2014_03
20
(Thu)18:00

リクエスト第十四弾「懊悩」

こんばんは。
あさ、です。

昨日我が家にコタツがやって参りました。
子どもたちにとっては念願のコタツライフ。
立ってるものは親でも使う勢いで、誰もコタツから出ません。

もちろん、私も含めてですが。

子どもたちが小さいうちは設置できなかったコタツ。
私の一番好きな暖房器具です。
買い換えたばかりのノートPCは充電長持ちだし。
もうコタツに住める。(こら)


リクエスト第十四弾は、月影さまからです。
大変お待たせ致しました。
ごめんなさい!

「バイト時代設定で、夕鈴が恋の苦しさに、池で涙しているのを陛下がこっそり見てしまい、壮大な勘違いをするお話が見てみたいです!」

力不足で、リクエスト通りにとは参りませんでした。
ごめんなさい。

でも、お楽しみ頂ければ幸いです!

間違えて修正前のデータをUPしてしまいましたので、直しました!ごめんなさい!(3.20 18:44 修正版UP)
・・・まだどこか間違えてたらどうしよう。



【設定・臨時花嫁】

《懊悩》



「____陛下、そろそろ・・・」

どこまでも青い、空と。
爽やかに吹き渡る、風と。
広々とした、世界。

「借金が終わります、が。」

春の気配を感じさせる、しっとりと湿った風を感じながら。

「・・・わかった。」

黎翔は、立ち上がった。


これから、僕は。

君を。
不幸に、する。









「・・・父さん・・・」

届いたばかりの手紙を握りしめて、夕鈴は深々とため息をつき。
ざあっ、と水面を揺らす風に、目を向ける。


暖かくなった。

少し先に見える四阿の周囲には、ほころび始めた白い花。
そう、あの辺りで、最初の借金を教えられたんだった。

「そんなに強く叩いたつもりはなかったんだけどな。」

まさか、あんなに立派な衝立にヒビが入るなんて。

「高級品だから丈夫ってわけじゃないのね。」

二度目の借金の原因となった、ツボは。

「まあ、あれは割れると分かっていて投げたから、いいんだけど。」

でも。

最初の衝立がもっと頑丈だったら、ツボを投げたりしなくてもよくて。
借金なんて、最初からなくて。

ただ、割の良いバイト代と。
少しの恋心を、お土産にして。
今頃は。

「______普通に暮らしてたのかなぁ。」

なんて、考える。


『そろそろ、帰ってこられないか?』

短い、父からの手紙。
もうじき青慎も官吏登用試験に向けて本格的な準備に入るし。
勉学に集中させてやりたい。

掃除洗濯、買い物。
家の中の事に裂く時間なんてなくなる。

借金はもうすぐ終わるって聞いたし。
私が帰れない理由なんて、本当は、もうなくて。
ただ、私が。
陛下の側にいたいだけ。

初恋と呼ぶには大きくなりすぎたこの想いの行き場は。

「どこにも、ないわよね。」

時が止まればいい、と思う。



眩しく光る水面を見つめる夕鈴の頬を。
透明な雫が伝った。










「お嫁さんになって下さい」

かな。

いや、それとも。
ここは単刀直入に、

「僕と結婚して下さい」

はどうだろう。

いや、でも。
相手は夕鈴だ。

______今もしてますよ?結婚。

夫婦演技と混同されそうな気がする。

「・・・分かりやすくて、誤解されなくて、そして。」

絶対に、『是』と言わせる言葉は、ないだろうか。

「正妃なんて、さ。」

命は狙われるし。
嫌がらせは日常茶飯事だし。
国王並に忙しいし。
それに。
こ、こ、こ・・・

「子どもを、たくさん産んでもらわないといけないしっ!!!」

うわぁー・・・

夕鈴の子ども、可愛いだろうなぁ。

髪は、何色かな。
夕鈴の髪色がいいな。
瞳はきっと、紅だろうから。
それ以外は夕鈴にそっくりだといいな。

夕鈴そっくりの女の子が、僕を。

「・・・お父様、って・・・」

呼んでくれたら。

「・・・どうしよう。かわいすぎる。」

そんな事を考えているうちに。

「あ・・・夕鈴。」

黎翔は湖畔に佇む妃を視界に捉えた。



「ゆう_______っ!」

声をかけようとして、伸ばした手が止まる。

妃の衣装が、風に揺れて。
薄茶の髪が、靡く。
簪の代わりにつけている、花が。
煽られて、はらはらと散り。
夕鈴の涙も、花弁と共に風に乗って煌めいた。

その様は、儚げで。
触れれば消える、幻のようで。

ちょうど一年前の、今頃。
ありもしない借金を理由に君を縛り付けた、自分の、狡さが。
白日の下に晒されているようで。

「・・・ごめんね。」

先ほどまでの浮いた気持ちなど、吹き飛んだ。

悲しい、よね。
ここに居たくなんて、ないよね。

危険だし、嫌な事ばかりあるし。

狼陛下は______怖いし。


伸ばしかけたまま止まっていた手を、引き戻して。
黎翔は踵を返した。







「明日夕鈴を実家に帰す。」

王宮に戻るなりそう言って、黎翔は執務机に向かった。

「夕鈴殿を正妃にお迎えするのではなかったのですか?」

怪訝な顔をして、李順は眉を寄せる。
だが、俯いたまま書簡に目を落とす黎翔の表情は読めず。

「_____承知いたしました。」

解せぬながらも、了承する。

________最終的には、陛下に従うのですから。

軽く息を吐いて。

「・・・・」

無言で筆を走らせる主の前に、先ほど到着したばかりの書簡を積み上げた。





____山と積まれた書簡が、今は有難い。

何かほかの事に集中していないと、夕鈴の事ばかり考えてしまう。

何故、泣いていたのだろう。

悲しいからか。
苦しいからか。

いずれにせよ、私が彼女を引き留めていることが元凶なのだろう。

幸い、仕事だけは山ほどある。
彼女がいない寂しさを紛らわせることも可能だろう。

毎晩、意識を失うまで仕事をすれば。
くたくたになるまで鍛錬をすれば。
夢を見ることもない。


必死に書簡に向かう黎翔の姿には、鬼気迫るものがあり。
李順は深々とため息をついた。

______まったく、手のかかる。

「書庫に行ってまいります。」
「わかった。」

退室して、後宮へ向かう。

______いったい何があったのか。

「問い質すとしましょうか。」

日が傾き始め、風が冷たく感じて。
李順は足を速めた。








「・・・で、何があったのですか?」
「え?何、って・・・」

きょとんと自分を見つめる茶色の瞳は、いつも通りで。

「陛下と何かあったのでは?」
「?」

不審な点は見受けられない。

「・・・」

顎に手を当てて考え込む李順を、夕鈴は。

「あ、あの・・・陛下に、なにか?」

心配げに、覗き込んだ。


_____その様子を、紅い瞳が見つめていることに気付かぬまま。




「・・・近い。」

李順を覗き込む夕鈴の、顔と。
考え込む李順の顔が、近い。
近すぎる。

書庫へと向かったはずの李順の足音が違う方向に進んだのを不審に思い、つけてきたら。

「・・・逢引、か?」

物凄く近い距離で話し込む、二人。


ひょっとすると。
昼間の、涙の訳は。

「・・・李順、か?!」

射殺しそうな目で、己の側近を睨み付けながら。
黎翔はぎりっ、と奥歯を噛み締めた。








「_____?」

後宮から、書庫に回り。
資料を取って戻ってみれば。
そこにいたのは、どす黒いオーラをまき散らす、主。

先ほどまでの意気消沈ぶりとは打って変わった攻撃的な目が、こちらを睨み付ける。

「・・・何かございましたか、陛下。」

とりあえず、問うが。

「ああ、色々とな。」

噛みつくように返され。

「夕鈴が泣いていた原因は、お前だな?」

思いもよらぬ言葉が投げつけられた。





「は?!」

李順は心底驚いた風で。

「・・・?」

違和感を覚える。

「昼間、湖畔で泣く夕鈴を見かけたのだが・・・お前が泣かせたのではないのか?」
「なんで私が夕鈴殿を泣かせるのですか?」

何を馬鹿な、と言わんばかりの李順。

「つい今しがた、二人で会っていたではないか。」
「つけてらしたんですね?」
「____うっ。」

眼鏡がきらりと光り、口角が上がる。

「・・・陛下。要点を整理いたしましょう。」
「はい。」

李順はにっこりと微笑んで。
真っ直ぐに黎翔を見据えた。


「・・・つまり、夕鈴殿が泣いていた、と。それだけですね?」
「ちょっと李順、『だけ』って!」

「お黙り下さい。」
「はい。」

逆らわぬ方が得策だと判断して、黎翔は小犬の耳を垂れる。

「今日は風がありましたからね。目にゴミでも入ったんじゃないですか?」
「違うよっ!すごく頼りなさげで、儚げで!今にも消えちゃいそうでさ!」

「夕鈴殿が、儚い・・・惚れた欲目というやつですかねぇ・・・」
「なに?」
「いえ、なんでもございません。」

「・・・実は、昨日夕鈴殿のご実家から手紙が参りまして。」
「手紙?」
「ええ。その際、もうじき借金完済だとお伝え致しました。」
「・・・。」
「ですから、陛下。もし、夕鈴殿が悲しそうに見えたのだとしたら・・・・」
「っ!」

李順の言葉が終わるより先に、つむじ風のように黎翔は走り去り。

「・・・ったく、本当に手のかかる。」

あとに残された書簡の山々を楽しげに見やり。

「うまく捕まえてくださいよ、陛下。」

李順は朗らかに笑った。

_______手作りの菓子を携えこちらに向かっている未来の正妃と回廊で出会うであろう主の姿を想像して。










「後ほど陛下に茶菓をお届け下さい。」

李順さんに言われたとおりに、支度して。
心を込めて作った菓子を手に、回廊を渡る。

少し冷たくなった風が、肌寒いけれど。
これから陛下に会えるんだと思うと、自然と頬が熱を持つ。

_____喜んで頂けるかしら。

微笑みつつ、足を速める夕鈴の目に。

「夕鈴っ!!」

懸命に走り寄る黎翔の姿が映った。




______夕鈴。

あと少しでバイトが終わるから、泣いてたの?
それは、ひょっとして。
______僕に会えなくなるから、なのかな。

もし、もしも、そうなら。
僕は君を不幸にしても、いいのだろうか。
許してもらえるのだろうか。

近付いてくる、君。
僕のために作った菓子を、嬉しそうに抱き締める君。

_______幸せそうに、見えた。

だから、勇気を出して。

君を求めよう。

「夕鈴っ!!」

狼でも小犬でもない、僕の言葉で。

「君を心から愛している。本物の花嫁になってくれ。」

真っ直ぐに。

「ずっと、側にいて欲しいんだ。」
「へい、か・・・」

薄茶の瞳に浮かぶ、喜びの涙を。

「お嫁さんに、なってね。」

黎翔は優しく拭った。

C.O.M.M.E.N.T

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2014/03/20 (Thu) 18:48 | # | | 編集 | 返信

こんばんは、御無沙汰しております。
実は、リクエストを叶えて頂くのは初めてでして、どのように書けば良かったのか、悩んで悩んであのような形になりました。
しかし、後々考えてみると、さぞ作りにくい設定だったと思います。
あさ様、個人的我が儘を素晴らしい形にしてくださいまして、ありがとうございました。
もう、すっごく楽しめました!
幸せです☆
李順さんに嫉妬する陛下も、きらきらした涙を流す夕鈴にも、ニヤニヤしてました(笑)
このまま良い夢が見れそうです!
本当にありがとうございます♪

2014/03/20 (Thu) 22:29 | 月影 #- | URL | 編集 | 返信

ぶんた様へ

コタツからこんばんは。←
コメントありがとうございます。
李順さん、お母さんみたいですよね。
手のかかる息子を持った、賢母。
夕鈴は大変ですね。
頑張れ!嫁!

2014/03/20 (Thu) 23:23 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

月影さまへ

この度はリクエストありがとうございました!
ご無沙汰だなんてそんな。
お越し頂きありがとうございます。
リクエスト、嬉しかったです。
設定も、作りにくいのではなくて、私が下手くそなだけで!
ごめんなさいー!
我儘じゃないですよ?
気を使っていただいて恐縮です。
楽しんで頂くことが主眼の、リクエスト募集でしたので。
喜んで頂けて、本当に嬉しく思っております。
この度はありがとうございました!

2014/03/20 (Thu) 23:27 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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2014/03/21 (Fri) 00:16 | # | | 編集 | 返信

ちょこれーとぱふぇ様へ

李順さん、ご指名入りましたー!
派遣期間は何日がいいですか?
あんまり長期だと、U梨さまに怒られますので。
三日くらいでいいでしょうか。
コタツでSS。
敵は睡魔です。
頑張りますね。
負け戦決定ですが。(笑)

2014/03/21 (Fri) 00:23 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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2014/03/21 (Fri) 10:39 | # | | 編集 | 返信

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2014/03/21 (Fri) 14:11 | # | | 編集 | 返信

萌葱さまへ

もう、李順さん頼みと言うか・・・。
一家に一台李順さん。
でも、きっと怒られるんだろうな。
「掃除の仕方が成ってませんね。」
と言われるにきまっている。

2014/03/21 (Fri) 20:56 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

狛キチさまへ

もうすぐ本誌ですね。
ほんとに、どうなっちゃうんでしょうか。
落ち着きません。(いつもだろう)
拙いSSではありますが、楽しんで頂けて幸いです。
いつも懸命にお話を捻り出して楽しんでおります。
またお越し下さいませ。

2014/03/21 (Fri) 20:58 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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