2013_11
20
(Wed)22:59

枯渇10

ご注意下さい。

書いた本人ですら思わず苦笑が漏れるほど、迷走しております。
・・・こんなお話にするはずじゃ、なかったのに!しくしく。

細かい事は気にしない!
なんでもいいよ!

という方のみ、お進み下さい。

謙遜じゃないです。
本気で苦笑してしまいます。

書きたいように書いたら、こうなりました。

もう本当に、ごめんなさい。


無駄に長いです。




*最終話です。


【9巻未収録のネタバレを含みます。】
【基本的に、捏造の塊です。】
【オリキャラも出るかもしれません】
【臨時花嫁です】


《枯渇 10》



宴が終わり、放心状態の夕鈴を。

晏流公は、自室へ運んだ。




遠い昔の、記憶。

『僕には兄上がいるの?』

『・・・ええ。でも、貴方こそが王に相応しい。』


父王はいつも、母と自分を通して北に逃がした妃と兄を見ていた。

それは、母の心を蝕み、病ませ。


__________いつか、『本物』に。

北にいる、父王の本物の妃と皇子に、成り代わり。

『偽者』の私と母が、『本物』になる。


それだけを、望ませた。


腕の中にいるのは、兄王が愛して止まぬ唯一の妃。

彼女を、得れば。

また一歩、

「・・・・本物に、近づく。」

虚ろな目で天井を見上げる、夕鈴に。

公の手が伸びた。




私は、どうしたらいいんだろう。

いくら自分に問いかけても、どれほど考えても、答えは出ず。

しっとりと湿った空気が揺れるのを感じながら、夕鈴はなされるがまま、身を任せる。


__________『後宮の悪女』は下賜されたほうが陛下のため。


一度浮かんだ考えは、消えず。

目の前の晏流公が自分の衣装を剥いでいくのを。

他人事のように、見つめていた。


帯を解かれて、幾重にも重ねた衣を剥ぎ取られ。

下着すらも、取り除かれる。


「・・・さすがに、美しいな。」


陛下と同じ声で、公が囁いて。

夕鈴は、目を瞑った。


____________これが、きっと。


陛下の、ため。


「手荒な事はせぬ・・・案ずるな。」

黎翔と同じ優しい声音と共に、公の身体が夕鈴の脚を開き。

黎翔と同じ大きな掌が、まろやかな曲線を撫でる。


これで、いい。


____________陛下。



そっと、一筋の涙が夕鈴の頬を伝ったとき。


「・・・これで、私が王だ・・・」


公が囁いた言葉が、夕鈴を呼び戻した。



「っ!」

跳ね起きた夕鈴は、散らばる衣装をかき集めて前を隠し。

「_________どういうこと?」

震える声で、問う。

「・・・『珀黎翔』になるのは、私だ。」

晏流公は、再び夕鈴を組み敷き。

「いやぁっ!!」


夕鈴は悲鳴を上げた。


私がいなくなれば、陛下のためになると思ったのに。

違うの?


全身を這い回る公の唇と、掌が。

「手荒に抱きたくはない。諦めろ。」

黎翔と同じ声が。

夕鈴を混乱させる。


「お前を手に入れれば・・・狼陛下の花嫁を手に入れれば・・・私が・・・」


苦しげに顔を歪めて、呟いた公が。

夕鈴を奪おうとした時。


「ご無礼申し上げますっ!・・・陛下のお越しにございます!!」


慌しい足音が響き渡り。

公の動きが止まった。








「国王陛下。ようこそお越しになられました。」


優雅に微笑んだ蘭瑶は、礼を取り。

今頃は公の腕の中であろう、寵妃を思った。


顔を背けて差し上げて?

伸ばされた手を、振り払って差し上げて?


私と同じ苦しみを、この目の前の・・・・愛しい夫の、『本物』の息子に。

私と公を『偽者』にした、罰を。

__________この人に。

優しくて美しくて強かった、あの方の、息子に。

私と同じ苦しみを。

与えて?


「・・・やっと、終わりが参りましたわ。」


小さく呟いて。

蘭瑶は黎翔を誘った。


公の寝室へ、と。





近づいてくる靴音に。

晏流公は終わりを悟った。


この長くて無意味な茶番が、ようやく終わる。

枯渇し、疲れ果てた自分が。

ようやく、終りを迎える。


煩わしい水のせせらぎと。

今はもう散ったはずの、大嫌いな金木犀の香が。

公に届いた。






「・・・・夕鈴。」

案内されたのは、弟の寝室で。

「お望みの『花』は、こちらですわ。」

扉が開かれた、瞬間。

黎翔は思わず目を瞑った。


夕鈴。

僕は君を護れなかったのだろうか。


「・・・・兄上。」


寝台の上で白い身体を組み敷く、弟。

場にそぐわぬ穏やかな笑顔が、黎翔の不安を煽る。


「お久しぶりです、兄上・・・いえ、国王陛下。」

ゆっくりと寝台から降りる公の後ろで。

夕鈴が震えているのを認めた黎翔は。

剣を抜き、公に突きつけた。

「覚悟はいいな?」

切っ先が肌を破り、血が流れる。

無造作に振るわれる、黎翔の剣を。

「陛下、ダメです!」

「__________夕鈴。」

妃の叫びが、止めた。



「君を傷つけた者を、庇うのか?」

声の冷たさに青ざめながらも、夕鈴は声を張り上げた。

「・・・傷つけられてなんて、いませんっ!」

「ではその姿は、何だ?」

「・・・大丈夫、です。なんでも、ありません。」

「そんなはずがなかろう?」

敷布を引き剥がし、乱暴な手つきで夕鈴に着せかけ。

「_________君は、優しすぎる。」


そう呟いた黎翔の背後に、刃が光り。

「陛下っ!!」

どんっ、と鈍い音がして。

「・・・・へい、か。」

床に突き飛ばされた黎翔の目に。

崩れ落ちる夕鈴と、血に染まる白い布が映った。



「侍医を!」

叫んだ公は、血に染まった両手をぼんやりと眺める母に駆け寄り。

「夕鈴っ!!」

黎翔は傷口を探る。

「だ、大丈夫・・・です。」

痛みに顔を顰めた夕鈴は、腕を押さえて。

安心させるように、微笑んだ。

「掠っただけですから。」



「・・・・陛下、こちらを、見て・・・?」

真っ赤に染まった自らの手を、見つめて。

「私は・・・こちらです・・・あの方じゃなく、私を・・・お願い申し上げます・・・」

蘭瑶は、呟く。

「わたくしの、名を・・・よんでくださいませ・・・あの方ではなく、わたくし、を・・・」

繰り返し、繰り返し。

涙を流し、言葉を紡ぐ。

溢れる涙を拭いもせず、ただひたすらに、血に染まった手を黎翔に伸ばす、蘭瑶の姿は。

痛ましくも、美しく。


「・・・・」

無言で愛しい妃を抱き上げた黎翔は。

邸を後にした。





「__________宜しいのですか?」


王都へと戻る馬車の中で、李順は訝しげに眉を顰めた。

「潰すなら、」

「よい。捨て置け。」

「・・・はい。」


黎翔は傍らに座る夕鈴の髪を一房、手に取り。

口づける。

「っ!」

頬を朱に染めた夕鈴を、愛しげに見やり。

黎翔は窓の外に目を向けた。



蘭瑶は、気が触れ。

晏流公は、自ら蟄居した。


水に溢れた街で。

枯渇し、喘いでいた、悲しい妃と皇子は。


「・・・・私、なのだ。」


かつての自分と母の姿。

求め、喘いでいた、かつての自分。


唯一の花に、出会う前の。

乾ききった、自分。


今は、ただ。

彼らに、安らかな日々が訪れん事を。


遠くに霞む町並みを見つめる、黎翔の視界が、潤み。


「___________陛下?」


雫が、花に降り注いだ。

C.O.M.M.E.N.T

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2013/11/20 (Wed) 23:26 | # | | 編集 | 返信

慎さまへ

コメントありがとうございます。
完全捏造の妄想な「枯渇」。
書き始めたきっかけは、
「なぜ陛下には弟がいるのか」
でした。
随分と、迷走してしまいました。
ふふ。
反省。

2013/11/21 (Thu) 12:47 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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