2014_06
15
(Sun)22:00

気付き

こんばんは。
あさ、です。

まだ題名がついておりませんが、ストレス解消にちまちま書いたSSをUPします。
ものすごく細切れに書いたので、内容が繋がってないと思いますが、大目に見てください。
明日になったら下げるかもしれません。

未来夫婦設定です。

お目汚しですが。



タイトル付けました「気付き」です。そしてこれから誤字脱字をどうにか・・・あはは。






【設定 未来夫婦】

《気付き》


「行ってらっしゃいませ、陛下。」
「___ああ。また後で会おう。」

黎翔の指が、后の頬に触れ。
刷毛で刷いたように朱に染まるそれを楽しんだ王は。

名残惜しげに、指先を離す。



「・・・さて。」

遊びの時間だ。







次々と持ち込まれる案件を限られた時間で精査し、指示を出して。
補佐官を使いながら大臣達を別室に呼び出す。
独りで吠える気概などない輩は、個々に。
他者に聞かれたくない話も、個々に。
王宮に数多の部屋があるのはきっと、先人の知恵だろう。

「陛下、正妃様についてのお噂はご存知でしょうか。」

少し気小さいが真面目な高官がそう言い出したのは、そんな一室でだった。

「・・・」

無言で気色ばんだ国王を横目で確認し、李順が口を開く。

「正妃様の、噂?」

あくまで、明るく。
取るに足りない事のように。
だが笑わずに、側近は問い返した。

「・・・様々ございますが、どの噂でしょうか?」
「い、いえ・・・それが。」

口ごもる高官から、悪意は感じられず。
ただただその『噂』を案じているように見受けられる。

「・・・」

無言で彼を見据えていた黎翔は、この『遊び』を買うことにした。


誰に乗せられたのか。
いや、誰に踊らされているのかは知らぬが。
この人の良い男を隠れ蓑に正妃を貶めようとする輩は・・・・許さぬ。

黒髪の狼の笑みが深まるのを確認した側近は。

「______お話し下さい。」

死刑執行を告げるかのように、先を促した。







昼、後宮。

「あ・・・」
「あ、あれは。」

滅多な事では動揺せぬ侍女たちですら脚をすくませる程の勢いで、風が抜ける。
いや、風ではない。

「へ、陛下!」

必死の形相で走るその風は、狼陛下で。

「夕鈴っ!!!」

走り抜ける黎翔は、声高に妻を呼ぶ。

「正妃様は午睡のお時間で・・・っ!!」

薄く帳をおろした部屋の入り口で戸惑う侍女を突き飛ばさんばかりに。

「夕鈴っ!!」

黎翔は正妃の寝室に飛び込んだ。



「夕鈴、ゆう・・・。」
「・・・ん・・・」

ぶわっ、と風を巻いて寝台の帳を払った黎翔の前には、こちらを向いて横たわる妻の姿。
寝所の外では心配げな侍女たちがこちらを伺っているのが見て取れたが、今の黎翔にそれを気にする余裕などなく。

「ゆう、りん・・・?」
「・・・」

無言で眠り続ける妻の様子を屈みこんで注視し始めた。

「・・・ちょっと、ごめんね?」

申し訳なさそうに謝ってから、掛け布をそっと剥ぐ。
こちら向きに横たわる夕鈴の帯を少し緩めて。
ゆっくりと息づく膨らみに、耳を当てた。

とくん、とくん。

いつもより少し早い彼女の鼓動は規則正しくて。
うっかりするとこちらまで眠りに引き込まれてしまいそうなほど、心地よい。

黎翔の黒髪が夕鈴の頬を喉元を擽っても、彼女が起きる気配はなく。
少し表情を改めた黎翔は、沈思したのち浩大を呼んだ。

「・・・老師を呼べ。」
「はいよ。」

黎翔は天井裏の気配が消えるのを感じながら、先ほどの高官の言を反芻する。









「・・・薬?」
「はい。」

やや青褪めつつも彼が語るには。

「縁者に薬師がおりまして・・・ここの所、正妃様にお出しする煎じ薬の中身が変わったらしい、と。」
「聞いておらぬが。」
「私も初耳です。」

さらに声が冷えてゆく国王と静けさを増す側近の迫力にも耐え、彼は続けた。

「さきほど『噂』と申しましたが。この事にはおそらくまだ誰も気づいておりません。ですがこのままでは時間の問題かと。」

平伏し、叩頭して必死の形相で言い募る。

「私がまだ政務室で駆け出しだった頃、正妃様にお成りになる前のお妃様に叱責して頂いたことがございますっ。」

尋常でない彼の様子に、眉を顰めながらも。
黎翔はいつぞや夕鈴に正座で説教されていた彼の姿を思い出した。

「____そんな事もあったな。」

まだ臨時花嫁だった頃の妻を思い出し、頬が緩む。

「私はあれで目が覚めたのです。ですから、今回の事で少しでもご恩に報いたく・・・っ!」

まだ今一つ高官の言い分が解せぬ黎翔に。
冷水が浴びせられる。

「正妃様のご懐妊は、できる限り長く隠さねばなりませんっ!」

しん、と水を打ったような室内。

「なにとぞ、なにとぞ・・・正妃様をご無事に・・・っ!」

額を石床に擦り付けて懇願する高官の声だけが壁に吸い込まれてゆく。

ばんっ!と扉を打ち破らんばかりの勢いで黎翔が飛び出したのと。
ふぅ、と李順がため息をついたのは、ほぼ同時で。

「・・・本来でしたら、正妃様の薬について喋った薬師殿の首を斬るところですが。」
「はい。覚悟はできております。」
「きっと陛下はお忘れになりますよ。」

李順は平伏したままの高官の横に跪き、その肩に手を置いた。






「お呼びでございますか、陛下。」
「ああ。」

黎翔の声音の微妙な変化から、悟ったのだろう。
張元は深く辞儀をして、他には聞こえぬほど小さな声を出した。

「・・・まだ、正妃様ご自身も気付かれてはおらぬかと。」
「そうだろうな。」

夕鈴の事だ。
懐妊に気づけば真っ先に自分に報告してくれるだろう。

満開の桜の様な笑顔で。

それがどれ程の危険を呼び込むか気付かず、ただ、幸せに頬を染め。
何疑うことなく笑いながら僕に抱き付いてくれるだろう。

_______危なかった。

血の気が引いた。

もし彼が情報を漏らした縁者を庇い口を噤んでいたら。
後手に回るところだった。

「・・・夕鈴は、凄いな。」

昔の彼女が今の彼女を救った。

まっすぐな彼女の心根が、あの高官の心に届き。
彼女を______いや。

私を、救ったのだ。

「感謝せねばなるまいな。」

ふっ、と笑い。
黎翔は張元に向き直った。

「・・・夕鈴が今日まで無事でいられたのは、彼女が身籠らぬと思われているからだ。」
「御意にございます。」

張元は俯いたまま言葉を引き取る。

「臨時花嫁であったころから今日まで、五年以上。これまで身籠らなかった正妃はおそらく今後も孕まぬと奴らは高を括っておりますゆえ。」
「実際に夫婦となってからはまだ一年と経っておらぬ。」
「正妃が世継ぎを生まねばいずれは側妃を娶らねばなりませぬからのう。」

軽く反論する黎翔を無視して張元は言葉を継いだ。

「・・・そして陛下もあの眼鏡の若造も、その可能性を真っ向から否定はなさらぬ。それが」
「夕鈴の命を今日まで繋いできたのだ。」

そう言った黎翔に、張元が噛みついた。

「陛下っ!陛下は間違っておられますぞ?!」

たんっ、と卓に飛び乗り。
長身の国王と目線を同じくする。

「陛下のその態度がどれ程正妃様を傷つけたかご存じか?!」

誰よりも長く王宮に住まい、誰よりも黎翔をよく知る張元。
生まれて初めて得たかけがえのない女をどう守ればよいのか。
守り方を知らぬ王に、抑え込んでいた怒りが爆発した。

「自分は孕まぬ方が良いとさえ思い詰めた正妃様の心中を陛下はご存知か?!」

国王が側妃の可能性を否定せぬ事が呼ぶ憶測。
出自不明の正妃が生んだ世継ぎは望まれていないのだと曲解するには十分な根拠。
侍女たちや自分が正妃を労われば労わるほど深まる彼女の傷。

心痛から細る身体を保つために、苦心し。
どれ程の苦労を耐えてきたのか。

「小難しいことは我々の仕事じゃっ!陛下はただ・・・・ただ、喜んで下されっ!!」
「っ!」

襟を掴まんばかりに黎翔に詰め寄る張元と。
子どものように狼狽える黎翔。

「・・・喜んで、いい、のか?」

呟いた黎翔に。

「お喜び下され・・・陛下のご記憶に残る、父君や母君のように。」

そう答えた老師は。

「さ、正妃様がお目覚めのご様子じゃ!」

どんっ、と明るく。
国王の背を押した。




薄い帳の向こう側。

「・・・へい、か?」

まだ眠たげな、君の声。

「夕鈴・・・おはよう。」

僕の大切な大切なひと。


守り抜く。


唐突に、覚悟が決まり。

愛しさと嬉しさが猛烈に込み上げて。


「夕鈴っ!!」
「陛下?!」

まだ小さな我が子と君を同時に抱きしめた。

「赤ちゃん出来たかも・・・って、老師が。」
「え?!」

囁いた言葉に夕鈴の動きが止まり。
少しの震えが伝わる。

「すごくすごく、嬉しい。ありがとう、夕鈴。」

間違いなく伝わるよう、真っ直ぐに。

「・・・僕の子、産んでね?」

戸惑う茶色の瞳をしっかりと見つめて。

「ありがとう。嬉しい。」

繰り返す。

「・・・っ・・・へい、か・・・」

見る間に潤みだす瞳。
ぼろぼろ零れる涙は僕の胸元を濡らし。
どれほど彼女を苦しめていたのか、ようやく分かった。


ごめんね、夕鈴。


「守るから・・・・必ず、護るから。」

己の愚かさを悔い。
君を守る力と為そう。


「行ってくるね。」

ようやく泣き止んだ夕鈴を見つめると。
何かを悟ったらしく、きちんと僕を見返してくれた。

「行ってらっしゃいませ、陛下。」
「_____ああ。また後で会おう。」


行ってくるよ。

君を守りに。

奴らの馬鹿げた遊びに付き合うのは、これまでにしよう。

これからは。


狼の遊びの時間。
道程6   
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C.O.M.M.E.N.T

┃q・ω・∪ こんばんは♪

∪ノシ>ω<∪ノシ~~~~~♪♪♪←悶絶
あぁ…。
狼の本気のお遊びはとっても黒そうだわ←

2014/06/15 (Sun) 23:45 | 桃月 #- | URL | 編集 | 返信

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2014/06/16 (Mon) 22:15 | # | | 編集 | 返信

Re

桃月さまへ
コメントありがとうございます。
顔文字可愛いですね。
いつも楽しみにしております。
陛下の本気はどれほどなんでしょうか。
怖くて想像できません。(笑)

2014/06/18 (Wed) 12:11 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

Re

凛さまへ
コメントありがとうございます。
凛さまも優しい・・・っ!
こんなの読んで下さってありがとうございます。
嬉しいです!

2014/06/18 (Wed) 12:15 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

いいですね(^_^)

こんにちは(^_^)あささま。
この話、とってもいいです(^_^)
老師が夕鈴のために陛下を叱ってくれるなんて!
李順にも怒り心頭なんですね(^_^)
陛下にはもっとしっかり夕鈴を守ってもらいたいですね(^-^)
でも、これからの狼陛下は怖そうですね(>_<)
側妃なんて言ったら、辺境に飛ばされそうですね(;^_^A
ではまた(´▽`)ノ

2014/06/18 (Wed) 16:15 | 夕花 #- | URL | 編集 | 返信

Re

コメントありがとうございました。
お返事、すっかり遅くなりまして申し訳ございません。
老師ががんばったお話でした(笑)
陛下はもっと頑張ってもいいと思います!

2014/06/25 (Wed) 16:37 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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