2013_09
09
(Mon)13:13

てのひら

こんにちは。

あさ、です。

更新もないのにお越し下さって、本当にありがとうございます。

拍手コメへのお返事も滞っておりまして申し訳ございません。

御礼の代わりと言ってはなんですが、一つ書けましたので、もし宜しければ!



【設定・バイト終了】


《てのひら》




想いがあふれ出す。

この掌から。







「え?夕鈴、帰っちゃうの?!」


いつも通り夕鈴の部屋に渡った黎翔を待っていたのは、下町の姿の、夕鈴。


「_________はい。お世話になりました、陛下。」


唇を噛み締めて、夕鈴は俯き。

掌を握り締めて、黎翔は平静を装う。


「・・・聞いてないよ。びっくりしちゃった。」


頭を擡げそうになる狼を、押さえ込み。

必死に言葉を探す。


「今まで、ありがとう。ごめんね、いっぱい危ない目に遭わせちゃって。あと、ご飯作ってくれて、ありがとう。温かくて、本当に嬉しかったんだよ!あ、あと、お茶も!安心して飲めるお茶なんて、初めてだったんだ!それと」

「陛下。」

「それと、いつも狼陛下で怖がらせて、ごめんね!君が嫌がっているのは分かっていたけど、無理に演技させて、ごめ」

「陛下・・・もう・・・・」

「・・・・・ごめ、ん。夕鈴。ごめんね、ごめんね。」


ぎゅっ、と黎翔を抱き締める夕鈴の背に。

黎翔の腕が回され。

今にも涙が零れ落ちそうな瞳で、夕鈴はにっこりと微笑み、そっと囁いた。


「陛下・・・・お願いが、あるんです。」

「・・・なに?何でも言って?」


頬を桜色に染め、夕鈴はやっとの思いで。


「__________口付け、して下さい。」


『願い』を口にする。

刹那。

黎翔の唇が、夕鈴のそれを塞ぎ。

時が、止まった。












夕鈴が下町に帰った、翌朝。

一睡もせずに執務机に座り続ける黎翔を、李順はため息と共に見つめた。


____________まったく、手のかかる。


私を誰だとお思いですか?陛下。

「冷酷非情の狼陛下」にお仕えして、もう幾年経ったとお思いですか?

自由奔放で、気ままで、気まぐれな。

私の唯一人の主の為に。


「・・・何の手も打っていないと、お思いですか?」


小さく零れた李順の言葉が、黎翔に届き。

光を失った紅い瞳が、生き返ったように力を取り戻す。


「いいのか?」

「お心のままに。」


短く言葉を交わすと、黎翔は王宮を飛び出した。








溜まっていた洗濯物を、片付けて。

門前を清めて。

朝餉の仕度をして、父さんと青慎を送り出して。


ええと、それから。


_____________なにをすれば、いいのかしら。



過分に退職金を頂いたから、学費に困ることもないし。

父さんの借金も、あらかた返し終わっている。



『夕鈴』


少し気を抜くと、すぐに陛下のお顔が浮かんできて。

ダメになりそうになる。


私を抱き締める腕の力強さ。

深い森の中にいるような、陛下の香り。

縋るように私を求めた、唇。


『夕鈴』


狼陛下の怖い顔と。


『夕鈴』


小犬の陛下の、優しい顔。


『夕鈴』


「へい、か・・・・・」


ぽろり、と手の甲に雫が落ち。

溢れ出した涙は、もう止められなくて。

後ろに人の気配を感じて、慌てて涙を拭い。


「青慎、起きたの?すぐご飯つくっ・・・・!」


振り返った夕鈴の目に映ったのは、昨夜見たままの陛下の姿。





肩を震わせて泣く夕鈴を見つけた。

王宮の方角を見つめ、静かに泣いている君。


「へい、か・・・・」


僕を呼んでくれたの?


人の気配に振り向いた君に。


僕は、手を差し伸べた。


「夕鈴。君を離したくない。ずっと、ずっと、僕の側にいて欲しい。」


初めて口にする『願い』を。

この掌に、乗せて。


「__________おいで。」


僕は、手を伸ばす。

君に。



つないだ手から、触れ合う掌から。

想いが溢れ出す。


____________そう。君となら。


____________貴方となら。


何があっても、きっと大丈夫だから。


「帰ろう?夕鈴。」

「はい!陛下!!」


眩しいほどの朝日が、二人を照らした。
御礼   
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(*´д`*)

おいでされた。おいでされた。
飛び込んでいきたい。
たとえ陛下にどんな過去があっても、今と未来があればいいっ!
おいでっていいなあ。
自信のある男にしか言えないセリフですよね。
言われてみたい。
手をとって、引き寄せられて、抱き締められたい。
すみません。欲求不満です(笑)

2013/09/09 (Mon) 16:17 | 羽梨 #- | URL | 編集 | 返信

Re

そうそう、どんな過去があっても、ね。ふふ。←おい
おいで、大好きなんですよ。悶えるほど好き。(おかしい)
李順さんに、させましょうか?にやり。

2013/09/09 (Mon) 16:33 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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