2013_08
20
(Tue)11:33

気がかり 4

一応、最終話です。

【設定・未来・お子さまなし】
【捏造しまくりです。東の隣国・翠が出てまいります。】
【オリキャラでます!翠国国王・玉禮と、その甥・玉環です。】



《気がかり 4》



「正妃様、そろそろお休みになられませんと・・・・」

「そうですわ、これではご静養になりません。」

「お顔の色が・・・・」


はらはらと心配する侍女達に、笑みを返し。


「大丈夫です、あと少しだけ・・・・」


夕鈴は書きかけの礼状に視線を戻した。


「せっかく、心を込めて贈り物をして下さったのに、何もお返しできないから・・・せめて、気持ちだけでも伝えたいの。」


正妃である自分への献上品の裏にあるのは、下心。

それに応える事は、決してできないから。


「お礼状くらいは、せめて自分で・・・・」


山のような目録と、どんどん積み重なってゆく、正妃自筆の礼状と。

徐々に顔色が悪くなってゆく、夕鈴。


___________これは、もう、陛下にお縋りするしか・・・


三人の侍女達は、顔を見合わせ。

そのうちの一人が、足早に退室した。





「・・・・・今は、おやめ下さい。」


王がいるであろう執務室に向って急いでいた侍女の足が、止まり。

少し離れた所で書簡を運んでいた侍官が、足早に近寄って来る。

この白陽国の東の地で育った、彼女の家は。

代々、翠国と通じており。

白陽国を裏切るわけでもなく、翠国に傾倒するわけでもなく。

両国の情報を元に、自領を守ることに専念していた。

国境近くに領地を持つ地方貴族は、それくらいの才覚がなくては生き残れぬ。


___________それなのに。


「この様な事をなさっては・・・・困ります。」


戸惑う彼女に、侍官は躊躇いもせず、近づき。


「正妃様のご様子は。」


短く問う。


「・・・・懸命に、お礼状を書いてらして・・・お顔の色も、お悪くて・・・陛下にお止めして頂こうと、執務室へ向う最中なのです。ですからっ!」

「そうか。また来る。」

「っ!もう来ないで下さいっ!!」


思わず声を荒げた彼女に、にやりと笑みをくれ。

翠国の隠密は、「失礼致しました、侍女様。」と言葉を投げ、姿を消した。


後に残された、彼女は。

小さく身を震わせ。

隠密が立っていた辺りを、睨みつけ。

しっかりとした足取りで、執務室へと歩を進め始めた。






「失礼致します、陛下。」


執務室の扉の手前で拱手した侍女は、李順の返事を待って入室した。


「なんですか?」


常と変らぬ様子の李順に、拱手したまま、口を開く。


「正妃様が、もう何刻もお休みになられず・・・礼状を書かねばならぬから、と・・・」

「なんだと?」


黎翔の低い声音に、侍女の身体がビクッと震え。

それでも彼女は気丈に言葉を続ける。


「ご休憩をお勧めしても、大丈夫だから、と仰り・・・ですが、お顔の色が・・・食も細くおなりで・・・」


きっと顔を上げ、侍女は跪き。


「恐れながら、陛下に正妃様をお止め頂きたく。」


叩頭した。


「__________よく報せてくれた。」


ガタン、と立ち上がった黎翔は。

夕鈴の元へと、足早に立ち去り。


残された侍女は、叩頭したまま、動けずにいた。


そんな彼女を見やり、李順は傍らに膝をつき。


「____________ご実家が、翠と通じておられますね?」


そうっと、囁く。


「っ!!」


ぎくっと身体を強張らせた侍女の肩に、手を置き。

李順は優しい声で、続けた。


「宜しいのですよ。陛下にはお知らせしておりません。」

「なっ・・・!」


驚いて顔を上げた侍女に向けられた李順の顔は、いつも通りの表情で。


「李順様・・・・いつから。」


呆然とする侍女に、李順はにっこりと微笑んだ。


「_________もちろん、最初から、ですよ?」


事も無げに言い、固まる侍女に、指示を出す。


「貴女は、このまま正妃様付きを続けて下さい。ですが、翠からの接触がある度に、必ず私に報せて下さい。・・・宜しいですね?」

「は、はいっ!もちろんですっ!今しがたも、回廊で侍官姿の隠密が・・・・」

「声が大きいですよ?」


侍女の唇に指をあて、注意を促し。


「__________気がかりの種は、潰さねばなりません。」


李順は呟いた。


____________が。


その後、翠からの接触はパタリと止み。


気がかりは気がかりのまま、歳を重ねることとなる。












「__________夕鈴。無理は良くない。」

「陛下っ?!」


突然現れた夫の厳しい声に、驚き立ち上がった夕鈴は。

常になく怒った顔の夫の醸し出す雰囲気に、焦った。


「む、無理なんて・・・・っ・・・あ・・・」


急に立ち上がったせいか、一歩を踏み出そうとした足に、力が入らず。

ぐらりと傾いた身体を、黎翔に抱き上げられる。


「侍医を。すぐに寝所の仕度を。」


滅多に夕鈴に怒りを向けぬ黎翔であったが、今回ばかりは押さえが利かず。


「だ、大丈夫・・・・っ!」


まだ抵抗する夕鈴に、大声を出した。


「どこが『大丈夫』だっ!!」


ビクッと、夕鈴の動きが止まり。


「・・・・・君の身を案じる者が大勢いることを、そろそろ分かってくれ・・・・」


俯いた黎翔から、震える声が漏れた。

前髪に隠れたその表情は、全く読めず。

夕鈴は身を縮ませたまま、寝台に運ばれ。


小走りにやってきた侍医が、正妃の診察を始めた。


「・・・・では、もう一度、お脈を・・・・」


丁寧に診察を終えた、侍医は。

目顔で人払いを求め。

黎翔はその求めに応じ、寝室には黎翔と夕鈴だけが残る。

正式な礼を取った侍医は、声を潜め。


「___________ご懐妊、おめでとうございます。」


心からの祝福とともに、王と正妃を見つめた。















その日の夜。

翠国・王宮。

国王の寝室では。


「・・・・そうか、夕鈴様がご懐妊なさったか。」

「はい。」

「御身に危険が及ばぬよう、全力でお守りせよ。・・・・夕鈴様と夕鈴様の御子をお守りするのだ。」

「・・・ですが。」

「良いのだ。夕鈴様が健やかであられることが、我が望みゆえ、な。」

「・・・我が君の、仰せのままに。」


苦しげに顔を歪めた隠密は、悲しげに主を見上げ。

主の瞳が笑っていないことを、確認し。


「___________いつの日か、必ず我が君の御許に、夕鈴様を・・・」


力強く、呟いた。
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うん。夏場の懐妊は、夏バテも重なって、体調崩しますね~
 かくいう私も、二人とも夏場だったから、初期に4 kg痩せましたよ。 何だかスッゴク昔な気分。

2013/08/20 (Tue) 23:53 | Fullむんっ #- | URL | 編集 | 返信

NoTitle

ご懐妊、おめでとうございます!!
しかし玉サマ、懲りないおかた(フゥ)
どんな嫌がらせしてくるのか楽しみです←オニ

2013/08/21 (Wed) 00:05 | おりざ #iPUlC.7. | URL | 編集 | 返信

Fullむんっ様へ

夏バテ&悪阻のダブルパンチはきついですよね。
私も悪阻で痩せるタイプなんですが、すぐに挽回します。
むしろオーバー。(こら)
夕鈴が懐妊したと分かった陛下は、ものすごく過保護になるのでしょうね。ふふ。

2013/08/21 (Wed) 10:20 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

おりざ様へ

もうね、懲りないって言うか、なんていうか。
いくら脳内で説得しても、絶対言うこと聞かないの。
まぁ、最後はかわいそうなことになっちゃう方ですから、少しくらいいい思いを・・・。
って。待って陛下。大丈夫、いい思いなんてさせないから。
ほら、怖いって!!たすけてー!!

2013/08/21 (Wed) 10:21 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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