけていた事が全部終わって気楽になりました。
すっきり。

2014/06/18 (Wed) 12:12 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

Re

慎さまへ
コメントありがとうございます。
李順さんもありがとうございます。
見つめ合って過ごしております。(おい)
すーてーきー。
ありがとうございます、ありがとうございます。

2014/06/18 (Wed) 12:14 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

Re

宇佐美さまへ
優しいコメントありがとうございます。
我ながら酷いと思いつつ、無理やり終わらせてしまいました・・・。
肩っ!
これ治るんですか?!

2014/06/18 (Wed) 12:15 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

二年も続くなんて…

こんにちは(^_^)あささま。
二度目のコメントです(^_^)
陛下、夕鈴がいなくなった途端の行動が早過ぎですよ!さっさと下町に来ますし(>_<)
夕鈴に求婚なんて言った氾柳二人は、命知らずですね(;^_^A
案の定、陛下に剣を突き出されてますし(>_<)
李順は李順で夕鈴を逃がしたかったのに、宰相にバレてしまうし(>_<)
夕鈴は誰も信じられない状態になってしまい、陛下が求婚しても断ってしまいますし(>_<)
それが二度も続くなんて…すごい夫婦喧嘩ですね(;^_^A
しかも毎朝、下町まで行って、求婚するなんて、諦められないですね(^_^)陛下は(笑)
とっても楽しく読ませて頂きましたm(_ _)m
お疲れ様でした(^-^)ゆっくり休んで下さいね(^-^)
ではまた(´▽`)ノ

2014/06/18 (Wed) 16:34 | 夕花 #- | URL | 編集 | 返信

Re

なんだかあれなSSでして、コメント頂けて嬉しいです。
陛下は待たされておりますが、案外楽しそうです。

2014/06/25 (Wed) 16:39 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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