2000_05
07
(Sun)14:08

待ち人 3

縋り付く手に力が籠り、口づけが深くなる。

覆い尽くすように重ねられた唇から熱が移り、身体の芯に火が灯る。

まだ小さな命を守るように抱かされた温石。

じわじわと広がる温もりが、身体の内と外から夕鈴を包みはじめた。



夕鈴を正妃にするにあたり黎翔が作らせた湯殿には、扉ひとつで行ける。

不要な刺客を防ぐためと、黎翔の我儘から造られたそこから、甘いが控えめな花の香り。

身ごもっている正妃を気遣い、ほのかに香る程度に抑えられた湯の香り。


「へい、か・・・お湯の支度、できたみたい・・・」

口づけから解放された夕鈴はうっとりと目を閉じ。

このまま眠ってしまいたいくらいの安らぎに身を任せた。

「うん、そうだね。僕が運んであげるから、眠っていて?」

「・・・は、い。」

とろりと目を閉じた夕鈴の頬に軽く口付けて。

王は優しく后を運ぶ。




いつもの大きな手に、ゆっくりと衣装を脱がされる。

少し膨らみ始めたお腹を、そうっと撫でてくれる手は、とっても安心できて。

ふわふわの湯気と良い香りが、心地よい眠りに私を誘う。

抱き上げられた感覚があって。


「・・・おもく、なぁい?」


赤ちゃんがいるから、きっと重いんじゃないかしら。

夢見心地で聞くと、ふふっと笑われた。

何かおかしなこと、言ったかしら。

不思議だったけど、眠くて。

陛下の腕に身を任せる。


じんわりあったかいお湯と、陛下の温もりと。

とくん、とくん、とお腹の中で笑う赤ちゃん。

気持ちいい?

無意識に手をお腹に当てると、大きな手が被さってきて。


「・・・少し、大人しくしているんだぞ?」


お腹に向かって陛下が言った。





「ゆうりん・・・」

自分の声が掠れているのが分かる。


「待たせてごめんね。」

ゆっくり、優しく、と言い聞かせても。

自分が御せない。


少し膨らみ始めたお腹は神々しくて。

なだらかに続く臍から上の曲線が、際立つ。

掌で乳房を覆い、たぷんと揺らして。

その膨らみに、顔を埋めた。



「あっ・・・ん・・・やんっ!」

うっとりしていたら、陛下の顔が胸にあって。

以前より少し大きくなった乳房を両手で覆われた。


恥ずかしい。

身ごもって、変わり始めた私の身体。

陛下に、見られたくない。


一気に目が覚めた。




ばしゃっ、と湯が跳ね、夕鈴が起き上がる。


「どうした?!」

どこか痛いのかと慌てる黎翔に、夕鈴は懸命に首を振る。

「ち、ちがっ・・・陛下、見ないで下さいっ!!」

胸を覆い隠し、湯に蹲る夕鈴。

「・・・え?」

急なことに戸惑う黎翔を夕鈴の潤んだ瞳が見上げる。

「赤ちゃん、大きくなってきて・・・恥ずかしいから、見ないでっ!」

湯けむりの中、頬を染め。

膨らんだ腹部を隠すようにしゃがみこんだ、夕鈴。

正妃の身体を温めるために、少し生薬が入っているのだろう。

しばらくするうちに、夕鈴の頬はさらに真っ赤に染まってしまい。

「へいか・・・後ろ向いてて、下さい。」

我慢できなくなった夕鈴は、目の前で固まる夫に懇願した。




「恥ずかしいから、見ないでっ!」

え?なんでだ?

訳が分からなかった。

夕鈴の身体の隅から隅まで知り尽くしている自信があるのに。

爪先から髪の先まで。

もっと言うなら、身体の中まで。

恥ずかしがりなのは知っているが、何故、今この状況で?

眼前で見る間に赤くなっていく夕鈴。


「赤ちゃん、大きくなってきて・・・恥ずかしいから、見ないでっ!」

続く言葉でようやく腑に落ちた。


初めての子。

男の私には知ることのできない、身体と心の変化。

どのように変わろうが、夕鈴の全ては私のものだ。

不安が増しているであろう夕鈴に、それを伝えるのを忘れていた。

忘れていた分を足して伝えるとしよう。



「後ろ向いてて、下さい。」

素直に従うふりをした。





湯から上がろうとした途端、抱きすくめられる。


「ああっ!」

首筋に吸い付かれ、華を散らされる。

「やぁっ!」

乳房の形が変わるくらい掴まれて。

以前より大きくなったそれが自分でも分かるくらいで、恥ずかしくて。

身を捩った拍子に、脚の間に陛下の膝が割って入った。


救い上げあられるように乳房を揉まれて、脚を開かされる。

大きな掌が内腿を這い、秘所にたどり着いて、花芽を探る。


くちゅ


何もされないうちから潤っている自分が恥ずかしくて、いたたまれなくて。

「いやあっ!いやっ!だ、めっ!」

拒絶の言葉が口をつく。


「夕鈴、ゆうりん・・・」

陛下の優しい囁きが、耳に吹き込まれた。


「綺麗だよ、夕鈴。」

「・・・う、そ。」

「嘘じゃないよ・・・ほら、このお腹も。」

掌がお腹をくるりと撫でる。

「僕の子がいるんだ・・・かわいい。」

ふふっ、と陛下が幸せそうに笑う。

「この、豊かな乳房も。本当は、僕だけのものだけど・・・」

不満げに。

「少しだけ、子に貸してあげる。」

陛下が呟く。


髪の一筋から、爪の先まで。

私の全てが愛おしいと。

どれほど変わろうが、何があろうが。

例え、消え失せてしまおうが。

いつまでも、いつまでも。

私が愛しいと。

全てが自分のものだと。

言ってくれる。



陛下。

陛下。


「・・・ぎゅっ、って、して?」


もう、それしか言えなかった。




少しずつ、私の中に陛下が入って。

自分の中が震えて悦ぶのが分かって。

「あっ、あっ・・・あああっ!」

恥ずかしいくらい、いい。

「くっ・・・よすぎるっ!」

陛下の苦しげな声が、嬉しくて。

もっと気持ちよくなって欲しくて、腰を動かした。

向かい合って抱き合って。

胡坐をかいた陛下の上に私が座って、動く。

切なげに眉を寄せた陛下の顔。

熱い吐息。

胸をまさぐる手。

噛みつくような、口づけ。

夢中で腰を動かした。


「・・・くっ、あっ、ゆう・・・りんっ!」


陛下の代わりに動く私を切なげに見上げる陛下。

赤ちゃんを気遣って、陛下は強くは動けないから。

私が。

そう思ってたのに。


「ごめん、もう、だめ。」

「あっ!」

「____ここまでなら、挿れても大丈夫?」

「あっあっ!ん、だい、じょうぶ・・・っ!きゃぁっ!」

「ここ、気持ちいいんだ・・・じゃあ、もっと・・・こっちも。」

「やぁっ!」

「夕鈴のなか、熱い・・・」



温かな夜がゆっくりと更けていった。

C.O.M.M.E.N.T

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2016/07/29 (Fri) 07:33 | # | | 編集 | 返信

タカ様へ

よかったです~。
お気に召して頂けて嬉しいです、ありがとうございます。

2016/07/31 (Sun) 08:55 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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