2014_01
15
(Wed)22:12

お別れ 7

こんばんは。
あさ、です。


だらだら続いてしまっている、「お別れ」。
なんとまだ続きます。

少々忙しく、細切れ更新ですが。
お付き合い頂ければ幸いに存じます。



【設定・色々捏造・バイト終了・恋人】
【オリキャラのお子様出ます←今頃注意書き】


《お別れ 7》



夕鈴が消えた。


その知らせが届いた後の事はよく覚えていない。
気付けば馬を駆って隠れ家に来ていた。

血にまみれた下女や下男の骸。
踏み荒らされた邸内
散らばった薬材。

生き残った老師の手の者が。
夕鈴と老師の行方が分からぬと報告をし。
そこで、初めて。
夕鈴の病状が予断を許さぬものであった事を知った。

_______浮かれていた。

拳を振り上げ、己を殴る。
三月の後に手に入るであろう幸せを夢想し浮かれていた自分に、反吐が出る。
青褪めた浩大と清翔が必死に痕跡を探る姿が目に映る。

泣くな、清翔。

色が変るほど握り締めた黎翔の掌から、血が伝った時。

「父さまっ!!」

何かを見つけた清翔が、黎翔に走り寄った。





「_______くそっ。」

ゴトゴトと揺れる荷馬車の中。
隻眼を心配げに曇らせた几鍔は、意識のない幼馴染の肩を抱いた。

・・・小さく、なりやがった。

その頼りなさに不安がよぎる。

「おい、大丈夫か?」

傍らで蹲る老人に声を投げるが。

「・・・」

返事は返ってこない。

「おい、どうした。」

再度、声をかけると。

「_______静かに。蹄の音が聞こえなくなるのでな。」

低いがはっきりとした声で。
老人は几鍔を制した。



耳を澄まして、追っ手の気配を探るが。
まだ、気配は届かない。

『・・・狼陛下の妃、だな。』

薬を嗅がされ意識を失った妃の髪を掴み上げた、賊。

『薄茶の髪。華奢な身体つき。・・・間違いない。』

薄ら笑いを浮かべて。
ぐったりとした妃を担ぎ上げ。

『皇子と妃。狼がどちらかを選ぶのか、見ものだな。』

くつくつと笑うその声を聞いたとき。
老いた身である事を忘れて、賊の背に刃を突き立てていた。



奪わせなど、せぬ。


_______張元。

甦る、記憶の中の声。
舞姫を愛した、陛下。

_______黎翔を頼む。

愛しい皇子の成長を見ること叶わず彼岸へ渡られた、亡き主。
その忘れ形見の皇子が。
孤独だった皇子がようやく得た、唯一を。
貴様らごときに。
病ごときに。

「・・・奪わせてなるものか。」

後宮管理人の声が。
低く、低く。
薄暗く狭い空間に籠もった。




清翔が見つけたのは、老師が残した小枝。
散らばる薬材の中に紛れ込ませたそれは、薬効などは持たぬ、符牒の為のもので。
とりあえずの生存を伝えるものでしかなかった。

「・・・生きては、いるのだな。」

安堵と同時に湧き上がる怒りが。
黎翔の瞳に暗い光を宿し。

「他に手がかりはないのか。」

薄暗く笑う狼陛下を前にして。
隠密たちは一斉に散った。



よほど余裕がなかったのだろう。
残された手がかりはそれのみ。

「張のじいちゃんが、これしか残せなかったのか・・・?」

浩大の表情が強張り、隠れ家の周囲を丹念に見回す。

探れ。
必ず何かあるはずだ。

自分を叱咤して、違和感を探す。

目に入る、多数の蹄の跡。
賊の数と蹄の数の相違と。
それらが向った先、に、違和感は無く。

「くそっ!」

自分の甘さを呪い。
歯噛みをする。

その時。

立ち尽くす浩大の背を押す、風が。
草原を分かつ様に流れた、風が。

「______ちょっと、待て。」

王都に向って真っ直ぐに伸びる轍の後を現した。




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C.O.M.M.E.N.T

くそう!老師が格好良すぎるぜ!
ほ、ほれ…。ない。
ないもんね。
浩大、頑張って!
陛下、浮かれてたのかぁ(´・ω・`)
まあね。うん。
頑張れ、老師!←

2014/01/15 (Wed) 22:26 | 羽梨 #- | URL | 編集 | 返信

羽梨さまへ

惚れてもいいのよ?←
浩大頑張れ、陛下も少しは頑張れ!
几鍔にももう少し動いてもらいたい。
長引いても、いいかしら。
このお話。

2014/01/16 (Thu) 07:43 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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