2013_11
07
(Thu)18:01

枯渇 2

【9巻未収録のネタバレを含みます。】
【基本的に、捏造の塊です。】
【オリキャラも出るかもしれません】
【臨時花嫁です】



《枯渇 2》




どこを歩いても水のせせらぎが聞こえ。

しっとりと湿った空気は、郷愁を呼ぶ。

懐かしい景色を楽しみながら、目的地へと足を運ぶ黎翔の首筋に。

ちりっ、と、鋭い痛みが走った。


「・・・・?」


眉を顰めて立ち止まり。

嫌な予感で満たされていく自分に戸惑いながら、黎翔は思わず振り返る。


___________夕鈴?


「陛下、どうかなさいましたか?」

「・・・いや、なんでもない。」


そう答えはしたものの、克右と並んで自分に手を振った夕鈴の姿が、脳裏から消えず。

ちりちりと、嫌な予感が胸を押しつぶす。


「________浩大、夕鈴の無事を確認してくれ。」

「え?ごつい護衛がついてるのに?」

「・・・・頼む。」


自分を見つめる黎翔の瞳が、不安で揺らいでいるのを確認した、浩大は。


____________やっぱ、お妃ちゃんって、すげえ。


「了解!」


にぱっと笑って、姿を消した。





「・・・・困った事に、蘭瑶様が晏流公のお側を離れません。」


申し訳なさそうに述べる、温老師は。


「今一度、機を伺います。」と言い二日後に再会する旨を約した。


わざわざ夕鈴と別行動をとってまで、弟に会いに来たというのに。


_________蘭瑶。

また邪魔をするか。


「どこまでもやっかいだな、まったく。」



舞姫だった母を蔑み。

我が子こそが王に相応しいと臆面も無く言ってのける、やっかいな女。


父上。

・・・何故あんな女を。



「陛下っ!」


舌打ちをしかけた、黎翔に。

浩大の緊迫した声が届いた。









「こちらへ。」


克右さんと私が連れて来られたのは、やたらと立派なお邸で。

通されたのは、王宮と似た香が立ち込めた、豪奢な部屋の中。

後ろ手に縛られた手首が、少し痛かったけど。

私同様の姿の克右さんが、にこにこと笑っているから。

ちょっとだけ、安心していた。


「膝をつけ。」


言われた通りに膝を折って。


「礼を。」


頭を垂れる。


上質な絹がさらりと流れる音がして。

ちりん、と、布靴の飾りが。

しゃらん、と、簪が歌い。


「_________ようこそ。・・・王宮の方々。」


張りのある、はっきりとした女性の声が聞こえた。



「お茶くらい出して差し上げなさい?まったく気が利かないこと。」


柔らかな笑みを浮かべ、だが、目だけは笑わず。

貴人であろうその女性は克右と夕鈴の縄を解かせた。


「驚かせてごめんなさいね?」


少しも悪びれずに言う、その唇は。

鮮やかな紅色が良く似合い。


「どうしても伺いたい事があって・・・・」


すまなそうに下げられた柳眉は。

優雅という言葉がそのまま当てはまった。



「そういう事なら、こんなものは必要なかったんじゃないですかね?」


手首についた痣を指し示しておどけてみせる克右は。


「遠慮なく頂きます。」


運ばれてきた茶杯を、躊躇いなく口に運ぶ。

少し痺れた指先のまま、夕鈴もそれに倣い、王宮と同じ香のする茶を味わった。


__________あ、この間陛下にお淹れしたお茶と、同じかも。


舌先で茶を転がし、その甘さを楽しみ。

微笑を浮かべて、茶杯を干す。


「まあ!愛らしいこと!」

「・・・え?」


気付けば、眼前には貴婦人の顔があり。

きらきらした瞳が自分を品定めしているのが良く分かった。


「あ、あの・・・・」

「___________そちらの軍人さん。こちらのお嬢さんは?」


夕鈴から目を離さずに、鋭く問いを投げた貴婦人は。


「王宮の掃除婦ですよ。今回は、たまたま________」


澱みなく答える克右の言葉を遮り。


「________たまたま、ね。」


呟き。


「宜しくね?・・・汀夕鈴さん。」

「________っ!!」


少しも笑わぬ笑みを、その美しい頬に浮かべた。




「枯渇3」へ
«  HOME  »

C.O.M.M.E.N.T

なぬっ!?

ちょっとヨロヨロになっている間に、こんな楽しい展開が!
汀夕鈴さん、可愛いから。
陛下も心配が絶えないこと。ほほほ。
早くくっついちゃえ!

2013/11/07 (Thu) 22:59 | 羽梨 #- | URL | 編集 | 返信

Re

いやそれ、「ちょっと」じゃなくて「かなり」ヨロヨロですから。
汀夕鈴さん、愛らしいですよね。
背中も柔らかそうだし。(もう素敵イラストから抜け出させない)
ああ、弄りまくりたい。
そして陛下はどんどんどす黒くなればよい。
楽しんで書いております。

2013/11/08 (Fri) 07:56 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

コメントの投稿

非公開コメント

トラックバック