2013_08
05
(Mon)11:49

大罪

*ご注意下さい*

このSSは、視点もころころと変り、大変読み辛いです。

おまけに暗いですし、救いもございません。

さすがに死人はでません。

昨夜遅くに、ストレス発散のために書いたので、色々おかしいです。


ご無理なさらないよう、お願いいたします。



【設定・未来・お子様はまだいません】
【捏造がいっぱいです・東の隣国とその王様も捏造】
【従いまして、オリキャラもでます。東の国・翠の王様・玉禮です】



《大罪》




『黎翔様・・・れいしょう、様。』

耳を澄ませば聞こえる、君の声。


『陛下、小鳥があんなところに。ふふ、可愛いですね。』

目を閉じれば瞼に映る、君の姿。


『危ないっ!!』

僕を庇って朱に染まった君の、瞳は。



もう二日も、閉じられたままで。












「______________今日の政務の流れは、以上でございます。」

「ああ、分かった。」


執務室に響く黎翔の声は、これ以上なく冷たく。

悪寒が李順の背を駆け抜ける。


「正妃様の、お具合は・・・・」

「変らぬ。」


素っ気無く答える黎翔の声には、何の感情も浮かんでおらず。

だが、乾いた唇と青ざめた頬が、その心の内を表しており。

李順は、唇を噛んだ。




刺客は、捕らえた。

狙いは、国王。

国内の隠密ではない事だけは、明らかで。

だが、どの国の刺客なのか、どうしても判別できなかった。

李順の直感は、「翠」と告げる。

かの国の隠密は、優秀な事で知られており。

それ故に、李家の者ですら容易に入り込めない。


黎翔が回廊に出た途端に襲撃してきた手際と、躊躇いの無さ。

偶然追いかけてきた正妃が国王を庇うと見るや、即座に止んだ、矢の雨。

黎翔に向けて放たれた、最後の一矢が。

国王を庇った正妃の胸に突き刺さった。

その矢は、かろうじて急所は外れたものの、肋骨をへし折り、おびただしい出血を呼び。



『夕鈴――――――っ!!!!』


叫んだ黎翔の声は、魂が引き裂かれるような響きで。


怒りに身を震わせた浩大が、逃げる刺客の一人を捕縛し。

駆けつけた老師が、正妃の身体を染める血を、必死に止め。


『眼鏡小僧っ!!布を!!侍医を、早くっ!!』


老師の大音声と、正妃の傷口を抑える国王の_______苦痛に歪む表情が、未だ脳裏に浮かぶ。

後宮の白い石畳を染めるほどの出血と、矢の衝撃は。

華奢な身体つきの正妃を生死の境に呼び込むには、充分な威力で。


老師の的確な処置により、今日まで持ち応えてはいる物の・・・・


「__________正妃さま・・・・」


こんなことで倒れてしまう貴女では、ないでしょう?


後宮の瓦屋根を見つめながら。

李順はぎゅっと拳を握った。











降り注ぐ矢を、背後に感じながらも。


俺は、何も出来なかった。


一見普通の客なのに、全く隙が無く、殺気すらも感じさせない。


この俺を足止めさせることの出来る客なんて、最近じゃ珍しいのに。


_____________なんだ、この夥しい数は。


「狙いは?」


試しに聞いてみたら、あっさり口を割った。


「国王だ。」


さも当然のように言い放ち、俺を取り囲み。

退路も進路も、塞がれた。


「・・・大人しくしていれば、命はとらぬ。」


そんな事言われてもさ、「はい、そうですか」なんて言う訳無いだろ?

笑みをくれ、一気に身体を動かし。

懐からもう一本鞭を取り出して、縦横に振るう。


「陛下、来るぞっ!!!」


声を張り上げて振り返った俺が、見たのは。



___________胸に矢をつきたてた、お妃ちゃんの姿。



その後の事は、正直よく覚えてない。

気付けば、屍がごろごろと転がっていて。


「浩大!殺してはダメですっ!!」


李順さんの叫び声が聞こえた。












「_____________ゆう、りん。」


浅い呼吸と、冷えた身体。

青ざめた頬に、白く変じた唇。



『陛下』

僕を呼んでくれるはずの声は、どこからも聞こえず。

『黎翔様!』

胸に飛び込んでくるはずの温もりは、どこにも無い。


胸に矢を受け、朱に染まり。


まるで、「よかった」と言うかのように微笑んだ、君の顔が浮かぶ。



「・・・・何が、よかった、だ・・・・・」


ガツン、と拳で自分の膝を打つ。


『あなたの力になりたいんです』


君の言葉が聞こえる。


『・・・いつまでも一緒にいてくださいね?』


閨の中で、僕の胸に頬を寄せる君の温もりが、甦る。


『陛下。』

夕鈴。


『へいか』

ゆうりん


『黎翔様!』

__________夕、鈴。



お願いだ。

目を、開けてくれ。

もう、限界だ。

壊れそうなんだ。


「・・・・お願いだ・・・・」


冷たい頬に、手を当て。

ピクリとも動かぬ瞼に、口付けた。











雨のように降注ぐ、矢。

それらを薙ぎ払う、愛しい夫。


思わず飛び出した私に驚いた貴方に、矢が向う。


「危ないっ!!」


突き倒した貴方の無事を確認して。

自分に突き刺さった矢を、見つめる。


・・・私が飛び出さなければ、貴方は平然と避けたろうに。


馬鹿なことを、しちゃったわ。


冷静な思考が浮かぶ。


綺麗な紅い色が、正妃の衣に広がり。


・・・ああ、花、みたい。


場違いな事を考える。


綺麗な、紅。

貴方の瞳の、色。



この色を見つめながら、逝くのなら。


_____________それはそれで、幸せ、かな・・・・



陛下がご無事で、よかった。


笑んだ私の目に、貴方の歪んだ顔が映り。


そのまま、真っ暗になった。











「____________口を割ったか?」


陛下に、最悪の報告を持っていく。


「いいえ。口を割る前に、死にました。」


ぴくり、と陛下の眉が動き。


「舌を噛ませる様な、ヘマを?」


怒気が動く。


「________岩屋の壁に、自らの頭を打ち付けました。・・・一撃でした。」


これ以上の怒りを買わぬよう、淡々と報告を続けた。


「所持品、言葉遣い、身体つき、その他。どの国かを判別する事はできませんでした。」

「・・・・」

「_________が。」

「なんだ。早く言え。」

「これほどの隠密を養える国となると・・・・東の翠か、南の蒼玉か・・・」


すっ、と陛下の目が細まる。


「___________李順。明日までに、正妃が目覚めねば・・・兵を動かせ。」

「陛下っ!!」


咎めた私に、陛下は悲しげな顔を向け。


「・・・・そうでもせねば、気が狂う。いや・・・・・もう、狂い始めているかもしれん。」


暗く笑いながら、呟いた。











「____________なん、だと?」


翠国国王・玉禮は、隠密の報告を受けていた。


「もう一度言え。」

「白陽国国王への襲撃は失敗。国王を庇った正妃様の胸を矢が射抜き、正妃様は重態。」

「・・・矢を射たものは誰か。」

「私です。」

「では、死ね。」

「御意に。」


言うが早いか、隠密は庭に飛び降り、胸に刃を突き立て、果てた。

その骸は、黒い影が素早く処理する。


「夕鈴様が、重態・・・・・」


空ろな目で、宙を睨みながら。


玉禮は、手を叩き。


「お呼びでございますか。」

「・・・・白陽国に書簡を出す。仕度を。軍をいつでも動かせるよう、手配を。」


申し付けた。




翌朝。



「_________白陽国の軍が、東の国境付近に集結。」


玉禮に報告が上がる。

ふっ、と笑んだ玉禮は、「手向かいせず、この書簡を渡せ。」と指示を出し。


「・・・・・傷ついた夕鈴様を放り出して戦を始めるとは・・・珀黎翔・・・・私の夕鈴様を・・・」


ぎりっ、と唇を噛んだ。




「翠国国王からの書簡にございます。」


王宮の黎翔の元に、至急届けられた書簡には。


『翠国は貴国に全面的に協力し、共に蒼玉国に攻め入るべく・・・・』


と、あり。


それを一瞥し、黎翔は李順に書簡を渡した。


「・・・・なるほど。やはり、翠の仕業でしたか・・・」


李順の顔が、悔しげに歪み。


「___________証拠が・・・・」


言いながら、黎翔を見上げる。



くっ、と楽しげに笑った黎翔の瞳には、喜色が満ち。

獲物を見つけた狼の喜悦の表情が、周囲の空気を凍りつかせ。


「____________証拠なぞ、なくともよい。・・・・そうであろう?」


狂気の色が、紅い瞳に浮かんだ時。


「陛下!正妃様がお目覚めにっ!!!」


駆け込んできた侍女の言葉が終わらぬうちに、黎翔は立ち上がり、駆け出した。




「・・・・東の国境に集結した軍は、『演習』だ、と・・・・翠国へ伝えますか。」


王の背を見送りながら、李順は呟いた。


・・・心からの安堵と共に。











「・・・へい、か・・・・・」


侍女の助けを借りて寝台に起き上がっていた夕鈴は、駆け込んできた夫を迎えた。

侍女たちは拝礼して、退室し。

夕鈴は、心配そうに眉根を寄せる。


「ねむって、いますか・・・?お食事、は?」


見違えるほど顔色の悪い夫の頬に、手を這わせ。


「・・・黎翔、様?」


瞳を覗き込む。


崩れ落ちるように、膝をついた黎翔の口から。


「ああ・・・・よかった・・・・」


安堵が漏れ。


「夕鈴、夕鈴・・・・・・っ!」


傷に触らぬよう、そっと妻を抱き締めた。






________ねえ、夕鈴。

もし、君がいなくなったとしたら。


僕は国を滅ぼすだろう。

この国だけでなく、他の全ての国々も。

僕から君を奪った者、全てを。


ごめん。


君はきっと、そんなことしないでくれって、言うだろうが。

君がいない世界なんて、無くなっても、構わない。


だから、お願いだ。


「・・・・・もう、無茶はしないで・・・・」


いなくならないで。


黎翔は、震えながら、囁いた。









震えながら縋りつく夫の背を撫でながら、夕鈴はそっと涙を零す。

もしも、私が。

この人を残して、逝ったとしたら。


この人はきっと、全てを壊すだろう。

自分も、国も。

この世界全てを。


国を統べるべき、王に。

私は大罪を犯してしまったのかもしれない。


_________「かけがえの無い物」を与えてしまった。


それが、私の罪。

幸せで、残酷な・・・・私の、罪。



「黎翔様・・・・・ごめんなさい。」


神様。

問うならば、私の罪を。

お願い。



囁いた夕鈴を守るように抱き締め。

黎翔は幾日か振りの、眠りに就いた。

C.O.M.M.E.N.T

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2013/08/05 (Mon) 15:43 | # | | 編集 | 返信

さき様へ

陛下のためにも、夕鈴は自分を大切にしなくてはなりません。
この世のすべてより、夕鈴が大事なんですから。うちの陛下。
泣かせちゃいましたか??
大丈夫、春部屋をご準備しておきましたから。←

2013/08/05 (Mon) 16:27 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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