2013_08
21
(Wed)13:27

弱点 2

【設定 臨時花嫁】


《弱点 2》




「夕鈴っ!!夕鈴っ!!!」


黎翔が叫び声を上げて、程なくして。

解毒薬を携えた老師が息を切らして現れ。

それを奪い取るように受け取った黎翔が、口移しで薬を飲ませる。


_________と、同時に。


部屋中の灯りが消え。

物騒な金属音が飛び交った。



「陛下!残り、三人っ!」

「浩大っ!一人残せ!老師!夕鈴を死なせるな!!」

「お任せを!」


ゆらり、と立ち上がった黎翔の瞳は、夜目にも紅い光を放ち。

冷酷非情の狼陛下が、牙を剥いた。





しばらくして。

妃の部屋を満たしていた生臭い匂いが、ようやく薄まる頃。


「_____________なんとか、解毒は間に合いましてございます。」


ほうっ、と安堵の表情を浮かべ、老師は黎翔に礼を取った。


「捕らえた女官が口を割ったよ。これ、弟君の解毒剤。」

「浩大はすぐに夕鈴の実家へ向え。青慎君に薬を。その後は李家に預けろ。老師。夕鈴を私の部屋に移すぞ。」


「了解」と短く答えて、浩大はすぐさま下町へ向い。

黎翔は、意識の戻らぬ夕鈴を抱き上げ、自室へ向かった。


「・・・夕鈴。自分が死ねば、青慎君も僕も助かるって・・・・そう、思ったの?」


何故、気付かなかった。

彼女は私に毒など盛らない。


彼女は、何があろうと・・・・自分より他人を優先する。


『ずっと、好きでした。』


美しく笑んだ君。


「____________何故、守れなかった。」


青ざめた顔で眠り続ける夕鈴を抱き締めた黎翔は、いつまでも動かなかった。














「・・・夕鈴、大丈夫?」


翌朝。

夕鈴を守るように抱き締めて眠った黎翔が、目覚めると。

夕鈴の目は、開いていた。


「すぐに解毒したから・・・青慎君も、もう大丈夫。今は李順のところにいるよ。」

「あ・・・よ、かった・・・・」


黎翔に向けられた夕鈴の目は、宙を彷徨い。

___________何も、映しておらず。


「ゆう、りん?」


がばっと起き上がった黎翔は、ゆっくりとその手を夕鈴の眼前にかざす。


「・・・・陛、下・・・・真っ暗・・・今は、夜ですか?」


黎翔の目の前が、黒く染まった。







「・・・・どれ、脈を。」


老師の優しい声に、ようやく気持ちが落ち着いた。

瞬きをしても、空を見上げても。


何も、見えない。


____________陛下のお顔が、見たい。


もう、見られないのかしら。


「・・・陛下、どこ?」

「夕鈴、私はここにいる。安心するがいい。」


黎翔は縋るように伸ばされた夕鈴の手を、しっかりと包み込み。

難しい顔をして脈を測る老師に、苛立った声を投げる。


「どうなのだ!」

「お静かに。」


しばらくして、老師は額の汗を拭いながら、立ち上がり。


「_________少々時間はかかりますが、大丈夫。見えるようになりますぞ。」


夕鈴に向って、安心させるように微笑んだ。






薬で眠った夕鈴の護衛を、浩大に任せ。

黎翔は老師の自室に居た。



「・・・で?」

「・・・五分五分、と言った所ですかの・・・・」


黎翔の拳が白くなるほどに握られ、肩が細かく震え。


「_________毒の影響か?」

「左様にございます。」


老師は深々と頭を垂れる。


「解毒は順調に進んでおります故、どこまで回復なさるかは、お妃様の気力と体力次第でございます。」

「気力と、体力・・・・か。」


呟いた黎翔は、老師に背を向け。


「私にできる事は、ないのか?!」


ガツンッと壁を叩く。


そんな黎翔を、悲しげに見つめた老師は。


「・・・お妃様に安らぎを差し上げてくだされ。陛下にしか出来ぬ事でございますぞ?目が見えぬ不安は、余人には計り知れないものでございましょう。陛下がそのように動揺なさっては、お妃様のご心痛が募るばかりでございますぞ?」


身を震わせて天を仰ぐ国王を、優しく、諭した。




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C.O.M.M.E.N.T

ううっ(つд`)

目が見えないなんて!
妖艶な陛下の笑みを見れないなんて!
拷問ですかっ!?
そうだ!夕鈴を癒やすために、愛を伝えるってどうでしょう?
寝台で。←
ダメだ。慎さまの素敵イラストの破壊力で全ての思考が鍵に向かっていきます。

2013/08/21 (Wed) 14:02 | 羽梨 #- | URL | 編集 | 返信

Re

そうですよね。
陛下が全身で愛を伝えれば、きっと!!
もう、早く終わらせたくて仕方ありません。

2013/08/21 (Wed) 15:26 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

わ~ん(>_<)

ゆ、ゆ、ゆうりんの目が…目が~(T□T)
治るの?!治りますよね~?!
…アレ?老師が優秀で優しい人に見えてきた…(◦_⊂)?
…末期ですかね?
私も目がッ!!!

2013/08/21 (Wed) 15:51 | さき #- | URL | 編集 | 返信

えーんえーん

引き続き、泣いております…
ひどいひどい。
やだやだ、ちゃんと見えるようにしてよ
ゆーりんもどしてよぉ、えーんえーん T□T
…へーかのいやしって? ちらりキョロキョロ ←

2013/08/21 (Wed) 16:34 | おりざ #iPUlC.7. | URL | 編集 | 返信

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2013/08/21 (Wed) 18:45 | # | | 編集 | 返信

夕鈴の目がぁ~っ
私の目でもいいでしょうか?なんとしても見えるようにしてあげて下さい・

2013/08/21 (Wed) 19:58 | ともぞう #- | URL | 編集 | 返信

Re

さき様へ
今、最終話をUPしました。
大丈夫です、すぐに良くなりますよ。
目、大丈夫ですか?ふふ。

2013/08/21 (Wed) 20:00 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

Re

おりざ様へ
夕鈴がかわいそうなので、早々にラストにしてしまいました。
かわいそうなら、書くなー!と自分に突っ込んでおります。

2013/08/21 (Wed) 20:01 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

慎さまへ

慎様っ!!
羽梨様のおうちの、素晴らしいイラストっ!!!
もう、穴が開くほど見つめておりますっ!!
眼福ここに極まれりっ!!!(落ち着け)
うちの陛下は、どうもメンタルが弱くて。
夕鈴がらみになると、すぐに取り乱します。
続き、UPしました!最終話です。

2013/08/21 (Wed) 20:03 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

ともぞう様へ

いえいえ!そんな事仰らないで下さいっ!
大丈夫、すぐに治しますっ!
っていうか、もう最終話UPしましたっ!!
ごめんなさいっ!!

2013/08/21 (Wed) 20:06 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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