2014_05
03
(Sat)10:19

待ち人

こんにちは。あさ、です。
ただいま東海道新幹線車中。名古屋です。
熱海から書き始めました、このSS。
暇つぶし程度にご覧下さいませ(^-^)

すいません。





【設定 未来夫婦】

《待ち人》


「では、いつもの四阿でお待ちしてますね!」

初夏のある日。

満開の躑躅が見事なのだと握りこぶしを作って力説する夕鈴があまりに可愛らしくて。

「…見てみたいな。」

翌日昼過ぎ、いつもの四阿で。
と、約束した。

のに。


「…李順。午後は夕鈴とやくそ」

「私から四阿には行けぬと使いを出しましたっ‼︎」

「…手回しがいいな…」

「ええ、お褒めに預かり光栄ですよ。常日頃溜まりがちなデスクワークを放り出して散策に赴かれましても陛下のお気は晴れぬでしょうし政務を放り出してお越しになったと知れば正妃様もさぞかしご心痛のことと」

「ーーー李順、よく分かったから。」

山と積まれた書簡。
五月晴れをバックにどす黒い笑みを浮かべる側近には、逆らわぬ方が得策だ。

夕鈴…ごめんね。

ふぅ、と息を吐いて黎翔は筆をとった。







「正妃様…そろそろ…」

少し強まった風。
冷たくはないが優しくはないそれが正妃の身体に障るのでは、と案じた侍女達は、四阿の椅子から動かぬ主に声をかけた。

「もう少し、だけ…」

微かに眉を下げて申し訳なさげに答える正妃に、それ以上進言できる者はおらず。

進み出た一人が、柔らかな肩掛けを夕鈴に着せかけた。

「ありがとうございます。」

ふわりと微笑む正妃。
妃がこれしきの事で礼を言うなど考えられないのに。
正妃がそれをするのだ。

侍女達は夕鈴を守るように四阿を囲み。
未だ現れぬ王を怨嗟した。







「まさか、もういないよね。」

日暮れ間近にようやく解放された黎翔は、息を切らして四阿に向かった。

風が冷えてきた。
もう流石に部屋に戻っただろうが、ひょっとしたら。

開けた視界の向こう。
約束した四阿。
正妃付きの侍女達。

「っ!」

夕鈴。
ごめん。

ようやく現れた国王を見つめる侍女達の視線は冷ややかで。
突き刺さるようなそれよりも気がかりなのは、愛しい…

「夕鈴!ごめんっ!」

妻のこと。


「いっぱい待たせちゃってごめん、本当にごめんね⁈」

小犬になってしまっている事を意に介さず黎翔は夕鈴をかき抱き。

少し冷えてしまったその身体を胸に包みこむ。


きっと待っている。
夕鈴なら、待ってくれている。

そう分かっていたはずなのに、何故。
これほど待たせた。

歯噛みした黎翔の胸から、小さな声。

嬉しそうな、優しい囁き。


「待つの、好きなんです。」

「え?」

「だって…待てば必ず陛下は来てくれるでしょう?今は。」

「っ‼︎」

「あてもなく待ったあの頃は…辛かったですけど。今は、待つの、好きです。」

抱く腕の、力が。
温もりを伴って強まり。
いつもより熱く感じる夫の頬が、肩口に埋まる。

「へいか?」
「今すぐ抱きたい。」

くすくす笑った夕鈴は、膨らみ始めたお腹を撫でて。

「まだまだ先ですよ?」

「いや、そっちもだけど、そうじゃなくて…」

口ごもる夫を不思議そうに見上げた。
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C.O.M.M.E.N.T

なんて!

素敵な話!
今すぐ抱いてあげて下さい。
いえ、温めてあげて下さい。
今は待つのが好き。必ず来てくれるからなんて。
可愛い過ぎて困りますね。
さあさあ、寝所で温めてあげて下さい。←しつこい

2014/05/03 (Sat) 15:17 | 羽梨 #- | URL | 編集 | 返信

つつじ

あさ様
天気が回復してほっとしております。
近所の天神さんでも、つつじが見頃です。
王宮だったらさぞかし見事でしょうね。
二人で見れたらなおさら。胸が締め付けられる程。
(つい、「キミのほうがキレイだよ・・・」の残念陛下を
想像)陛下、抱き潰さない程度に夕鈴を温めてあげて下さい。

2014/05/03 (Sat) 17:42 | ぶんた #uXAM18Kk | URL | 編集 | 返信

Re

羽梨さま
陛下、温めすぎました。←
じゃなくて。
夕鈴は可愛いですよねっ!
ああ、可愛い女になりたい。
無理か・・・ふふふ。

2014/05/08 (Thu) 17:34 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

Re

ぶんた様へ
コメントありがとうございます。
お返事、物凄く遅れまして申し訳ございませんっ。
つつじ、綺麗ですよねっ。
埋め尽くすように咲いてくれると、初夏を感じます。
あの蜜甘いんですよね。(いい大人が何をしている)
陛下、抱き潰しは・・・してません。たぶん。おそらく。きっと。

2014/05/08 (Thu) 17:36 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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