2013_12
15
(Sun)21:56

縋る 前編

こんばんは。
あさ、です。

最近バイト終了設定ばかり書いているような気が致しますが。
気のせいです。←おい
「またか!」って言わないで下さいね?(じゃあ書くな)
懲りずに同じようなのばかり書いております。

ほぼ一発書きです。
皆様、お心を広くお願い致します。
しかも前後編に分かれてしまいました。
そしていつも通り見切り発車ですので、後編はまだ一文字も書いておりませんっ。

また明日、時間が取れたら。
陛下苛めを楽しみながら書きたいと思います。

おやすみなさい!





【設定・バイト終了】


《縋る 前編》



君が、いない。


「借金が終わりましたので、予定通り解雇いたしました。」

真っ直ぐに僕を見据える李順の言葉。

________お分かりでしょう?陛下。

その目が僕を射抜く。

ああ。
言われなくとも、分かっている。

「そうか。」

僕は、君と別れた。

手が震え、恐怖が背を這い上がる。
君のいない世界で生きていく事が、ただ、怖かった。


もうこの手で触れることも叶わず。
声を聞くこともない。

ゆったりと寛げる君との会話。
心安らぐ笑い声。
抱き締めたくなる、笑顔には。

_______もう二度と、会えない。

どこまでも広がる闇の中に、独り。
ぽつりと取り残された自分がいて。

叫びそうになる。



夕鈴。

今、君はどこにいるのだろう。
本来の居場所で大切な友人達に囲まれて。
家族とともに、笑っているのだろうか。
_______僕を、忘れて。


分かっていた。

刺客の質が変り、やつらが本気を出してきた事も。
世継ぎを切望する声も。
夕鈴の素性を探る動きも。

そう。
もう、限界だったんだ。

この手の中で喪うよりも。
永遠に会えない方がいい。

この王宮から見える王都に、君がいる。
僕を忘れ幸せに暮らす君がいる。

それで、いい。
それが正しい選択だ。

私は、耐えねばならない。
この、恐怖に。










黎翔の異変に最初に気付いたのは、浩大だった。


反応が、鈍い。
屋根の上に自分がいることに気付かぬ事すらある。

深夜、報告に行く。
青ざめた顔で眠るその姿は、まるで死人のようで。
浩大は本気で焦った。



激務をこなし、気を張り詰めて。
ひたすらに、前へと突き進んできた、陛下が。

ようやく得た、安らぎ。

それを知ってしまった陛下は。
そして、それを手放してしまった、陛下は。

もう、元には戻れない。

ただの道具に過ぎぬ自分に。
できる事は、あるのだろうか。

「・・・」

自問した浩大は。
下町に向った。











王宮から出て行くときに、李順さんは餞別をくれた。

いつも使っていた茶器と、茶葉。

陛下の手が、茶杯を取って。
柔らかく笑みながら、口に運ぶ。

『美味しいね、夕鈴。』

ただその一言で、幸せになれた。

このお茶を全部使ってしまう頃には。
私の心は、どうなっているんだろう。


陛下と行った、飯店。
陛下と歩いた、大路。
陛下と食べた、食事に。
陛下と繋いだ、手。



『お茶淹れてくれる?夕鈴。』

ふわりと笑う陛下。

『美味しいね!』

頬を染めて喜ぶ陛下。

『________これで許す』

陛下の柔らかな、唇。



お別れを言えば、泣いてしまうから。
優しい陛下を困らせるだけだから。
私の居場所は、王宮じゃないから。

自分に言い訳をして、逃げるように下町に帰ってきた。

本当は。

________怖い。

ただそれだけ、だった。


陛下にとって、自分が。
ただのバイトでしかないことを思い知るのが、怖かった。

優しい笑顔で別れの言葉をくれるであろう陛下に。
笑顔を返す自信がなかった。

_____ここに、いたい。

分を弁えぬ願いを口に出してしまいそうで。
陛下に軽蔑されそうで。


怖かった。


「・・・私は、逃げたんだわ。」


手にした茶杯に、ぽつりと涙が落ちた。










夕鈴殿を解雇して、もう二ヶ月。
陛下はこれまで以上に政務に励まれ、内政は改善した。
あと少しで、往時の白陽国を凌ぐ姿を見ることができるだろう。

李順は宰相から受け取った書簡を手に、廊下を渡り。
ふと、庭に目をやった。


「・・・陛下?」

休憩をとられていらっしゃるのか。


そう思った李順は、黎翔の後を追い四阿へ向かい。

「へい_________っ!」

言葉を失った。



笑って、お出でだ。

咲き乱れる花には目もくれず、宙を見つめ。
まるでそこに誰かが居るかのごとく、手を差し伸べ。
愛しげに、何かに触れる。

人払いされているのだろう。
侍女たちの姿はなく。

黎翔は、優しく宙を見つめる。

柔らかく笑んだ唇から、ちいさな囁きが漏れて。
聞かずとも、誰の名を呼んだのかが分かる。

「・・・あと少し、なんだ。夕鈴。」

つうっ、と、紅い瞳から涙が伝い。

「もうすぐ、僕の役目が終わるから・・・・そうしたら、もう、いいよね?」

手が宙を彷徨う。

「君がいない日々に、私はもう、耐えられない。」

ぎゅっと握られた拳が、震え。

「成すべき事を成したら・・・もう、『私』を終わらせても。『僕』を殺しても、いいよね?」

黎翔の美しい顔が、苦しげに歪み。

李順は、血の気が引いていくのを感じた。



「縋る」浩大視点へ

C.O.M.M.E.N.T

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2013/12/15 (Sun) 22:08 | # | | 編集 | 返信

やんっ!!

李順さ~ん°・(ノД`)・°・
駄目だよう。
陛下のメンタルケア怠っちゃ!
ささっ、早く。
下町行ってきて!
可愛い兎さん連れて来て?
え?酔っ払いじゃありませんよぅ。
ちょっと顔が赤いだけです。
うふ。
おやすみなさい。

2013/12/15 (Sun) 23:14 | 羽梨 #- | URL | 編集 | 返信

名無しの読み手さまへ

コメントありがとうございます。
拍手コメも、無事に届いております!重ねてお礼申し上げます。
私が二人の別れを妄想すると、帰る場所のある夕鈴より、取り残される陛下の方がへこみます。
それはもう、べっこべこに。
ですので、酷さで言えば私が一番酷いです!←開き直っている
陛下が瓦解する前に続き書かなくては。

2013/12/16 (Mon) 08:33 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

Re

羽梨さま
おはようございます。
昨夜もお子ちゃまな時間に寝てしまいました。
陛下がここまで壊れるとは。
李順さんの手落ちですね。
ちょっと別件で忙しかったんですって。
メールが煩いとか鎮火していた追及が再燃とかだそうで。
でもちゃんとかわしてるらしいです。
早く片付けて夕鈴を迎えにいかなきゃ。

2013/12/16 (Mon) 09:09 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

縋るシリーズきれてます。

2015/09/04 (Fri) 22:58 | 行 #jxT87rSU | URL | 編集 | 返信

コメントの投稿

非公開コメント

トラックバック