2014_03
05
(Wed)17:07

リクエスト第九弾「約束」中編

うわああああっ!
長くなったー!!

まだ終わりません。
そしてやり過ぎた感が否めません。
すいません。

まだ続きます。



【設定・臨時花嫁】

《約束》中編


「・・・なんて面してんだよ、花嫁が。」

夜になると別宅に帰ってくる、几鍔。
くしゃっ、と、少し乱暴に。
でも、優しく頭を撫でてくれて。

「無理に忘れなくてもいいんだぞ?俺は気にしねえ。」

しっかりと、私を抱き締めてくれて。

「無理に忘れる必要なんてねえ。そのままのお前でいいんだ。」

全てを包んでくれる。

「安心しろ。」

優しい抱擁と。

「ここが、お前の居場所だ。」

温かい言葉。

「ゆっくり休めよ。」

そう言って几額はいつも別室で休んでくれて。

『早く曾孫の顔をお見せ!』

本宅で息巻いているおばば様の言いつけなんて、無視してくれている。

「____ごめんね、几鍔。」

未だ陛下を忘れられぬ自分を、鏡に映す。

当たり前の、自分の姿。
几家の調度品は立派だけど。
違和感は、なくて。

衣桁にかけられた綺麗な花嫁衣装も。
豪華だけど、後宮のそれとは違う。

「ほら、夕鈴。いい加減にしなさいよ。」

ぱんっ、と頬を叩いて。
自分を叱咤する。

「・・・あの方は、手の届かない方なんだから。」

ふっ、と息を吐いて窓の外を見ると。

夜風にそよぐ、桃の花。

『______一緒に桃園に散策に行こうね。』

耳から消えぬ、愛しい声。
大きな掌。
抱き締めてくれた腕。
さらりとした黒髪と。
重ねられた唇の愛おしさと。
陛下の、香りが。

甦る。

でも、もう。
会えない。

この想いを抱えたまま。
私はここで生きて行く。
生きなきゃ、いけない。

そう覚悟して、後宮を抜け出したんだから。

陛下のために。
私はここで、生きるんだ。

どこにいようと。

「私の心は・・・陛下のものですよ?」

夕鈴は夜空を見上げ。
そっと囁いた。









「・・・なんか食べようよ、へーか。」
「うるさい。」

お妃ちゃんに捨てられてから、陛下は、変わった。
そりゃそうか。
振られた事なんてねえもんな、この人。

「ほらほら、酒飲むんだったらこれ食べてからねー。」

酒杯を取り上げ、干し肉を陛下の口に押し込む。

「なんか食べなきゃ、身体持たないよ?」
「・・・」

黙って咀嚼する陛下の、首。
相当細くなってる。
やばいよな。

「誰か適当な伽、連れてこようか?」

試しに軽口を叩いてみたら。

「____いらん。」

睨み付けられて。

「出ていけ。」

小刀が数本飛んできた。



夜風がそよぐ。
風に乗って届く、甘い香り。

夕鈴の香。

「・・・夕鈴。」

空になった酒杯を置いて。
彼女に会うべく、寝台に身を横たえ、目を瞑る。

夢の中でなら。

『愛しています、陛下。』

君は僕を愛してくれる。

「愛してるよ、夕鈴・・・何処にも行かないで?」

そっと目を瞑った国王の寝室には。
夥しい数の桃の花。
卓や飾り棚は言うに及ばず。
床すら見えぬ。

「夕鈴、夕鈴・・・」

ぎしっ、と微かな音を立てて。
寝台いっぱいに散らされた、花弁が。
桃色の褥となって、黎翔を受け入れた。


花を救い、口付ける。
この愛らしい花弁は、彼女の唇。

花を掌に乗せ、頬を寄せる。
この艶やかな色は、柔らかな頬。

花を掻き集め、抱き。
柔らかな身体を抱き締めて。
抑えきれぬ想いを、ぶつける。

愛している。
愛しているんだ。

君の心が、僕になくとも。
君がいないと、僕は・・・

______奪え。

自分の中で声がする。

______望めば手に入る花だろう?

正直な自分が彼女を求める。

______手折ればいい。無理にでも。

彼女が他の誰かのものになる前、に。

頭が熱くなって、何も考えられなくなって。

欲しい。

それだけしか分からなくなる。

やめろ。

自分を止めるが、止まらない。

手が、足が、勝手に動いて。
下町へと向かい出す。

「やめろ・・・やめろっ!!」

叫んだ声が、むなしく響いて。

「・・・・・くっ!!」

止まらぬ己に業を煮やした黎翔は。

「_____っ!」

床に突き刺さる小刀目掛けて、己の足を向けさせた。




「・・・やめろっ!!」

いつも通り屋根の上にいたら聞こえた、叫び声。
悲鳴みたいだった。

やべえ。

瓦を滑り降りて寝室に入る。
夥しい数の桃の花と、むせ返るような花の香と。
血の臭い。
陛下の脚に突き立ったままの小刀。
そこから溢れ出る血に、床に散った花弁が染まる。

なんだ、これ。
いつからだ、陛下。

異様な光景に、血の気が引く。

思考停止していても隠密の体は動くから。
陛下から小刀を抜いてい血止めを施す自分の手を目の端で確認して。
少しずつ、状況を把握する。

桃の花で埋め尽くされた寝室と寝台。
寝台に散る花弁。
色を失った顔で宙を見つめる陛下は、痛みを感じてないみたいで。

「は、はは・・・やっと、とまった・・・ゆーりん、ぼく・・・」

意味の分からない言葉を繰り返す。

「き、みを・・・まもらな、きゃ・・・あいし、て・・・る・・・」

ぞっとした。

弱り切っていた身体に、大腿からの出血。
カタカタと震え始めた陛下の身体。
唇の色は紫を通り越し青黒く変わり。
紅い瞳は光を失いつつあって。
ひゅう、と喉が鳴っている。

陛下が、死んじまう。
本気で焦った、俺は。

「じいちゃん!!起きろっ!!!」

花を蹴散らし、陛下を寝台に寝かせて。
寝入っていたじいちゃんを陛下のとこに遣って。

「お妃ちゃん、お妃ちゃん!!」

必死に、走って。

「こ、こう・・・」
「何でもいいからすぐに来てくれ!」

狼陛下の唯一の『花』を。
奪い返した。


後編へ

C.O.M.M.E.N.T

もう!

本領発揮ですわね。あさ様。
見事な壊れっぷり。
正気にもどるのが楽しみです。
やっぱり、褥?褥?←しつこい

2014/03/05 (Wed) 17:36 | 羽梨 #- | URL | 編集 | 返信

Re

羽梨様へ
あのね、久しぶりに書くとね。
制御不能に陥ることが判明しました。
陛下壊れすぎ。(誰が壊した)
正気に戻った初夜話。
リク主様のご了承を得られたら、書きます。
だって陛下太腿怪我してるから夕鈴が(自粛!!)

2014/03/05 (Wed) 19:33 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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2014/03/05 (Wed) 21:54 | # | | 編集 | 返信

狛キチ様へ

閨の許可、ありがとうございました。
楽しく書かせて頂きました。
几鍔。
最近可哀想なお話ばかりですね。
さて。
どうしましょうか・・・

2014/03/10 (Mon) 16:55 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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