2013_08
17
(Sat)09:20

刻花 1

【設定・臨時花嫁】



《刻花 1》





少し気が緩んでいたと言われれば、否定できない。



気に入りの野原と、夕鈴が好む色の花々が咲き乱れる、花畑。

政務が一段落して、自由な時間が取れるようになって。

ここ数日、毎朝馬を走らせていたのが、まずかった。



唸りを上げて飛んできた鞭のようなものが、馬の脚を折り。

悲しげな悲鳴をあげて横倒しになる愛馬から飛び降り、反射的に転がって、大樹の影に身を寄せた。

ざわっ、と、空気が擦れる音がして、間髪を入れず、矢が向けられ。


「・・・油断したな。」


敵の多さに、思わず舌打ちした。


後方に置き去りにした浩大が追いつくまで。


_____________あと、少し。


幸い、矢を射る敵の腕は、さほどでもなく。

黎翔は敵を引き寄せるべく、身を伏せ、気配を殺した。




「あの樹の影だ。」

「狼陛下と言えど、ただ一人ではどうにもなるまい。」

「ただ殺すだけではつまらんからな。」

「・・・ああ。美しい顔が屈辱に歪むのを、是非にも見せてもらわねばな。」

「そうだな。あの狼陛下がどのように鳴き叫ぶか_________。」




・・・まだか、浩大。


もはや気配を隠そうともしない敵が、じりじりと近づいてきた、その時。


「へーか、遅れてごめんっ!」

「・・・遅いぞ」


騎乗の浩大が放った矢が、黎翔を守るように取り囲み。

「ふっ!!」と、同時に息を吐いた黎翔と浩大の放った小刀が、一気に敵をなぎ倒し。

攻守が転じ、黎翔の瞳が紅さを増す。


「逃がすな、浩大。」

「はいよー」


いつもの会話が交わされた、その時。


倒れた敵が投げつけた石塊が、黎翔の後頭部を強打し。

黎翔の意識は、水底に吸い込まれるかのように、ゆっくりと落ちて行った。










「__________ここは、どこ、だ。」


ぼんやりと霞む視界と、重苦しい身体。

思うように働かぬ頭は、鈍く痛み。

ゆっくりと持ち上げた手が、目に映った。


「・・・・この手は、誰の手、だ?」


ごつごつと骨ばった、手。

掌には醜いタコができ。

節くれだった手の甲は、野蛮この上なく。


「私の、手・・・か?」


呟いた自分の声にも、違和感を感じた。


だが。


「・・・・へい、か。」


横から聞こえる、柔らかい声は。

_____________心地よく。


誰の、声だ。

柔らかくて、優しい・・・・・


「・・・・きみは、だれ?」


ゆっくりと自分に伸ばされる白い手が、その優しい声の持ち主のものだ、と、なぜだか確信があった。


「ああ・・・・・心地よい・・・・もっと触れてくれ・・・・」


そのしっとりとした掌を頬に引き寄せ、唇を寄せ。


「______________へ、い・・・・か?」


少し震えた、温かい声を耳にしながら。

僕は、再び眠りに落ちた。



________________僕は、だれ、だろう。

________________私は、誰、だ。



そんな事を、考えながら。





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C.O.M.M.E.N.T

ええっ!?((((゜д゜;))))

あさ様・・・。どれだけ悶々と夏休みをお過ごしになられたの?
いや、そうでなくて。
陛下・・・。
夕鈴と新しい恋を始めるのっ!?
それとも、この先にまだまだあさトラップが??
ドキドキしながら待てしてます!

2013/08/17 (Sat) 10:13 | 羽梨 #- | URL | 編集 | 返信

ええーっ!?
どうなるのですか??
悶々としちゃいます~
お預け食らった感じです(笑)
続きを楽しみにしてますーっ!

2013/08/17 (Sat) 10:47 | からあげ #- | URL | 編集 | 返信

Re

夏休み明けに何を書こうかなって考えてたら、こんなことに。←
陛下が夕鈴だけ忘れちゃうのは悲しくて書けそうになかったので、
このようなことになりましてございます。
だんなさんにPCとられた!!
続きが書けないっ!!!

2013/08/17 (Sat) 12:13 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

からあげ様へ

私も続きが書きたいのに書けなくて、お預け食らった感じです。
しくしく。
続きもう少しお待ち下さいね♫

2013/08/17 (Sat) 12:15 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

あさ様、すみません。
こちらもとびません。宜しくお願い致しますm(。_。)m

2015/09/04 (Fri) 22:50 | なおかざ #- | URL | 編集 | 返信

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