2013_08
05
(Mon)11:14

最優先 その後

「最優先」のその後を書いてみました。

特に起伏もありませんが、もし宜しければ。


【設定・臨時花嫁】


《最優先 その後》




刺客の襲撃があった夜、黎翔の熱は再度上がり。

信じられないほど熱くなったその身体を冷やしながら、夕鈴は一睡もせず看病した。

頭を冷やすだけでは足りず、脇にも氷を挟み、小さく砕いた氷を口に含ませた。



苦しげに寄せられた眉と荒い息。


「ゆうりん・・・ここに、いて?」


水替えのため席を立つたび、不安げに自分を見つめる紅い瞳。


「手・・・・握って、いい?」


力なく自分の手を握る大きな掌の、信じられないほどの熱さ。


毒の耐性があるということは、薬効も期待できないということで。

熱さましも気休め程度にしかならず。

病といえど、ゆっくりと眠る事すら出来ぬ環境が、黎翔の回復を遅らせ。


黎翔の熱がようやく下がり始めたのは、刺客襲撃から三日も後のことで。


「お粥以外の物が食べたい」と、ようやく食欲を見せ始めた黎翔のため、夕鈴は厨房に籠もった。


「ええと・・・消化がよくて、栄養がつくもので・・・・」


高級食材がずらりと並ぶ厨房で、夕鈴は勇ましく腕まくりをした。







「・・・・以上が、陛下が寝込んでいらっしゃった間の政務報告です。」

「わかった。ご苦労。」

「あとは__________来客の件、ですが。」

「ああ。」

「私の管轄下だけでも両手の指に余ります。老師管轄も合わせると・・・・」

「・・・・千客万来、だな。」


寝台の上で、黎翔は暗く笑った。







「おっ!お妃ちゃん!張り切ってるねー!」

「つまみ食いしないでよ、浩大。」


あ、でも味見してみて、と、夕鈴は浩大に小皿を渡す。


「・・・ご病気中の陛下には、少し濃くないかしら?」


どれどれ、と口をつけた浩大は。


「鶏のスープ?・・・・おおっ!絶品!!」


おかわり、とその辺にあった大ぶりの椀を夕鈴に差し出した浩大に、夕鈴は苦笑し。


「よかった!でも、浩大の分はまた後で作り直すから。」

「えー、いっぱいあるじゃん!少しくらいくれても・・・」

「だめよ。これは陛下のためのスープだもの。」

「えー、ケチ。」


厨房に、明るい笑い声が響いた。








「・・・・つきましては、陛下。念を押させていただきたく。」

「なんだ?」


さすがに疲れたのか、軽く目を閉じて黎翔は答えた。


「・・・警備の都合上、夕鈴殿にはこちらでお寝み頂いておりますが・・・・」

「ああ。」

「____________手は、出さないで下さいよ?」

「・・・・またその話しか・・・・」


黎翔の頭がくったりと枕に沈む。


「念には念を、です。」

「・・・・」

「我が身よりも陛下を優先なさる女性など、どこを探してもいませんからね。」

「________?」


怪訝な顔をする黎翔と、微笑を漂わせる、李順。


「このように、どさくさに紛れて手を出して良いような方ですか?あのお方は。」

「っ!」

「宜しいですか、陛下。急ぎ『準備』を進めます。________ご依存、は?」


にっこりと笑みを浮かべた李順に。


「___________ない。進めよ。」


ゆっくりと目を開けながら、黎翔は答え。


「・・・できるだけ、早急に、な。」


晴れやかな笑顔を返した。





「・・・なあ、もうちょっとだけ、味見!」

「ダメよ、陛下にお作りしたんだからっ!」


こちらに近づいてくる、愛しい妃の気配を感じながら。

C.O.M.M.E.N.T

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