2014_01
10
(Fri)14:34

変える

こんにちは。
あさ、です。

昨日はしょうもない夢のSSに拍手を頂きましてありがとうございました。
せっかく拍手して頂いたので、このままUPしておきますね。
ありがとうございます。

さて。
このSSは、先日お誕生日を迎えられた方にお贈りしたものです。
SNSでいつも仲良くして頂いている方で、私なんぞがSSを差し上げるのはおこがましいのですが。
快く受け取って頂けました。
よかった。

そんなわけで、SNSからの転載になります。
二度目の方、ごめんなさい。




【設定・原作沿い】
【捏造あり】

*コミック未収録のネタバレあります


《変える》


下町でも、蓉州でも。
王宮の中で。
「狼陛下」は恐れられて。
・・・嫌われる。

私だって、人の事は言えない。
もし、「割のいいバイト」に釣られなければ、きっと。
狼陛下と後宮の悪女の噂を鵜呑みにしていた事だろう。

酒と女に溺れて国を傾けた前の王様と同じだ、って。
きっと、そう思っていたはずだ。

・・・でも。

今は、違う。


夕鈴は、ぎゅっ、と唇を噛み締めると。

「______ちょっと、あんた達。」

明玉の飯店で、噂話に花を咲かせている。
見るからにガラの悪い三人の男達の間に割って入った。







蓉州への視察のあと。
李順は夕鈴に休暇を与えた。

少し、いや、大分不満だったけど。
青慎君に会える、と顔を輝かせる夕鈴が、可愛くて。
仕方無しに許可を出した。

休暇は、三日間。

よし、僕も。

三日ほど、休みを取るか。




「・・・あれ?ゆーりん、いないの?」

がらんとした汀家の台所。
綺麗に片付けられた食卓。
清潔に整えられた棚。

「買い物、かな?」

誰もいない汀家。
でも、どこか温かくて。

_______夕鈴の香が、する。


ふっ、と頬を緩ませて。
黎翔は卓に活けてある花に手を伸ばした。

今朝摘まれたばかりの、可憐な花。

「・・・こんな季節に、菫、か。」

珍しいこともあるものだ。

小さく呟いた黎翔は。
柔らかな花弁にそっと口付けて。

「さて、休暇を楽しむとするか。」

汀家をあとにした。


その頃。
王宮では。

「・・・へーいーかー?」

脱ぎ捨てられた衣装と。
山と積まれた処理済の書簡を前に、李順が深々と溜息をつき。

「まぁいいじゃん!お仕事済ませてから遊びにいったんだからさ!」

明るく笑った浩大は。

「じゃあ、俺も行ってくるね。」

そそくさと、下町へ向った。








「ちょっと、あなた達。何も知らないくせに狼陛下の悪口言うの、やめてよね!」
「・・・あぁ?なんだ、威勢のいい姉ちゃんだな。」

仁王立ちして、威勢良く啖呵を切った夕鈴を。
ガタン、と椅子を蹴倒して立ち上がった男が。

「お?よく見たら可愛い顔してんじゃねえか。・・・上玉だな、おい。」
「離しなさいよっ!!」

舐めまわす様に見つめ。
腕を掴む。

「ふぅん。アンタ、狼陛下が好きなのか?」
「っ!」

言葉に詰まった夕鈴の顎を持ち上げて。

「女に手玉に取られるような情けねえ王様より、俺の方が・・・・」

薄ら笑いを浮かべて、迫る。

その時。

「情けなくなんか、ない!」

バチンッ

男の頬から、高い音がして。

「狼陛下は、そんな王様じゃないっ!!もっとずっと_____!」

じんじん痛む掌を握り締め。
怒りに震える夕鈴の叫びを。

「このアマ、ふざけんな!!」

男の怒声が殺した。

________殴られるっ!!

成す術も無く、目を瞑った夕鈴の上に。

ガツンッ。

鈍い音が響く。


「・・・え?」

さらりと揺れる黒髪。
大きくて広い背。
この、香り。

「・・・っ。夕鈴、大丈夫?」

優しい、声。

「へ、い・・・」

夕鈴の全身から血の気が引いたとき。

「てめえら、何してやがるっ!!」

慌てた明玉に呼ばれた、几鍔が。
息を切らして現れた。






「あのさ、夕鈴。」
「・・・は、い。」

夕暮れ。
飯店での騒動が片付いて、買い物を済ませて。
黎翔と夕鈴は家路についていた。

「僕を庇ってくれるのは、とっても嬉しいんだけど。」
「・・・はい。」

黎翔の足が止まり。
長い影が夕鈴の後ろに回る。

「危ない目に遭って欲しくない。」

狼陛下の、怒りを含んだ声に。
夕鈴の背筋が凍る。

「で、も・・・」

言わなきゃ。

必死に振り返り。
夕日を背に立つ黎翔の影に、向き合い。

「でも!!」

震える足を励まして。

「私は、どこにいても、きっと陛下の味方だから、って!!」
「ゆ、う」

掌を握り締めて。

「覚えといて下さいね、って!」

必死に。

「約束、したもの!!」

夕鈴は声を振り絞った。




しん、と。
時が止まった気がした。

「・・・すごいな、君は。」

怒りが霧散して、温かいものが心を満たす。

嫌われるべき、忌むべき王。
乱れた国を立て直すには、荒療治が必要で。
それを行うのが、「狼陛下」の役目。
この「役」を終えたら。
次代に繋げばいい。

そう思って。
嫌われ者の王でいようと思っていたのに。

君の言葉は、僕を変える。

「いいお嫁さんをもらったなぁ。」
「なっ!」

黎翔は、にっこりと笑って。
夕鈴を抱き締め。

「ぎゃーっ!こんなトコで何するんですかっ!」

往来を行き交う人々の、微笑ましげな視線が。

「ものすごく目立ってるよ、へーか。」

呆れ果てたような隠密の声が。

ひっそりと。

春を迎えたばかりの往来に満ちた。
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