2013_10
21
(Mon)21:59

言葉

こんばんは。
あさ、です。

少し暗くて長いSSです。

長すぎると、携帯で見られないと、聞いた事があるのですが。
もし、そんな事になっておりましたら、お教え下さい。

分割します。←最初からしなさい

切り所がなかったんですー!!←言い訳




【設定・未来夫婦・お子様あり】
【オリキャラが出ます。長男・清翔くんです。】



《言葉》




どこにいても。

君は、私の愛しい后であり。



誰といても。

貴方は、私の愛しい、夫。









正妃となった夕鈴が太子を産み、しばらく経った頃。

黎翔の元には、後宮入りを願う奏上が相次いでいた。



太子の地位を、少しでも危うくするための。

正妃の立場を、少しでも脆弱にするための。


狸たちの、見え透いた謀。



王の湯殿には、見知らぬ女が侍り。

寝所には、名も知らぬ女が横たわる。



その事実は、消そうとしても消せるものではなく。

王の手がついたか否かに関わらず、噂は独り歩きを始める。



侍女たちの不安そうな顔と。

女官達の囁きは。


夕鈴の心を、苛んでいた。





「おかえりなさい、陛下。」


いつも通り黎翔を迎えた夕鈴は、ころりとした形の茶器を手に取り。

いつもより少し熱めの、茶を淹れる。


「ふぅ、疲れたー。」


長椅子にゆったりと座りながら、黎翔は愛しい妻を見つめ。

異変に、気付いた。


目尻が、赤い。


頬にも、瞼にも。

瞳の色にも、変わりはないが。


ほんの僅かなその赤みが、黎翔の目に止まった。


__________何を憂いて泣いたのか。


そう思った時。


「ちー、うえ!」


ようやくしゃべり始めた清翔が、父に向って手を伸ばし。

おぼつかぬ足取りで、こちらへと向ってきた。


「清翔、いい子にしていたか?」


柔らかく微笑んだ黎翔は、清翔を抱き上げ。


小さく、問う。


「・・・母上は?」


ことん、と首をかしげた清翔は。

くるりとした丸い目を、もの言いたげに潤ませ。


「・・・はーうえ」


回らぬ口を、懸命に動かし。


「たい。たい、たい。」


父に、伝えた。


「・・・・そうか、母上は、痛い痛い、なのだな?」


やはりそうだったか、と、心の内で呟いた黎翔は。


「あい!」


笑顔を浮かべた清翔を、ゆったりと、包み込むように膝に乗せる。

少しだけ何かを呟きながら、黎翔は我が子を抱き続け。

小さな口を開けて、あくびをした、清翔は。

ゆっくりと幸せな眠りに落ちていった。


安堵と、共に。





「本当に、陛下はお上手ですよねー・・・」


自分より寝かしつけるのが上手いかもしれない、と、思いながら。

夕鈴は、寝台で安らかに眠る我が子の頬を撫でた。

吸い付くように柔らかい、幸せそのものを集めたような、寝顔。



____________私には、この子が。


そう思う。


『寵とは、儚いもの。』


幾度となく囁かれた言葉が、胸に刺さる。



でも、今は。


この子がいる。


折れそうになる心を、支え。


すっかり冷めてしまった茶を淹れなおそうと、立ち上がった夕鈴を。



「_______________だめ。」



黎翔の腕が、持ち上げた。







乱暴に抱き上げられ、長椅子に押し倒され。

痛みを覚えるほどに、拘束される。


「っ?!」


何か、したのだろうか。


『・・・王の寝所に侍ったのは、さる大臣の姫君とか・・・』


いや。


記憶から消したい言葉が、甦る。


『正妃への寵愛など、時を置かずして、薄れる・・・・』


掴まれた腕の痛みに、不安がよぎる。



今、なのだろうか。

恐れていた、必ず来る、その日。

何も持たない『正妃』が、要らなくなる、日。


そう。

わかっていた。


太子がいさえすれば、私なんて、要らない。

だって、私は___________



「・・・・・りん、ゆうりん、夕鈴っ!!」



肩を掴まれ、揺さぶられ。


夕鈴は、ようやく我に返った。



「・・・あ・・・・は・・・」


歯の根が、合わない。


「・・・・はっ・・・・・っぅ・・・・ひ、」


「夕鈴っ!!!」


息が、出来ない。


苦しい。


「ひっ・・・・っ・・・・っ・・・・・」


「っ!夕鈴、息を吐け!」


だめ。

もう、要らない。

もう、私は、ここに、居られない。


「っ・・・っ・・・・ひ、ぅっ・・・」


息の仕方が、分からない。


もう、要らない、から。

もう、要らない、なら。


_______________このまま。



白く染まる、視界に。

夕鈴は、ゆっくりと意識を手放した。





「夕鈴っ!!!」


目を閉じかけた夕鈴の身を起こし。

天突に指を押し当て、息を吐かせる。


「ふ、うっ・・・・ぐっ!」


ゲホゲホと咳き込みながらも、夕鈴の目は覚めず。


冷え切った身体と、蒼白な顔に。

力の抜けきった腕と、何の反応も示さぬ手に。


まるで、自ら望んで息を止めてしまいそうな、その姿に。


黎翔は、血の気が引くのを感じた。



「老師を呼べっ!!!」



狼陛下の大声に、侍女たちは走り出し。

穏やかだった後宮が、俄かに慌しくなる。


バタバタと足音が行き交い、黎翔の怒声が飛び。


女官達は、ガタガタと震え。

侍女たちは涙を浮かべて、正妃の身体を温めるべく湯を沸かし、温石を仕度し。



ただ、清翔だけが。

独り静かに、寝息を立てていた。



「簡単な、ものだな・・・」

女官に扮した刺客が、清翔の寝台に忍び寄り。

そっと、帳をくぐる。

醜い笑みを浮かべた、その刺客は。

手で、清翔の鼻と口を、覆い。

「・・・・くくっ。」

と、哂った。


刹那。


しゅん、と音がして。刺客の身体が崩れ落ち。


「・・・ばーか。」


小さく呟いた浩大は。

意識を失った刺客の背を、踏みつけ。


「父上は、母上とお話中だから・・・・太子は俺で我慢してくれよな?」


清翔の愛らしい寝顔に、微笑みかけた。







「大丈夫、すぐに良くなられますぞ?」


脈を測り、呼吸を確認し。

侍女たちにあれこれと指示を出した後、老師は黎翔に礼をとった。


「心労、ですな。」

「・・・・・」


無言で、老師は部屋を下がり。

黎翔は、拳を握り締めて、立ち尽くす。


「・・・なぜ、何も言ってくれない。」


ぎりっ、と噛み締めた唇に、血が滲んだ。




君が、言わぬなら。


_________言えぬなら。


私が代わりに紡ごう。


言葉を。


「夕鈴・・・・お願いだ。ここに、いて?」


願おう。


君と僕の、願いを。


「例え、何があろうが。例え、何処にいようが。」


夕鈴。

僕と、君は。


「__________離れない。」


黎翔から伝った、透明な雫が。

夕鈴の頬を、濡らし。


「・・・・へい・・・か・・・・」


微かな囁きが、零れる。


「い、て・・・いい、の?はなれ、なくて・・・いい、の?」


ゆっくりと開いた目が、不安に揺れていて。

堪えきれなくなった黎翔は、妻を掻き抱き。

嗚咽した。


「ごめん、ごめん・・・・・ごめん_______っ!」


自分が手放せないばかりに、苦しめる。

自分が愛するが故に、悲しませる。


でも。

それでも。


「ここに、いて?」


残酷に、願い。


「いなくならないで。」


我儘に、縋る。


黎翔の頬を伝う涙を、そっと拭い。

夕鈴は、困ったように微笑んだ。


「_________私は、あなたの后、ですよ?」

「ゆう」

「どこにいても、なにをしていても・・・・そう、でしょう?」

「っ!」


その哀しげで美しい笑顔に、焦燥感にかられた黎翔は。

必死に言い募る。


「ここ、だ。君は、『ここ』にいるんだ。どこにも行かせないっ!」

「へい、」

「置いて行かないでくれ。頼むから。お願いだから。」

「・・・・」

「ダメだ。行かないで。もう、独りは・・・・・」


いや、だ。


言葉が、言葉にならず。

空を彷徨う。


ふぅ、と大きく息を吐いた夕鈴は。

不安げに紅い瞳を揺らす、夫を。

自分だけを求めてくれる、夫を、見上げ。


代わりに、紡ぐ。


言葉を。


「独りになんて、させません。」


目を瞑り、ゆっくりと息を吸い。

迷いを、振り払う。


「貴方を、独りになんて_________させない。」


もう、揺らがない。

もう、決して、迷わない。


貴方は、私の夫で。

私は、貴方の妻。


「愛しています。」

「愛している。」


それ以外には、何も、要らない。

そう。

______________言葉、すら。

C.O.M.M.E.N.T

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2013/10/22 (Tue) 03:41 | # | | 編集 | 返信

慎さまへ

すーてーきーっ!!
ありがとうございますっ!
なんて素敵なイラストーーーっ!!
にまにま、によによが止まりませんっ!
ありがとうございますっ!!
ありがとうございますっ!!
清翔へのお褒めのお言葉、ありがとうございます。
男の子は、特にかわいいです!←リアと混ざってる

2013/10/22 (Tue) 07:46 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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