2014_05
05
(Mon)16:11

待ち人 2

帰路です。
今は何処かしら。
新神戸らしいです。
岡山から書き始め、隣の座席が埋まったため、続きはまた後ほどに。
さすがに新幹線で鍵は無理でした!




【設定 未来夫婦】

《待ち人 2》



「すぐに湯殿の支度を。后の身体を温める。老し」

正妃を抱きかかえて現れた国王が命じるより先に、女官達が動き。

「正妃様っ、大事ございませんか⁈」
「まあっ!お顔の色が白く…!」
「まずは白湯を。温石はこちらに。」

黎翔からひったくらんばかりに、夕鈴を囲む。

「・・・。」

存在を無視されたかのような、黎翔。
温石を抱かされ、ふわふわの上着を着せかけられた夕鈴。
黎翔に抱きかかえられたままで長椅子に身を横たえ、白湯を口に運ばれる。

「わ」

私が飲ませる。

と言いかけたら。

「どれ、診せて頂きましょうかのう。」

老師が入室してきた。

目を瞑り脈をみて、顔色や眼をみる。
腹部の張りを確認し、慎重に診察する。

「身体の内から温めれば、大事ございません。」

ほうっ、と侍女や女官から安堵の溜息。

「ご心配おかけして、ごめんなさい。」

身を縮こまらせる夕鈴は、夫の胸に縋り、目を潤ませ。

「陛下が、迎えに来てくださるお姿が…見たかったんです。」

声を震わせた。

しん、と静まった居室。

そこにいる誰もが、知っていたから。

正妃がどれほどの思いでここに居て。
国王がどれだけの思いで今を作ったのか。

離れられない
放さねばならない

居てはいけない
居てほしい

離れ離れだった、長い月日。
全てを忘れさせる『時』すら。

二人の想いを消せなかった。


女官達は火鉢を置き。
侍女達は布団を温める。
老師は湯を沸かし薬湯を煎じ。

静かに、身を引く。


「夕鈴。温かく、なろうね。」

優しい声が、夕鈴の身体に火を灯す。

「ん…ふっ。」

湯殿から温かい湯けむりが漂い始めた。
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