2014_06
05
(Thu)22:26

道程1

お気を付けください。
本誌ネタバレ含みます。

そして、多大に捏造を含みます。

苦手な方は、ご無理なさらず!


一発書きにつき、誤字脱字ご容赦くださいませ。
発見次第修正します。(確認してからUPしろ)


【本誌ネタバレ 過去捏造 むしろ全てが捏造】

《道程1》



運の悪いことだ。

目の前の娘は、兎のようにか弱く。
小刻みに身を震わせていた。

何も知らずに罠にかかった不憫な少女は。

王宮に巣食う狸どもをおびき寄せるための、餌。
いくらでも替りの利く都合のよい駒。

そして。

僕が初めて迎える妃。

唯一の、妃。







『____ごめんね、黎翔。』

記憶に残る母は、幸せだったのかどうか分からない。

後宮の全ては、母に辛く当たり。
表向きは寵姫を敬う女官たちも、陰では母を蔑んだ。

舞姫様。

母はそう呼ばれ、妃と見做されず。
いずれ枯れる花だと、誰もがそう囁いた。

でも、母は。
父の前では、花の様で。
幸せそうに笑っていた。

枯れることなく。


あの夜。

君を手放す覚悟を決めさせたのは、自分の心。
夕鈴を欲する自分を恐れたからこそ、覚悟が決まった。


『____ごめんね、黎翔。』


母と同じ思いを夕鈴にさせるのだけは、許せなかった。

下賤の母を持つ、狼王。
軍部寄りの、血濡れた王。

その寵姫の、末路は。
何処をどう考えても、悲惨だ。

最後の思い出。
君との、口付け。

僕の仮初の幸せ。
手に入れてはいけない、春。

手放そう。

そして。
僕は、君を。

守る。

ただの珀黎翔として。







「・・・汀夕鈴殿。」

私をそう呼んだ宰相は、相変わらずどんよりとした顔色で。
感情の動きが一切感じられないその表情は、いつもと同じ。

妙に、安心した。

「私は、もう王宮とは無縁の者です。」

本当の事を正直に言う。

「王宮での事は、何も覚えておりません。申し上げることは、なにも____」
「そうではなく。」

静かな声。

「貴女に伺わずとも、陛下の事はよく存じ上げております。今はそんな事よりも」
「聞くな、お妃ちゃん。」

すたっ、と夕鈴と周の間に降り立った浩大が、鞭を撓らせ。
周を睨み付けた。

「隠密。邪魔をするつもりか?」
「邪魔は、あんただ。」

ひゅっ、と空が裂かれた音がして。
周に向けて、刃が飛ぶ。

「浩だ_______っ!」

驚いた夕鈴の声は、すぐに塞がれ。

「汀夕鈴殿。貴女とご家族の安全は、私が請け負います。ここはどうか穏便に。」
「・・・むぐっ!」

顔色も変えずに周は夕鈴に猿轡を噛ませると、馬車に押し込んだ。

「氾が貴方を探しております。陛下のためにも、大人しくなさって下さい。」
「っ!」

外見に比して瀟洒な室内の馬車。
ふかふかの座席に大人しく座った夕鈴を、周は満足げに見やり。

「・・・隠密。お前も来るか?」
「当たり前だっ!」

得物を躱された浩大は、悔しげに。

「行先は?」

御者台に座る白陽国の宰相に声を投げる。

「・・・。」

その問いに答えが返ることなどなかったのは、言うまでもない。
道程2   
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