2013_07
17
(Wed)16:36

祝福

連作の気分転換に、突発妄想です。

バイト終了時のお二人を。

短いです。



【設定・バイト終了】



《祝福》






___________いつの日か、貴方が私を忘れても。


きっと。


この花々が、貴方の心を癒すから。












「・・・・夕鈴、ほんとに帰っちゃうの?」


「はい。短期のはずのバイトを、借金返済のために引き延ばしていただいて・・・ありがとうございました。」


いつもの夜。

いつもの後宮。

いつもの二人。

でも、これが、最後。


私は深々と頭を下げる。


陛下のお顔を、見ずに済むように。

私の心を、見抜かれぬように。



「下町娘は、一時の夢から醒めて・・・元通りに、暮らすんです。庶民らしく!」

「ゆう」

「ですから!陛下も!!いずれお出でなられる、本当のお妃様にも・・・・私にして下さったように、優しく・・・優しく・・・ね?」


泣きそうになる。

でも。

泣かない。


明るい顔で、笑ってみせる。


貴方に見せる、最後の私は、笑顔でありたいから。











夕鈴が下町に帰ってから、もう、どれほど経ったろうか。


明るく笑って去っていった君。

今頃は、下町で幸せに暮らしていることだろう。

僕を思い出して、少し胸が痛んでいるかもしれないけれど。

でも。

それでも。



こんなところに、君を繋ぎとめておくわけには、いかないから。


例え、この胸が君を欲して血を流そうと。

君にだけは、笑っていて欲しいから。







「__________おはようございます、陛下。」


今朝も、女官達が部屋を整えに入ってくる。

生花を携え、粛々と、手際よく。

大きな花瓶に花を活け、寝具を整え。

朝餉の仕度を済ませる。



味が分からぬ食事を摂り、色のない花を眺め。

国政に集中する。

君が住むこの国を、守るために。













陛下は、まだ気付かない。

女官達が毎日活けている『花』に。



政務室。

執務室。

居室。

寝室。



そのすべてに、同じ花が活けられている事に。


お妃ちゃんが、陛下のためにと咲かせた、花、に。




「__________陛下。」

「なんだ。浩大。」

「あのさ、今度、章安区に住む下級役人の娘が玉の輿に乗るらしいよ。」

「・・・・・そう、か。」

「・・・いい、の?」

「幸せに、なるのなら・・・・それで、いい。」



そう言った陛下の手は。

指が真っ白になるほど、握り込まれていて。

小さく、震えていて。






俺は、目の前が赤く染まるのを感じた。






毎晩毎晩。

泣きながら、お妃ちゃんは眠りにつく。

遥か王宮の屋根を見上げ。

懸命に、嗚咽を堪え。

婚約者の貴族のぼっちゃんから贈られた花嫁衣裳に、背を向けて。



これで、いい。

これで、いいんだ。


そう、自分に言い聞かせて。


必死に、唇を噛み締めて、泣く。





それなのに。

なのに。




「_________幸せに、なる、だと・・・・?」


笑いが止まんねえよ。


「誰が、なるんだよ?『幸せ』にさ。」


「浩、大。」


「あんたか?あの娘か?」


「・・・夕鈴が、彼女が幸せになれるなら、私はそれで、構わない。」


「馬鹿野郎っ!!」



ああ、俺、死んだ。

でも、いっか。

もう止まんねえしな。



「この馬鹿野郎がっ!あの娘が、毎晩毎晩泣いてるのを知りもしねえくせに!あの娘が、何を願って身を引いたのか、知ろうともしねえくせに!」



浩大の頭に血が上り。

黎翔の頬に、血の気がさす。



「聞いてみたのかよ?!真っ直ぐに。知ろうとしたのかよ?あの娘の心を。あの娘にとっての『幸せ』?!馬鹿野郎っ!それは、あんたの________!!!」


死を覚悟した浩大の、本気の怒声がびりびりと空気を震わせ。



「________幸せ、だろうがっ!!」



言い放った。







目の前の『道具』が、感情を露わにして、自分を罵倒する。



なんだ?

何を言っている?

夕鈴が、泣いているのか?

なぜ?

『幸せ』なのでは、ないのか?



「___________あんたの!!!幸せ、だろうがっ!!」



視界に色が戻る。

頭を巡らせば、部屋中に咲く・・・・夕鈴がよく髪に挿していた、花。




どこにいても、味方です。


________________ここに、いたのか。




貴方の妃、ですよ?


_____________その通り、だ。




夕鈴。


今、行く。





澱んでいた頭が動き出し。

憑き物が落ちたように、視界が開け。



「・・・・・李順を、呼べ。」



黎翔は、朗らかに笑い。



そんな主を祝福するかのように。


花々は、優しく揺れた。
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C.O.M.M.E.N.T

凄い(*´д`*)

なんてドラマチック(*´д`*)
何度読んでもいいっ!
なんかもう、女官さんも浩大も大好き!!
陛下、頑張れ!!
寝台も頑張れ!!(笑)

2013/07/17 (Wed) 22:19 | 羽梨 #- | URL | 編集 | 返信

Re

頑張れ寝台っ!!
初夜、何回書いているのか、振り返るのも恥ずかしいです。
あ、今回のは書いてませんよ?いやほんと。

2013/07/17 (Wed) 22:40 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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2013/07/18 (Thu) 01:18 | # | | 編集 | 返信

ユリア様へ

コメント、ありがとうございます。
泣かせるつもりはっ!!←
続きを、というコメントをちょこちょこと頂いております。
続き。
・・・かけるかな。頑張ってみますね。

2013/07/18 (Thu) 10:04 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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2013/07/18 (Thu) 10:21 | # | | 編集 | 返信

ちび様へ

ありがとうございます。
体調は、今朝で全快です!
バリウムさんとは、もうしばらく会いたくありません!!
浩大、逝ってくれました・・・(違)
PC、ご老体なのですね。
うちのもそうです。
ときどき徘徊します。急に眠りに落ちたりも。
お互い、ご老人のお世話、頑張りましょうね。
いつでも遊びにいらして下さいませ♪

2013/07/18 (Thu) 10:25 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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