2013_12
25
(Wed)14:34

不在 2

こんにちは。
あさ、です。

自由気儘に書いております、このSS。
お楽しみ頂けているのかどうか、かなり不安です。(笑)

でも、書いちゃう!


もし宜しければ、お暇つぶしにどうぞ。






【設定・未来捏造←おい】
【夕鈴正妃です】
【オリキャラ出ます。李順さんの奥さん、芙蓉です。】
【珍しく、方淵や水月さんも出ます。氾大臣も。色々おかしいです。】


《不在 2》




遠慮のない陽射しが照りつける、大路。
夕鈴は慣れた足取りで勝手知ったる店に足を踏み入れた。

「おばば様、お邪魔致します!」

「よく来たね。」

正妃の来訪を当たり前のように受け流した几商店の女主人は立ち上がり。

「ちょっと、奥に行こうかね。」

夕鈴を誘う。


「・・・なんだ、この店は。」

「お妃ちゃんの幼馴染の家だよ。」

苛立った声を投げる方淵に笑いかけた浩大は。

「ほら、怖い顔してるとモテないぜ?」

「・・・。」

更に眉間に皴を寄せる方淵の背を、とん、と押した。




「・・・なんでアンタまでいるのよ、几鍔。」

「うるせえな、俺が居ると都合がいいのはそっちだろうが。」

見慣れた光景が展開される客間の、大きな卓の上に。

「喧嘩してる場合じゃないよ、ほらさっさとこれをご覧!」

おばば様が王都の地図をばさっと広げ。

「主人!正妃様に向ってそのような口を!」

「ああ?!こいつが正妃ってガラか?!」

「貴様・・・っ!」

掴みかからんばかりの勢いで口喧嘩を始めた几鍔と方淵を。

「うるさいねっ、お黙りっ!!」

一喝した。






大路を新たに通す。

狼陛下の治世が始まり、月日が流れて。

白陽国の財政は好転し、更なる発展を見せ始めていた。


運河も大路も、拡張が必要な事は確かで。

それに伴い整備が行われる事は、王都の民に喜びを持って迎えられていた。


「_______でも、おかしいわよね。」

地図を指で辿りながら、夕鈴は考え込む。


「新たに街を作るなら、そこに向けた大路が必要でしょう?でも、この先には。」

「______何も、ねえよな。」

几鍔が言葉を引き取り。

「こんな、あからさまに不審な計画が上奏される事それ自体が・・・」

方淵は呟き。

「怪しい、よね?」

囁いた浩大は、音もなく立ち上がり。

いつの間にか手にしていた小刀を、たんっ、と天井に突き立てた。


「正妃様っ!」
「夕鈴っ!」

方淵と几鍔が夕鈴を庇う動きを見せたが、浩大はそれを制し。

「・・・逃げられたかな。」

呟いて。

「今の鼠、あんたの?」

しゅっ、と方淵の喉元に鞭の先を突きつけ、問い。

切っ先が喉を刺す小さな痛みを感じながら、方淵は浩大を見つめた。


______自分では、ない。

それは分かっていた。

柳家が正妃を狙う事はない。

正妃を廃して柳家が得るものなどない上、今の正妃は柳家にとって都合が良い。


『氾の娘が正妃になるくらいなら、今の正妃の方が・・・。』


そう言った父の言葉に偽りはないだろう。


と、なれば。


_____恐らくは。


物憂げな表情の、サボリ癖の抜けぬ同僚の顔が脳裏に浮かぶ。


静かに目を瞑り。

「柳では、ない。」

方淵は、しっかりと言い切り。

「・・・ふうん。」

浩大は、楽しげに笑った。










西への遠征は、久しぶりで。

王宮暮らしに慣れてしまった我が身を、李順は呪った。

「・・・侮りました。」

鉛のような手足が、重い。

「足手纏いもいいところですね。」

自嘲して臥所から無理に起き上がった李順を、強い眩暈が襲う。

静まり返った泥沼のような世界に足を取られ、沈んでいくような感覚。

西に来てすぐに得た病が、思いのほか自分を蝕んでいる事に驚きつつも、頷いて。


「_____無理を、重ねましたから。」


すっかり細くなってしまった自分の腕を、嘲笑った。





長期にわたる遠征にあたり、李順は王宮に残すつもりだった。

だが、夕鈴が。

『私は大丈夫です。』

と、何度も言うから。

押し切られてしまった。

今となってはそれが悔やまれてならない。

馬上の李順の顔色は、青白く。

息も荒く、辛そうだ。

額に伝う汗は、尋常な量ではない。



限界、か。


王都への帰還まで、あと十日を残すばかりとなった頃。


「しばし離宮に滞在する。」


黎翔は、李順を休ませるために、行軍を止めた。




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C.O.M.M.E.N.T

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