2013_07
29
(Mon)14:58

彩り

幸せな未来のひとコマ的なSSです。


【設定・未来】
【思いつきの捏造SSです←いつもですね】
【短いです】



《彩り》





__________もう何年前になるか。

ここにお住まいだった方は、王の寵を一身に受けておられての。

それに奢ることなく、それはお優しく、慎ましやかであられたそのお方は、侍女や女官を大層かわいがられ・・・



張元は、過ぎ去った昔に思いを馳せるように、遠くを見つめた。











卯月に新規に後宮に上がった女官達は、三月の間研修を受け、文月に持ち場に就く決まりであった。

それぞれの適正を見極め、配属を決めるのは、張元老師。

新参の女官達の表の顔と裏の顔、それを調べ上げるための、三ヶ月間でもある。


「此度の女官達はなかなかに粒揃いじゃの。先が楽しみじゃ。」


ほくほく顔の老師は、研修の最後を締めくくる訓示の原稿を手に、回廊を渡った。



「______________そのお妃様を手本とし、奢ることなく各々の勤めを果たすように。」


小さいながらも大音声で、訓示を締めくくった老師は。

満足気に女官達を見渡した。







「老師様のお話しに出てこられた『お妃様』。素敵でしたわね・・・・!」

「ええ!うっとりしてしまいましたわ・・・」

「王の寵に奢ることなく、慎ましやかでお優しくて・・・いつまでも愛らしく・・・・」

「まるであの書物の姫君のよう!」



新入りの女官達の房は、賑やかなおしゃべりで満ち溢れ。

正妃付きの侍女を始めとする古参の女官達は、互いに顔を見合わせ微笑み合った。


女官達のお喋りは、色とりどりの花を咲かせ。

後宮中に彩りを添える。

昔話の『お妃様』が彼女たちに与える、浮き立つような彩りが、後宮中に満ち溢れる。




「・・・・毎年この時期は、なんだか視線を感じるのですが・・・・」


国王の膝の上。

『お妃様』の正体に気付いた女官達の夢見るような視線を、一身に受け。

今日も正妃は頬を染め、愛らしく恥らうのであった。

C.O.M.M.E.N.T

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