2014_03
05
(Wed)15:28

リクエスト第九弾「約束」前編

こんにちは。
あさ、です。

なんだか随分ご無沙汰していたような気がします。
体調不良と多忙が重なりまして。
言い訳ですね、ごめんなさい。

リクエスト第九弾は、狛キチさまからです。
ありがとうございます。

「甘々で、陛下が夕鈴を翻弄している様で、夕鈴に翻弄されている様な感じも好きなのですが、バイト設定で、陛下が夕鈴に去って行かれ、壊れる様なもの捨て難いです。
夕鈴は、陛下の為に結婚すると言って、お側を離れるのですが、本当は身を引く為に去る感じですね。ソロソロ桃の花も咲く頃だし、桃を見て夕鈴を思い出し、陛下が壊れて行く感じが良いです。でも最終的には夕鈴が陛下の為に帰ってきて幸せになって欲しいです。
ここで浩大に活躍して欲しいですね」

桃の花!
しまった!
桃の節句が終わってしまいました!

ごめんなさい。
しかも、続き物になってしまいました。

お心を広くお持ち下さいませ。
ぺこり。





【設定・臨時花嫁】

《約束》前編




「・・・綺麗ですね。」

侍女たちが飾ってくれた、その花は。
心浮き立つ春の色。

愛らしく綻ぶ、その花弁は。
私に時を告げる。

もう春なのだ、と。
ここで迎える二度目の春なのだ、と。
もう、限界なのだ、と。
告げる。

「終わり、に・・・しなきゃ。」

夕鈴は小さく、小さく。
己に言い聞かせるが如くに呟いた。



その日の夜。
後宮。

_____時間よ。汀夕鈴。

自分に言い聞かせる。

もう、潮時。
内政も安定してきたって、李順さんも言ってたし。
最近は刺客も減った、って、浩大も言ってた。

臨時花嫁は、本当はもういらなくて。
陛下は、優しいから。
借金が終わるまで私をここに置いてくれている。

これ以上、ご迷惑はかけられない。

もう一年、ここに居たんだもの。
借金だって、あと少しで終わるはず。

陛下には、正妃様やお妃様方が必要、で。
私は、もう要らない。


『夕鈴、花が、咲いたら・・・春が、来たら。』

三日前に。
陛下とした、約束。

『______一緒に桃園に散策に行こうね。』

ごめんなさい、陛下。

もう、充分なの。


かたん、と小さな桑折を取り出して。
夜着を脱いで、丁寧に畳み。
下町の衣装に着替え、鏡を覗く。

ごく普通の、町娘。
自分の後ろに映る豪華な家具に感じる、違和感。

いいえ、違う。
私が、異質なんだ。

ここに相応しくないのは、私。
陛下に相応しくないのは、この私なんだ。

当たり前の事実に、胸が痛み。
涙が頬を伝う。

「・・・さよう、なら。」

卓に飾られた桃の花に、口付けて。

臨時妃は、姿を消した。





まだ明け切らぬうちに目覚めた李順は、寝台から身を起こし。
顔を洗い、寝乱れた髪を軽く梳いて纏める。

しっとりとした朝の香が届き。
一日の始まりを知った時。

「李順様・・・!」

息せき切って、妃付きの侍女が飛び込んできた。

「何事ですか?」

ひしひしと。
面倒事の予感がした。




「____と言う訳で、老師。侍女たちをうまく言い包めて下さい。」

妃の姿が見えぬと取り乱す侍女をいったん後宮へ返し、老師のもとへと赴くと。
李順は早足で主の居室へ向かった。

まさか。
まさか、陛下?!

「失礼致します、陛下。・・・お妃様はこちらにお出ででしょうか?!」

逸る心を抑えて、努めて冷静に問う。

「どうした、李順。」

異常を察した黎翔の気配が尖る。
緊迫した空気にゾクリと悪寒が走るも、心のうちでは安堵した。

______とうとう手を出されたのかと思いました。

「どうしたのか、と、聞いている!!」

いらだちを隠さぬ黎翔に我に返った李順は。

「夕鈴殿が、失踪しました。」

極めて簡潔に報告した。









「さて、と・・・ご説明願いましょうか。」

私が後宮を抜け出して、すぐに。

「ごめん、お妃ちゃん。」

気まり悪げに謝りながら、浩大が李順さんを連れてきた。

「几家の別宅ですか。なかなか良い邸ですね。」

いつも通りの李順さんが、なんだか怖くて。

「お、お茶、お淹れしますっ!」

背筋が伸びる。

「いえ、お構いなく。」

にっこりと微笑む李順さん。
曇りのない笑顔。

怖い。
私の借金、まだそんなに残ってたのかしら。

冷汗が背を伝い。
茶卓を持つ手が震える。

「あ、あの・・・わた、し、お嫁に行くんです!!」
「は?!」

直立不動の夕鈴を。
李順はじっと見つめた。




「・・・と言う訳で、借金は几家が肩代わり・・・と言っても、もう彼女の借金は無いに等しいのですが、まあ、肩代わりして頂きます。」

淡々と報告する李順の声が、耳をすり抜ける。

「勝手に後宮を抜け出されて、少々驚きましたが・・・もう無きに等しい借金の事をどなたかのご指示で黙っていたことを思えば、この程度の事には目を瞑らざるを得ませんね。」

夢なら覚めてくれ。
そう願い、固く目を瞑る。

「輿入れの話は、以前から決まっていたようです。」

思わず耳を塞いだ。


嘘だ。

約束、したのに。


『夕鈴、花が、咲いたら・・・春が、来たら。』

つい、三日前。
夕鈴とした、約束。

『______一緒に桃園に散策に行こうね。』

嬉しげに微笑んだ君。

あの時にはもう、決めていたの?夕鈴。

ねえ、夕鈴。
どうして?

何故、だ?

やっと、うるさい奴らを黙らせる事ができたんだ。
もう少しで、君を迎え入れる事ができたんだ。

花が咲いたら。
君がここにきて一年がたったら。

_______君を、本当の妃に。

そう決めていたのに。

私の独りよがりだったのだろうか。

他愛のない睦言に染まる頬も。
縋り付く指先も。
重ねた唇の甘さも。
優しい言葉も。

全ては君の優しさ、で。

愛している。

そう思っていたのは。
私だけだったのだろうか。

「・・・分かった。下がれ。」

黎翔は、一言呟くと。
後宮の奥庭に姿を消した。



中編へ

C.O.M.M.E.N.T

楽しみにしてます

壊れていく陛下大好物です。
とくにあさ様の壊しっぷりは半端ないですからね。
前編、中編、後編でもかまいませんことよ。
おほほほ。

2014/03/05 (Wed) 16:26 | 羽梨 #- | URL | 編集 | 返信

Re

羽梨様へ
羽梨様の予言通り、前編・中編・後編になりましたー・・・。
やっちゃいました。
せっかくのリクエストを一気書き。
私のばかー。

2014/03/05 (Wed) 19:32 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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2014/03/05 (Wed) 21:39 | # | | 編集 | 返信

狛キチ様へ

この度はリクエストありがとうございました。
陛下を壊し過ぎたかと、ドキドキしましたが、受け入れて頂けて幸いです。
よかった!

2014/03/10 (Mon) 16:53 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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