2014_02
07
(Fri)23:53

何処へ 7

《何処へ 7》


丹精を込めた花は、静かに花弁を開き。
可憐に優雅に咲き誇る。

「李順さん、おはようございます。」

ふわり、と。
見るものを引き込むような微笑を湛えた妃。

「・・・おはようございます。」

その所作に思わず見蕩れかけた。


____そろそろ、か。

あと、半年。

幸いにして天災も少なく、国庫の収入は確保され続け。
財政状況も改善して潤い始めた。

狼陛下に鍛え上げられた軍部は、活力を取り戻し。
氾水月と柳方淵を筆頭に、若手官吏たちの台頭も目覚しい。

時代が、変ろうとしている。

その狭間に立つ事の出来た栄誉を噛み締めて。

「それでは、昨日の復習から・・・」

李順は、半年後の成婚式に招いた周辺諸国の縁戚関係図を取り出した。




「あと、半年か・・・」

小さく呟いて。

「俺、それまで身体持つかな?」

浩大は鞭を握り直した。


二年と、半年。

有言実行の狼陛下は、高を括っていた古狸どもの予想の上を行き。
この国にかつてない繁栄を齎しつつある。

焦った大臣達は、一年前から刺客を放ち始めた。

本気を出した柳と氾。
そして、周。

「・・・洒落になんねえ。」

最初は、そう思った。

だが、息子達の働きにより、柳氾両家の矛先が鈍り。
状況は改善した。

「あと、は。」

周。

「厄介なんだよなー・・・こいつら。」

研ぎ澄まされた刃が、妃をめがけて突き出され。
浩大は鞭を撓らせて、弾き飛ばした。




「こちらの、蒼玉国の第二皇女が、・・・っ。」
「李順さん?」

書簡を手に講義をしてくれている李順さんの手が、不自然に止まって。
言葉も消える。

キンッ

扉のすぐ外の金属音。

「お妃様、こちらへ。」

音を立てずに立ち上がった李順さんは、小声でそういうと、私を抜け道へと導いた。

「お気をつけて。静かに。」

迷路のように部屋から部屋へと抜け出て、陛下の元へと向う。
最後の扉を、李順さんが注意深く開けると。

「夕鈴っ!無事か?!」

青褪めた陛下が、待ち構えていて。

「よかった・・・・!」

私を抱き締めた。




まずい。
本気で、まずい。

迫り来る敵の気配に、浩大は一歩退いた。

今、俺が。
ここを、退いたら。

お妃ちゃんは、死んで。
陛下は、壊れる。

「そこを退け、浩大。」

見知った顔が、最後の慈悲をくれたが。

「ごめんな。これが俺の『仕事』______なんだよっ!」

多勢に無勢。
どうしようもない劣勢と肉に埋もれる刃の感触を、他人事のように感じつつ。


陛下。
お妃ちゃん。


「・・・幸せに、なれよっ?!」


叫んだ浩大の身体に。

「_______っ!!」


新たな刃が沈んだ。
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2014/02/08 (Sat) 11:33 | # | | 編集 | 返信

萌葱さまへ

「うわっ、浩大死んじゃうっ!!」と思いながら書きました。
久々に、焦りました・・・。←じゃあ書くな

2014/02/08 (Sat) 22:28 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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