2014_04
11
(Fri)11:06

月夜

こんにちは。
あさ、です。

こちらは昨夕に一瞬だけSNSにUPしたSSです。
UPしてすぐに後悔して取り下げましてございます。

ちょっと嫌なことがあり。
激怒した勢いで書いた、一発書きSS。

それでも大丈夫、問題ない、と仰って下さるお心の広い方。

どうぞ宜しくお願い致します。




【設定 原作沿い】


《月夜》




「陛下は素朴な花が好みとか。」

囁かれる言葉。

「___お妃様には、ご機嫌麗しく・・・」


優雅な物腰と。

嫉妬と蔑みの視線。


・・・大丈夫。

これも、お仕事だもの。


夕鈴は鍛えられたお妃スマイルを浮かべ。

何事もなかったかのように、回廊を進む。


もう終わりを迎えた桜にとどめを刺すような、強い風。
花弁を巻き込み吹き荒れるそれは、さながら美しい嵐。


____どんな手を使って陛下の寵を繋いでおいでなのかしら。


含み笑いと共に呟かれた言葉が、頭をよぎり。

思わず足が止まった。


「・・・お茶に致しませんか、お妃様。」

先ほどの女官の言葉が届いていたのだろう。

気づかわしげに声をかけてくれた侍女。


「そうですね、皆さんでご一緒に花茶を頂きませんか?」

夕鈴はことさらに明るく答え。

侍女達はほっと息を吐いた。




「・・・っ。」

夜半。

灯りを落とした寝室。

夕鈴はどうにも気が晴れず、眠れずにいた。

「・・・私は偽物だし、気にする必要なんてないんだけど。」

でも、やはり。

不愉快には違いなくて。

「一言でも言い返してやれれば、すっきりしたのに!!」

沸々と怒りが湧く。

「~~っ、もうっ!!」

どうにも収まらず。


「浩大っ!いる?!」

夕鈴は天井に声をかけた。







「____お妃ちゃん、ほんとにやるの?」

「ええ、お願い!」


戸惑いながら問う浩大に、夕鈴は力強く頷く。


「きっと、気が晴れるから・・・お願い、浩大!」

「うーん・・・あんまり気が進まないんだけど・・・」

「お願いっ!!」


茶色の瞳が、少し潤んでいる気がして。
浩大は仕方なく手を差し伸べた。


「・・・・どう?お妃ちゃん。」

「_____う、わぁー・・・」


満月。
ぽっかりと浮かぶ、丸い月。

蜂蜜色のそれは、柔らかい光で後宮を包み。

あの、女官たちの上にも。

平等に降り注ぐ。

美しく。
清やかに。

優しく。


「き、れい・・・」

ぽろり、と涙が頬を伝い。


今、黎翔が隣にいて。

演技でもいい。

抱き締めてくれたら。


そんな分不相応な願いで胸がいっぱいになる。


「・・・へい、か。」

吐息と変わらぬ、小さな囁き。


甍の上。

月明かりに照らされて、瞬きもせず涙を流す夕鈴を。


「お妃ちゃん、お迎えだよ?」

「?」


浩大が目線で促した。




示されるがまま、眼下を見ると。

そこにいたのは。


「・・・天女のようだな。」


柔和な笑みを湛えた、黎翔。


「おいで。」

「・・・っ!」


いつになく、素直に。

その胸に飛び込んでしまったのは。

きっと、月のせい。



私は、偽物だから。

嘘でも演技でもいいの。


お願い。

今だけ、今だけは。


離さないで。
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