2014_02
05
(Wed)17:55

何処へ 6

出たとこ勝負で書いております。
色々お見逃し下さると幸いです!



《何処へ 6》


「・・・一体何をお考えか。」

高くなりつつある日の光が柳義広の背を照らし。

「_____陛下の御心の内を窺い知る事など、出来よう筈がありません。」

氾史晴の横顔を浮き立たせ。

「・・・三年など、すぐに過ぎましょう。」

未だ日の当たらぬ暗がりに立ち尽くす、周は。
ゆっくりと口を開いた。

がらんとした、大広間。
思い思いの場所に立ち、三人は同じ事を思う。


三年。

三年ごときで、何ができると?
今日この時まで白陽国を支えてきたのは、我々だ。

早くに逝かれた先々代の王は、賢王であらせられたが。
その跡を継いだ愚昧な先王は、国を傾けた。

我々は、愚王に追従するふりをし、鳴りを潜めて力を蓄え。
裏から白陽国を支えてきたのだ。

例えそれが、自家の繁栄の為だとしても。
国のために働いてきた事に違いはない。

齢二十一の、若き王よ。
たった三年で、何が出来るというのか。


______見せて頂こうではないか。


無言の囁きが、広間を満たし。
三人に薄い笑みが浮かんだ。




「三年、か。」

手元の書簡に目を落とし、氾水月は誰にとも無く呟く。

「手を動かせ!氾水月!!」

横から同僚の容赦ない叱咤が飛んだ。

「まあまあ、そう焦らなくても。」
「この書簡の山を見て、焦るなと?!」

深くなる方淵の眉間の皴をちらりと見て、楽しげに笑い。
水月は見た目に似合わぬ硬い指先で、同僚の額に触れた。

「・・・ほら、跡がついてるよ?」
「っ!!」

瞬時に飛び退いた方淵は、怒りで真っ赤に顔を染め。

「大丈夫だよ。」

水月はそんな方淵を見つめ、ゆっくりと口を開き。

「三年は、長い。」

机に座り直し、筆を手に取る。

「・・・我々若者にとっては、ね。そうだろう?」

さらさらと筆を走らせ始めた水月を、じっと見つめた方淵は。

「・・・そうだな。我々にとって、三年は、長い。」

自らに言い聞かせて。
山と積まれた書簡に立ち向かっていった。

先ほど己に触れた指先が。
思いのほか温かだった事を、思い出しながら。










しゃらん、と帳の飾りが揺れて。
陛下がお戻りになったのが分かる。

「今日も遅くまでお疲れ様でした、陛下。」

妃然として、夕鈴は黎翔を出迎え。

「妃よ、今戻った。」

狼陛下は微笑を浮かべる。

「下がれ。」

侍女たちが音もなく立ち去ると。
どちらからともなく、手が伸ばされる。


貴方に。
君に。


「夕鈴、今日は何をしていたの?」

柔らかな膨らみを愛しみながら。

「あっ・・・今日は、老師に講義を・・・んっ!」

逞しい胸に、頬を寄せながら。

言葉と、身体で。
会話をする。

密やかで甘い、夫婦の時間。
一日の疲れを忘れさせてくれる、この瞬間。
明日への希望を教えてくれる、この温もり。

この幸せを守るための、三年。

「あと、半年・・・」
「そう、ですね。」
「後半年したら、子ども作っていい?」
「っ!」

たった二年半の間に見違えるほど艶やかになった妻を抱き締めた黎翔の弾んだ声が、寝所に響いた。
首枷   
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C.O.M.M.E.N.T

エッチ(;ノωノ)

陛下ったら、エッチなんだから!
奇遇にもうちは作成後のSSが(笑)
おじさま方は怖いですな。
でも、幸せは掴み取るものですから。
なんだか、すっきり爽快な気分転換になりました。

2014/02/05 (Wed) 21:16 | 羽梨 #- | URL | 編集 | 返信

Re

羽梨さま
おじさま方にご登場願いました。
息子さんたちにも!
あやうくBLに流れるところでした。
危ない危ない。
苦労した分だけ幸せも大きくなるってもんですよ、きっと。
やっぱり書くのは楽しいです。

2014/02/05 (Wed) 22:06 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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2014/02/06 (Thu) 03:59 | # | | 編集 | 返信

あさ様
陛下ってば・・。素敵。
でもちゃんと約束を守っているのですね。
早く赤ちゃんを作りたいでしょうね。
でも、そうしたら、赤ちゃんに夕鈴を取られて、妬いちゃうんでしょうね。そんな陛下も見たいです。
方淵と水月さんにも頑張って貰わなくてはですね。

2014/02/06 (Thu) 11:52 | 狛キチ #- | URL | 編集 | 返信

萌葱さまへ

コメント、ありがとうございます。
陛下、我慢してました!
さあ、後半年だ!
少しくらいフライングしてもいいよ?陛下っ!←

2014/02/07 (Fri) 23:54 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

狛キチさまへ

ありがとうございます。
陛下は御子にもヤキモチを妬くタイプですよね、きっと!
陛下、葛藤するに違いない。←
方淵と水月さん、頑張ってる模様です。
水面下で。(つまりSSに出てこない・笑)

2014/02/07 (Fri) 23:57 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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