2013_07
24
(Wed)12:23

復讐 1

【設定・未来(夕鈴正妃です)】
【おこさまなし】
【注意!!痛くて暗くて酷いです。夕鈴可哀想です。】



《復讐 1》




大丈夫。

こんなの、何てことない。


これは、夢。

悪い、夢。


一時の悪夢だから。



大丈夫。






たすけて。

ごめんなさい。


・・・・・陛下。










後宮の女官には、二種類ある。

嫁入り前の一時だけ王宮に馴染むために来る、貴族の子女や豪商の子女。

嫁いだ後も勤めを続ける、上級貴族の、子女。

短期勤めの女官達は、後宮や王宮の深部には関われず。

王や妃に会うこともなく、恙無く勤めを終える事が大半だ。


狼陛下の治世が徐々に安定をみせ、今年は女官の数も増やした。

王宮にも人手が必要だし、正妃を迎えた後宮にも手を入れねばならないからだ。


だが。


それが、災いした。





その女官は、すらりとした細身で、笑顔を絶やさず。

美しい薄茶の髪の、愛らしい娘だった。

気働きができ、先輩の女官達に可愛がられ。

彼女らの房の世話をするようになったのだ。


正妃付きの侍女たちは、それほど数は多くない。

慎ましやかな正妃は、大勢の侍女を必要としないからだ。


狙う身にとって、標的は少ない方が良い。

時間をかけ、少しずつ。

正妃付きの者たちの顔と名前、交替時間を調べ上げ。


「彼女」は、動いた。







ここ数日。

各地で豪雨の被害が出、黎翔は王宮に籠もりきりで政務にあたっており。

今日も後宮へは帰れぬと、すでに知らせが来ていた。



「・・・・陛下、お体は大丈夫かしら・・・」


元気が出るように、と、夕鈴は思い。

黎翔の好きな肉饅頭を作り、回廊を渡っていた。


ちょうど執務室へ戻る黎翔に出会い、花が綻ぶような笑顔を見せる、夕鈴。

嬉しげに正妃を見つめる、国王。



_________あれが、正妃か。



遠目に見つめ、その姿を脳裏に焼きつけ。

「彼女」は、木立の影から、姿を消した。


_________好みだ。


赤い舌で、唇を舐めながら。








『良いか。時間をかけても良い。だが、確実に遂行しろ。』

『はい。』

『どのような手段を使っても構わん。』

『はい。』

『殺さず、自ら身を引くようにしむけろ。・・・・意味は、わかるな?』

『・・・・命さえ無事なら、好きにして良いということですね?』

『死者に陛下のお心を持っていかれては、困るのだ・・・』

『狼が正妃に愛想を尽かすような事態を招けばよい、と?』

『・・・・そうだ。出来るか?』

『そうですね・・・・アイツを苦しめるためならば・・・如何様にも。』






雇い主との会話が甦る。


報酬は、破格。

期限は、なし。


無理ならば、このまま姿を眩ませばよいだけのこと。


だが。



抜けるように白い柔肌。

華奢な体つき。

活きの良さそうな瞳。

そして。


・・・・あの声で、どんな嬌声をあげるのか。


聴いてみたい。

どれほど、狼が悔しがるのか。

見たい。


「____________あの女。気に入った。」


夕暮れに溶けながら、「彼女」は女官の衣装を脱ぎ捨てた。




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