2014_03
19
(Wed)21:48

リクエスト第十三弾「誤解」

こんばんは。
あさ、です。

リクエスト第十三弾は、yuka様から。

「官吏と楽しく話している夕鈴を見て、夕鈴がその官吏を好きと誤解した陛下が裏切られたと感じて臨時妃を一方的にクビに。
その後、しばらくしてそれが誤解で楽しそうだったのは陛下の話をしていたからと知り、後悔した陛下は、すでに吹っ切っていて戻る気のなかった夕鈴を頑張って口説いて本物妃に迎える。」

リクエスト通りにとは参りませんでしたが、頑張ってみました。
力不足で申し訳ございません。

お心を広くお願い申し上げますっ!


ほんの少し、オリキャラが出ます。
未来設定のお子様、桜花と。
李順さんの未来の奥様、芙蓉です。

すいません、つい。
出したくて。(おい)



《誤解》


「___ねえ、母様。あのお話、して?」

上手く寝付けぬ桜花は、よくお話をねだる。

このお話も。
桜花の大好きなお話のひとつ。









麗らかな、春の日。

隣国の大使との謁見が急に取り止めとなったおかげで、身体が空いた黎翔は。
今頃は南の庭園を散策中であろう、妃のもとへと向かった。


_____突然、僕が現れたら。

夕鈴、びっくりするだろうな。


浮き立つような春の気配に誘われるように、黎翔は足取りも軽く木々の間をすり抜け。

「_____ゆ、う・・・」

四阿にいた夕鈴に、声をかけようとして。

「・・・り・・・ん?」

一切の動きを止めた。


_____方淵?

そこにいたのは、妃とは犬猿の仲の、あの男で。

「・・・優しいんですね、方淵殿は。」
「なっ・・・!優しくなど、ないっ!」

こちらに背を向けている方淵の表情は見てとれぬが。

「そんなこと、ないと思いますよ?」

ふふ、と小さく声を立てて笑う夕鈴の頬は、輝いていて。
人払い済みなのであろう、二人きりの四阿で。

「・・・貴女の方こそ。」

見つめあう二人は、まるで。

・・・まる、で。

「_____っ!」

許さん。

怒りが血に乗って体中を駆け巡り。

許さない。

それしか、分からなくなって。


その後の事は。


「陛下、お止まり下さいっ!!」

李順の、必死な声と。

「人の話聞けよっ!陛下!!」

浩大の、真剣な声と。

「落ち着いて下され、陛下っ!」

老師の、叫び声だけが。

おぼろげに、記憶に残っていて。


ようやく我に返ると。

そこにいたのは、蒼白な顔で浅い呼吸を繰り返す、夕鈴。

「い、痛い・・・陛下、離して下さい・・・」

彼女の肩に食い込んでいるのは、自分の指で。

顔をゆがめて涙を流す夕鈴の、目に浮かぶのは。

「へいか・・・話を、きいて・・・」

_____怯え。

そうだな。
彼女は、臨時の花嫁で。
誰を想おうが、自由だ。

「_____汀夕鈴を、解雇する。」

自分でも驚くほどに。

「へいかっ!!」

冷たい声が出た。









「陛下が落ち着かれたら・・・また。」

李順さんは、そう言ってくれたけど。

あの時の陛下は、本当に怖かった。

「お妃ちゃん、ごめんな。」

浩大は、慰めてくれたけど。

もう、私は。

「・・・お世話になりました。」

後宮には、戻らない。


陛下。

大好きです。

大好きな、陛下に。
今年一番に咲いた桜を、お見せしたくて。
柳家の桜は早咲きだ、って、聞いたから。
一枝分けてもらおうと思っただけ、だったの。
陛下に見つからないように。

侍女さんたちは、人払いじゃなくて。
陛下に内緒の贈り物だったから、見張りに立ってくれていただけなの。
四阿の屋根には、浩大だっていたし。
李順さんだって、老師だって。
この事は知ってた。

桜、は。
陛下に春を運ぶ花だから。
陛下のお母様が好まれた花だって、知っていたから。

ただ、贈りたかったの。

_______でも。


「・・・出過ぎた真似をした、報いですね。」

バイトごときが、陛下に贈り物だなんて。
おこがましいにも程がある。

優しかった陛下の思い出だけを胸にしまって。
私は下町に戻った。

振り返らずに。









「______陛下、お話がございます。」

「・・・なんだ、李順。」

久しぶりに見た、李順の。

「夕鈴殿の事ですが。」
「・・・ああ。」

艶やかな、微笑み。

いつ以来だ?

薬が苦いからと解毒薬を飲まずに隠していたのが見つかった時か?
離宮を抜け出して刺客に襲われた時か?
敵陣に先頭切って乗り込んで毒矢を浴びた時か?

いや。

芙蓉を諜報に使おうとした時。
そうだ、あれ以来かもしれない。

「____陛下の完全な誤解ですよ。」

そう、李順は。

「夕鈴殿に許可を与えたのは、私です。」

本気で怒ると。

「彼女を正妃に迎えるおつもりだったのではなかったのですか?陛下。それなのに、こんな事でくだらぬ悋気を起こすとは・・・ふふ。ふふふ。」

やたらと。

「・・・ご自分が何をなさったか。しっかりと御理解頂かねばなりませんね。」

綺麗に。

「________宜しいですね?陛下。」

笑うんだ。



そして。

____まずい。

黎翔が、己の非を悟るのと。

「夕鈴殿以外を娶る気などないのでしょう?!早く連れ戻して下さいっ!!」

李順が大声で怒鳴ったのは、ほぼ同時で。

「陛下っ!大変だ、お妃ちゃんがっ!」

浩大が駈け込んで来たのも、ほぼ同時だった。









「・・・ホントに、いいのか?」
「いいのよ。」

帰ってくるなり店に駈け込んで来た幼馴染の、頼み事は。
王都以外での仕事の斡旋。

「ちょうど、北の離宮の下女を頼まれてたから、こっちとしては渡りに船だが・・・」
「お給金もいいし、ちょうどいいの。ありがとう。」

こいつは、頑固だから。
頭が冷えるまで、見知らぬ土地で暮らすのもいいかもしれない。
幸い場所は王宮管轄の離宮だから、安全だ。
北には几商店の出店もある。

「明日の朝、発つぞ?」
「ありがとう。お願いね。」

夕鈴はいつも通り、明るく笑った。





自分でもびっくりするくらい、心が穏やか。
最後に、陛下を怒らせちゃったけど。
それが返ってよかったのかもしれない。

「・・・嫌われちゃった、かぁ・・・」

怒らせて。
見事に嫌われたから。
諦めもついた。

「まあ、もともと叶うはずもなかったんだから。」

そう。
何も。

____変わらない。

何処にいようと、誰といようと。

「______いつまでも、味方ですよ。」

そう。
この想いを忘れなければ。
それでいいんだ。

私らしく、前を向いて。
まずは、一歩。

「さあ、明日から新しい仕事よ!」

夕鈴は元気よく歩き出した。




「ただいま、青慎っ!いまお夕食・・・っ?!」

元気よく扉を開けた夕鈴を出迎えたのは。

「本当に、ごめん!!」

直立不動で最敬礼する。

「僕が悪かった!君の話も聞かず、嫉妬して・・・ごめんっ!!!」

この国で一番尊いはずの。

「なんでもするからっ、なんでも言うこと聞くからっ!許して!」

国王陛下。

「___は、い?」

面食らった夕鈴は、固まり。
黎翔は、焦りを募らせた。

「き、君が僕に桜を、って!李順から聞いてっ!えっと、君の借金が、あと少しで終わるから、そしたら、君を正妃に、って、周も了解してくれてっ!李順も賛成で、大臣たちにも根回ししてて、それなのに、僕、君と方淵が楽しそうに話してるのを見て・・・頭に血が上って・・・」

「・・・は、い?しゃっ、き、ん、せい、ひ・・・?ほーえ、ん?」

夕鈴の眉間に、皺が寄る。

「ご、ごめんね、ごめんっ!なんでもするから、お願いだから!戻ってきてくれ!」
「・・・」

_____ああ、神様。

この目の前の、国王陛下は。

「僕のお嫁さんになって!!」

一体、何を。

「結婚して下さいっ!!」

仰っていらっしゃるのでしょうか______


夕鈴は、薄れゆく意識の中。

自分が確かに微笑んだのを、感じた。










「・・・それ以来、お父様はあまり怒らなくなったの。」
「・・・ふぅん・・・」

「そして、いつの間にか・・・『狼陛下』とも呼ばれなくなって。」
「・・・う・・・ん・・・」

「優しいままの陛下でいられるようになったの。」

夕鈴は、寝入ってしまった娘の髪をそっと撫でつけて。

「____夕鈴、子どもたちは、寝た?」

そうっと子らの寝顔を覗き込む、愛しい人の、頬に。

「お帰りなさい、陛下。」

口づけた。

C.O.M.M.E.N.T

楽しい(*≧∀≦*)

なんて、テンポの良い、楽しいお話!
ニヤニヤしながら、読み終えました。
心の中に花が咲いたような、明るい気持ちです。
ありがとう、あさ様。
今日はよく眠れそう。
頑張って寝るぞー!明日の為に。

2014/03/19 (Wed) 21:59 | 羽梨 #- | URL | 編集 | 返信

Re

どわーっとお話を進ませてしまいました。
じっくりゆっくりよく考えて書けないものか、私。
今日は頑張って!
おめでとうございますー!
お祝い申し上げますっ。

2014/03/20 (Thu) 07:06 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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2014/03/20 (Thu) 07:40 | # | | 編集 | 返信

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2014/03/20 (Thu) 08:13 | # | | 編集 | 返信

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2014/03/20 (Thu) 15:04 | # | | 編集 | 返信

萌葱さまへ

ありがとうございます。
陛下、可愛かったですか?
よかった!

2014/03/20 (Thu) 18:03 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

yuka様へ

この度はリクエストありがとうございました。
ずいぶん遅いお届けになってごめんなさい。
リクとずれてしまった気がしてならないのですが、喜んで頂けて嬉しいです!
必死に懇願する陛下が楽しくて、ついやり過ぎました。ふふ。
ありがとうございました!

2014/03/20 (Thu) 18:04 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

ちょこれーとぱふぇ様へ

少しでも癒しになれれば幸いです!うふふー。
李順さんが怒ったら怖いでしょうね。
逃げ場を与えてくれなさそうです。
お貸ししますよ、うちの李順さん。
ささ、どうぞどうぞ。←

2014/03/20 (Thu) 18:06 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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