2014_06
10
(Tue)19:40

道程3

こんばんは。
あさ、です。

今回は特に短いです。
でもキリが良いのでUPしてしまいます。

東京は今夜からまた雨。
しくしくと痛む肩が憎らしい。
早く治れっ!!
そして晴れろっ!!

友達と遊びに行きたいんだーーーー!!!!(わがまま)





《道程3》


夕鈴がいなくなってから。
何を食べても味はせず、目を瞑れば彼女の夢ばかり見る。
浅い眠りに倦んで剣を振るう夜が続き、身体は疲弊し。
とうとう李順までもが呆れたように小言を口にした。

ここは、王宮。
気を抜けば途端に足元を掬われ、命を落とす。
そんな場所。

「夕鈴。」

君を逃がしたのは正解だった。
今頃はあの温かな家で。
青慎くんとお茶でも飲みながらお喋りをしている頃だろう。

君が健やかに幸せに暮らす事が、僕の望み。
僕は君を守るために国を治め、生き抜く。
そう決めた。


政務室を出て、自室に戻る。
王の帰りを待っていた女官たちは、跪いていて。
軽く頷いてやると、夕餉の支度を始めた。

夕鈴が去ってから、女官たちは狼陛下と目を合わすことをこれまで以上に避けるようになった。
後宮管理人の報告によると、寵姫をあっさりと手放したことが原因らしい。

『掃除娘は、優しいお妃様でしたからのう。』

妃を慕っていた女官たちは、国王の冷酷さが許せないのだ。

だがしかし、そんな彼女らの仕事ぶりに非の打ちどころはなく。
王の食膳はあっという間に整えられ、淡い桜色の花茶が注がれる。

ことり

そつのない仕草で茶杯をふたつ並べるのは。
優秀な彼女たちのささやかな意思表示。

黎翔は今日も苦笑を浮かべて、それを見やり。

「もうよい。下がれ。」

音もなく退出してゆく女官達を見送った。



「・・・」

無言で箸を取り、冷菜を口に運ぶ。
毒ではなさそうな無味無臭の何かを咀嚼し嚥下する。

ふわり

微風とともに届く、花茶の香り。
甘くて爽やかな、彼女の香り。

「夕鈴・・・」

無意識に茶杯に伸びた黎翔の手が。
無粋な気配にぴたりと止まった。

「何事だ。」

天井裏に、声を投げる。
浩大ではない隠密の気配に、自然と気が尖る。

「汀家に異変が。家人が消えました。」

いかにも隠密らしい手短な答え。

「____っ!」

血の気が引いた黎翔を、優しい花の香りが包む。
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C.O.M.M.E.N.T

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