2013_11
16
(Sat)15:28

青慎の一日・続前

こんにちは。
あさ、です。

SNSの我が家で34000人目のお客様となられた羽Rさまのリクエストです。
HNが隠れていないような気がするのは、気のせいです。うん。←




【設定・未来】
【捏造ありまくりです】
【青慎官吏になってます】

*以前ブログに掲載した、「青慎の一日・続」より少し前の時間設定になっております。

ちなみに。

「青慎の一日」
「青慎の一日・続」  

です。



《青慎の一日・続前》


当たり前だけど、王宮は広い。

たくさんの人がいて、たくさんの考えがあって。


でも、僕は。

僕の、思う通りに歩くことしか、できない。









最年少で政務室付となった、汀青慎。

状元で官吏になった彼を初めて見るものは、皆一様におかしな顔をする。

少年、なのだ。

どこからどう見ても、人の良さそうな愛らしい少年にしか、見えない。


女官達にもきちんと挨拶をし。

侍官にもしっかりと頭を下げる。


「汀青慎、と申します。宜しくお願い致します。」


どこまでも真っ直ぐな物言いと、ふわりとした笑顔が。

__________誰かに、似ている。

そう思いながら。

どうしても憎めぬ、年若な状元を。

王宮の者たちは素直に受け入れ始めていた。




同期入庁の官吏達の殆どは、自分よりも年嵩だ。

青慎は一番に登庁して、新人官吏に与えられた詰め所を整えるのが日課だった。

「おはようございます。」

誰もいないとは思うが、一応挨拶をして。

今朝も青慎は詰め所の扉を一番に開けた。

窓が閉まったままの室内は、薄暗くて。

墨の香が籠もり、少しだけ怖い気がする。

早く空気を入れ替えようと、青慎の手が手近な窓に伸ばされた時。

「っ?!」

細いくせに大きな掌が青慎の口を塞ぎ。

「・・・お静かに。」

憔悴し切った声が落ちてきた。



「汀青慎はいるか?」

国王の補佐官である柳方淵は、己の優秀な部下を探し歩いていた。

誰より先に政務室にいるはずの部下は、今朝はおらず。

珍しいこともあるものだ、と、少し案じながら仕事をしていたのだが。

昼前になっても、部下の姿は見えぬままで。


__________何か、あったのだろうか。


方淵は痺れを切らし。


「氾水月!二刻ほど席を外すが、私が居らぬ間に逃げるなよ?!」

「・・・・わかったよ。」

「その間は、なんだ!」

「・・・・・・・大丈夫、だよ。」

「もっと開いたぞ?!」


唯一自分の代わりが勤まる同僚に、後を頼んで。

部下を探すため、席を立った。




「_________次。」

「はい、こちらです。」

「次。」

「どうぞ。」


白陽国の正妃の居室は、質素だ。

豪奢な家具や装飾品が所狭しと並べられるのが普通の、後宮で。

この部屋だけは、余計な飾り物ひとつない簡素な空間が保たれている。

だが、その居心地の良い部屋は。

地獄の様相を呈した執務室と化していた。


「・・・・あと、どれだけあるんだ。」

「・・・・・。」

殺気すら感じさせる狼陛下の呟きを無言で流す、李順。

「陛下、あと函半分ほどです!頑張りましょう!」

慌てて取り成す、青慎と。

「ほんと?!」

ぱあっと顔を輝かせる、黎翔。


「_________青慎殿。資料が足りません。」

「はいっ!こちらに!」

「・・・さすがに手際が良いですね。」


ふっ、と息を吐いた李順は、細い指先で眼鏡を外し。

疲れ切った表情で目頭を押さえる。


「大丈夫ですか?」


おそらく徹夜続きであろう李順を気遣い、青慎は熱い茶を淹れようと、立ち上がった。


「青慎殿。茶なら、女官に__________」


少し声高に、李順が言ったとき。


「_________青慎!お茶なら姉さんが淹れるから、あんたは仕事に戻りなさい!」


我慢の限界を迎えた正妃が。

音高く寝室の扉を開け。


「夕鈴っ!!!」

「夕鈴殿・・・」

「_______姉さん。」


三人の声が重なった。



事の起こりは、五日前。

早朝から行われる正妃主催の祭事の為、早くに寝んだ夕鈴を。

腹を空かせた狼が貪った。

なんとか祭事をこなした夕鈴ではあったが、その怒りは五日経ってもおさまらず。

限界を迎えた黎翔を見かねた李順が、青慎を呼んだのだ。



________弟君が来さえすれば、正妃様もすぐにお顔を出される事でしょう。



その李順の考えは、甘く。

青慎到着後半日以上も、夕鈴は寝室に籠もり続けた。


この上政務を滞らせては、正妃の怒りはおさまらぬ。

黎翔は必死に筆を走らせ、書簡に目を通し、印を捺し。

ほんの少しの間だけ留め置かれるはずだった、青慎は。

国王と側近の補佐に回る事となり。

またその任に、充分に堪えた。


____________使える。


まだ少し頬を膨らませ、陛下に茶杯を手渡す正妃と。

笑み崩れる国王を視界の端で捕らえながら。


李順は、ふわりとした空気を纏う、新芽を。

この御世に撒かれた、新しい希望を。

心からの笑みを持って、見つめ。



「________汀青慎がこちらにいると伺ったのですが・・・」


茶杯を間に並ぶ、正妃と青慎を見比べた、柳方淵は。


___________ああ、そうか。


ずっと胸につかえていた疑問が氷解するのを感じた。


真っ直ぐな気性と、清々しいまでの潔さと。

前を向く強さと、優しさ。


___________似ていた理由は、これか。


ならば、私のすべき事は。

今まで通り、全力でお仕えするのみ。


しばし目を閉じた、方淵に。


「__________方淵。青慎と共に政務室に戻れ。」


何事もなかったかの様に、黎翔が命じ。


「陛下もお戻り下さい!」


正妃の元気な声が温かな空気に満ちた室内に響いた。
枯渇8   
«  HOME  »

C.O.M.M.E.N.T

こちらのリンクきれてます。

2015/09/04 (Fri) 23:54 | 行 #jxT87rSU | URL | 編集 | 返信

はじめまして!

1ヶ月程前から頻繁にお邪魔しております、minaと申します。いつも楽しく拝読させて頂いてます!

13巻で気分が盛り上がり過ぎて出てきてしまいましたσ(^_^;

あさ様はもうお読みになりましたか?
赤面陛下が可愛くてっ(//∇//)
何度読み返した事か…。

13巻絡みの作品も楽しみにしています(^-^)


私、どうもこの青慎くんシリーズがツボでして。
原作はどうやってバラすのか今からハラハラドキドキしております。
青慎が官吏になって初出仕の王宮で真実を知る…なんてどうでしょう?夕鈴が早く言いたくてそわそわしたり、それで我慢できないのかって陛下にお仕置きされたり…(//∇//)

私には文才がないので残念ながら形になりませんが(T^T)

これからも更新楽しみにしています(^-^)

2015/09/10 (Thu) 00:31 | mina #- | URL | 編集 | 返信

mina様へ

初めまして。
お越し下さってありがとうございます。

13巻が発売され、コミックス派の方々と萌えを共有できるのを心待ちにしておりました。
陛下おめでとうー!!

我が家の青慎君シリーズを気に入って頂いて嬉しいです。
原作ではいつばれるんでしょうね。
青慎くんなら「ああ…うん。」と、全てを瞬時に悟りそうです。

2015/09/10 (Thu) 21:38 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

コメントの投稿

非公開コメント

トラックバック