2013_07
12
(Fri)14:21

白詰草 9

【設定・臨時花嫁】
【いまさらですが、捏造あります。】
【怖い、かも。】


これで最終話です。黒くてすいません。



《白詰草 9》







「おはよう!夕鈴!」


早朝、黎翔は汀家に押しかけた。


「っ!お、おはよう、ございます・・・・。」


井戸で顔を洗っていた夕鈴は、頬を染め、挨拶を返し。


「そ、そうだ!李翔さん!青慎を知りませんか?!部屋で寝ているとばかり思っていたのに、いないんです!」


我に返り、黎翔に駆け寄る。


黎翔は、にっこりと笑い。


「うん、几鍔くんの家にいるよ?昨夜、夕鈴の具合が悪そうだったから、ゆっくり寝かせてあげようと思って。」

「え?」

「大丈夫。この家にもちゃんと警備は付けておいたし、弟君は浩大の部下が安全に送り届けたし・・・・。さて。」

「はい?」

「夕鈴。起きたばかりの所、申し訳ないが・・・・行くよ?」

「え?え?」


有無を言わさず、夕鈴を担ぎ上げ。


スタスタと、馬車に乗り込んだ。



馬車の中には、生気を失ったような顔の女と、にぱっと笑う、浩大。


「あ、あの・・・李翔さん、浩大、この方は・・・?」


状況が分からず戸惑う夕鈴に、女の顔に驚きの色が浮かぶ。


「おまえ・・・・手強いな・・・・」


思わず、女が口にした言葉に、夕鈴は首を傾げ。


「・・・なんのことですか?」


黎翔を、見上げる。


「・・・・くくっ・・・顔を見ても、正気を保てるとは・・・甘かったな・・・・」


楽しげに笑った女は、夕鈴の耳元に唇を寄せ。


「__________おはようございます、お妃様。」


静かに、囁き。


夕鈴の瞼が、ゆっくりと、閉じた。




ガタゴト揺れる、馬車の中。

力の抜けた夕鈴を横抱きにし、黎翔は女を睨みつけた。


「_________万一、妃が元に戻らねば。」

「大丈夫ですわ。私がかけたつもりの『暗示』。半分しか効いておりませんでした。」

「なに?」

「私のかけた『暗示』は・・・『陛下』をお妃様の中から消す事。思い出そうとするたびに、お妃様の心が壊れるように。」

「・・・」

「________そして、陛下の姿を見る度に、正気を失っていくよう、仕向ける事。」

「__________私が妃に愛想をつかし、新たな妃を娶るように、か?」

「ええ。そうですわ。」


さばさばと、女は答え。


「上手くいくと思っていたのに・・・・協力者がいることも、もうばれていたなんて・・・ったく、わざと捕まるなんて、しなきゃよかったわ。」


ぷいっと、窓の外を向き。


「本当に、忌々しいったら・・・・あの眼鏡の男。」


言うや否や、窓から飛び降りた。




「・・・いいの?へーか。逃がして。」

「吐かすだけ吐かせたからな。裏にいた大臣も、今頃は李順が特別室に招待している頃だろう。」

「ふーん。優しいね。」

「___________そう、思うか?」


黎翔は、にやりと笑った。





夜。


「_________どうして、ここに戻ってくるのよ?!」


特別室の牢内に女の悲鳴が響き渡る。


「どうして?なんで?逃げたのに!逃げたはずなのに!なんで、なんでよ?!」


かつての雇い主が流した、むせ返るような血の匂い。

それを洗い流す、せせらぎの音。


_________逃げなくては。


鍵のかかっていない牢から、逃げ出す。庭に出る。塀を越え、堀を越える。

走り出した脚が、戻りだす。


「っ!な、なんで?!」


泣き喚きながら、それでも脚は岩屋を目指す。

気が狂うまで繰り返される、脱出と帰還。


『____________死ぬまで、繰り返せ』


頭の中に響く、恐ろしい、『暗示』。

彼女に逆らう術は、なく。

解けぬ暗示は、狂い死ぬまで、続く。






《おまけ》



「________あのさ、李順さん。」

「なんですか、浩大。」

「いやー・・・・誤解して、ごめんね?」


決まり悪げに、困ったように、浩大が笑う。


「・・・・・」


しばらく無言で、李順は空を見上げ。


「_________いえ。気にしないで下さい。」


半分本気だった、とは、とても言えませんね・・・


ふぅ、と息を吐いた。




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2013/07/12 (Fri) 14:30 | # | | 編集 | 返信

ますたぬ様へ

李順さん、黒白混ざってません。
半分黒くて半分白です。
どっちに転んでも大丈夫なように、色々考えていた模様です。
陛下にないしょで。笑
陛下いじめが、不発でした。すいません。

2013/07/12 (Fri) 15:02 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

NoTitle

常々李順さんは
どう転んでもいいように色々想定していると思います。
策士なので。
陛下の暗示は…怖いですね。
夕鈴のその後が気になります。
浩大かっこよかったです!

2013/07/12 (Fri) 16:06 | さき #- | URL | 編集 | 返信

陛下が怖いです(笑)
李順さん、この事があって今後も引き離すのは諦めたんでしょうかね??(・ω・)

2013/07/12 (Fri) 16:11 | からあげ #- | URL | 編集 | 返信

さき様へ

そうですね。
李順さんの考えは、私にも読めません。←
陛下の暗示。怖そうだ・・・。
浩大をお褒め頂きありがとうございます。
夕鈴。ちゃんと目覚めましたよ?うん。決して書き忘れたわけでは!←

2013/07/12 (Fri) 19:57 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

からあげ様へ

どうなんでしょうか。(こら)
おそらく、この随分前から諦めてるのではないでしょうか。
うちに限っての話しですが。笑

2013/07/12 (Fri) 19:59 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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2013/07/12 (Fri) 22:28 | # | | 編集 | 返信

羽梨さまへ

あら、おまけがあるの、ばれてますか?
まだ書いてませんが、あります。
陛下がどす黒くて困ったので、ちょっと書くのやめたのです。
ピンク以外で鍵付になるところでしたから。
少し軌道修正して、平和な心持になったら、おまけを書きます♪
ありがとう、羽梨さま。

2013/07/12 (Fri) 22:37 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

勿体ない!

心の軌道修正する前に、真っ黒鍵付き、『冬部屋』を読ませて下さい!
私が求めているのは、真っ黒なんですよ。
え~、読みたい~。
メッセでもいい!
陛下の闇を余すことなく、知りたいです。

2013/07/12 (Fri) 23:07 | 羽梨 #- | URL | 編集 | 返信

Re

羽梨さまへ
公開不可!なとこまで行ってしまわれました。うちの陛下。
ブログメッセ、いたしましたー。

2013/07/12 (Fri) 23:48 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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2013/07/13 (Sat) 13:39 | # | | 編集 | 返信

からあげ様

春部屋の中に、冬部屋を作りましたー。(こっそりと)
閲覧、超注意。残酷表現苦手な方は、是非回避して下さい。

2013/07/13 (Sat) 15:04 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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