2013_12
04
(Wed)14:02

賜心1

こんにちは。
あさ、です。

自由に書き始めてしまいました。
この先何がどうなるのか、私にもさっぱり分かりません。
なので、このSSに関しては、次のUPがいつになるかも分かりません。

さあ。
それでも宜しいでしょうか。←偉そう
ちゃんと書けない人で、なんだかすいません。

でも書いちゃう。←やめろ




【設定・臨時花嫁】
【捏造の塊・隣国捏造・オリキャラ出ます】


《賜心 1》




________『こころ』を、下さいますか。

陛下。









北辺からの侵入は予想外で。
白陽国軍は後手に回った。

裏で糸を引くのが朱国であることは分かっていたが。
手の出しようはなく。

「我が国の皇女を正妃にして下されば、援軍を出しましょう。」

朱国王・珠昌の申し出は。
すぐさま白陽国王宮に届けられた。





綺麗な空だ。

黎翔はどこまでも澄んだ青空を見上げ、軽く息を吐く。

来るべき時が来た。
ただそれだけの事だ。

自らに言い聞かせ、掌を見つめ。
黎翔は小さな香袋を握り締めた。


夕鈴。


今、戦になれば。
白陽国は焦土と化そう。

珠昌はそういう男だ。
奪いつくし消し去る事を、心から楽しむだろう。

だが、その毒蛇のような男の娘を正妃に迎えれば。
この国は持ちこたえ。

夕鈴も。
生き延びられる。


僕から離れた場所で。


微動だにせず天を見上げる主の背を。
苦渋に満ちた表情で、李順が見つめていた。





「・・・全部、李順さんから聞きました。」

いつもどおり後宮に渡った黎翔を迎えた夕鈴は。

「国の為に、私達民の為に、正妃様をお迎えせねばならない、って。」

国王に背を向けて茶を淹れながら。

「ありがとうございます、陛下。」

少し震えてはいたが、でも、明るく。
そう言い。

「_______そして、おめでとう、ございます!」

ぱっと振り返った。




覚悟はできていた。
いつかこんな日が来るって。

私はバイト妃で。
ただの庶民で。
夢のような恋をした。

ただそれだけ。
醒めない夢なんてない。

だから。

精一杯の笑顔で。

「_______そして、おめでとう、ございます!」

私が持っているものは、心しかないから。
せめて、笑顔で。
泣いていてもいい。

笑顔で、お別れを。





「_______そして、おめでとう、ございます!」

振り返った夕鈴は、泣きながら笑っていて。
ずきん。
胸が締め付けられるように痛む。

君を手放す。
それは、これからやってくる朱国の皇女から君を護る為。
僕は王だから。
白陽国を護るためにこの縁談を受けねばならない。

知らなければ、楽だったのに。
誰かを愛する気持ちを。

気付かなければ、よかったのに。
君が愛しい、と。

だが、それでも。

僕は、君を。




ぼろぼろと泣きながら笑う夕鈴に、そっと手を伸ばし。
その身体を力強く抱き締め、黎翔は口を開いた。

「夕鈴。もし、君が望むなら・・・僕の心を、受け取ってくれないか。」

驚いて顔を上げた夕鈴は、紅い瞳を見つめ返し。

「心?」

不思議そうに問い返す。

「うん。僕は、王様だから。この身体は国のものなんだ。」
「陛下。」
「でも、心は違うから。ごめんね、夕鈴。僕が持っているものは、これしかないんだ。」
「陛下、陛下。」
「だから、君にあげられるものは、心しか、な」

必死に言い募る黎翔の襟に、夕鈴の手がかかり。
不意に、引かれて。

「・・・い。」

黎翔の唇に、柔らかな温もりが触れ。
茶色の瞳に、強い光が宿り。
さらり、と衣擦れの音がして、夕鈴は跪いた。

「ちょ、なにを」
「________陛下。」

彼女を立ち上がらそうと身をかがめた黎翔に。
夕鈴は今度こそ、心からの笑顔を浮かべ。

「________『こころ』を、下さいますか。陛下。」

黎翔の胸にその白い手を当て。

「ああ。この『こころ』は永遠に君のものだ。」

手を重ねた黎翔は。

力強く、微笑んだ。





半年後。

下町。


「・・・・ちっ。また来てやがる。」

几商店の跡取り息子である几鍔は、街の見回りを欠かさない。
まだ明けて間もない下町の往来は、静まり返っていて。
不審者を見つけるにはもってこいだ。

今日も汀家の門前に居座る怪しげな影を。
几鍔はじろりと睨みつけた。


狼陛下が正妃を迎える直前に帰ってきた、アイツは。
いつも通りの笑顔で、元気そうで。
いきいきとした瞳は、力強く輝いていた。

これなら、大丈夫か。
そう思った、矢先。

アイツが攫われた。

深夜押し入ってきた賊は、初めから姉だけを狙っていた、と。
青慎は震えながらも、しっかりと説明してくれた。

背の高い男と、小柄で身軽な男と。
門の外で馬車を操っていた、眼鏡をかけた男。

賊はまだ、捕まってねえし。
アイツも、戻ってこない。


「_________どこに居るんだよ、夕鈴。」

几鍔はその隻眼を天に向け。
どこまでも澄んだ青空を見上げた。





あの夜。

「・・・どなたですか?」

夜遅くに扉を叩く気配に、僕と姉は身構えながら小さく戸を開け。

「僕だよ、夕鈴。」
「っ!!」

聞き覚えのあるその声に、僕は安堵して扉を開けた。

「こんな遅くにどうなさったんですか?李翔さん。」
「うん、ごめんね。ちょっと緊急で。」

李翔さんは、驚き固まったままの姉を、自分の外套で手早く包むと。

「ちょ、ちょっと陛下!何を!!」
「青慎君、お姉さんを保護させてもらうね。」
「え?陛下?」

有無を言わさず、姉を抱き上げ。

「急ですまない。我が唯一の妃を狙う輩から、君の姉上を守らせてもらう。」

底光りする紅い瞳で僕を見据えて。

「陛下、お早くっ!」

眼鏡の人が待つ馬車に乗り込んだ。

「ちょっと待って下さい!!」

慌てて後を追ったけど、どこからか飛び降りてきた小柄な人に捕まって。

「大丈夫だよ。ほとぼりが冷めたらちゃんと説明すっからさ。今は何も知らないままで居てくれた方が・・・・こっちとしては助かるんだ。」

って、言われて。

なんだか、僕は。
全部分かってしまったんだ。


姉さんが誰に連れて行かれたのか。
李翔さんが誰なのか。


そして、きっと。


もう姉さんは、ここに戻ってこない、って事も。



賜心2へ

C.O.M.M.E.N.T

賜心シリーズきれてます。

2015/09/04 (Fri) 23:24 | 行 #jxT87rSU | URL | 編集 | 返信

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