2013_12
13
(Fri)14:35

夢の先

こんにちは。
「あさ」です。

今日は風が強くて、寒いです。
外に出たくない。

でも夕方次女を送迎せねばなりません。
いやだよう。(やれ)

同じ夢を繰り返し見ることってありますよね。
そんな事を考えて書きましたら、少し違う方向に。あれれ?



【設定・臨時花嫁】
【陛下と夕鈴の過去を捏造しております】


《夢の先》



_________またあの夢か。


黎翔はうんざりしながら、彼方を見やる。

ぼうっと浮かぶ、月と。
それを見上げる幼い自分。

『母上・・・母上・・・』

独りで邸の外になぞ出るから、迷子になるんだ。

幼い自分に腹立ちを覚え。
黎翔は一歩を踏み出した。

________どうして何度も同じ行動を取るんだろうな。

自嘲しつつ、『夢』に付き合う。


『迷子か?』
『・・・うん。』

もう何度目になるか覚えていない、同じ会話。
邸に戻る道を教え、門前まで送り。

『勝手に外に出るな。』

その台詞も同じ。

『・・・ああ。』

そう答える自分の台詞も同じ。

邸内に消える小さな背を見送って。

拳を握り締めた。



邸に戻った自分が見るのは。
_______変わり果てた、母の姿。

朱に染まった身体を寝台に横たえ。
ほっとした様に私に微笑みかける、母の姿。

あの夜。
僕は、母を守れなかった。


_______黎翔、母上を頼むぞ。


父上。
申し訳、ございません。


ゆっくりと、目を開き。
汗ばんだ夜着を脱ぎ捨て、衣を纏い。
ふぅ、と息を吐いて、剣を手に廊下へ出る。

まだ、深夜。
朧な月が、黎翔を照らし。
後宮の廊下に転々と灯る明かりが、誘う。


「・・・顔を見るだけ、だ。」


自分に言い訳をして。
黎翔は妃の部屋へと足を向けた。






__________また、この夢。

夕鈴は小さくため息をつき。

夕焼けの丘の上で泣きじゃくる自分を見つめた。

『かあさん・・・かあさん・・・』

ほら、夕鈴。
帰らないと、父さんが心配する。
青慎だってまだ小さいんだから。

『・・・貴女がしっかりしなくちゃ、ね?』

幼い自分の背を撫でて。
言い聞かす。

『______ほら、笑って?』

小さく頷いた自分を、門前まで送り。

『頑張ってね?』
『・・・うん!』

もう何度目になるかわからない同じ会話を交わした。



ゆっくりと、目を開けて。
眦を拭う。

「痛い・・・」

やっぱり泣いていたらしい自分に、苦笑して。
寝台から降り垂れ布を払った夕鈴の目に、大きな影が映り。

「っ?!」

ビクッと飛び上がると同時に、覚えのある大きな掌に口を覆われ。
ふわり、と大好きな香が届く。

「ごめん、夕鈴。びっくりした?」

その声は、少し寂しそうで。
夕鈴は思わず黎翔の頬に手をあてた。

「ゆう、りん?」

見下ろす黎翔は、驚いた様子で。
夕鈴の口を覆っていた手を外す。

「どうしたの?夕鈴。」
「・・・陛下こそ、どうなさったんですか?」

見詰め合ううちに、笑みが浮かび。

「少し、寂しくて。」
「・・・私も、です。」

正直な想いがこぼれ出て。

夕鈴の身体に黎翔の腕が。
黎翔の背に夕鈴の腕が回り。

引き寄せられるように、唇が重なる。

「もう少しだけ、このままで。」
「・・・は、い。」

今だけでいいから、ここにいて?
今だけでもいいから、ここにいさせて?


寂しい夢のその先で触れた、温もり。

それを確かめ合う二人の影を。
朧な月が、淡く照らした。
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C.O.M.M.E.N.T

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