2013_06
30
(Sun)17:24

羽衣

SNSで25000人目のお客様となられた、S様からのリクエストです。

「夕鈴が熱を出してしまって寝込んでしまったお話し」というリクエストでした。

S様!ありがとうございました。

そして、何度も申し上げますが。

紅陛下、素敵!!!(しつこい)





【設定・臨時花嫁】



《羽衣》




夏らしい、紗の衣。

肩衣すらない、艶やかな衣装。

複雑に結い上げられた髪。

しゃらしゃらと、綺麗な音がする飾り。



天女のような君。


・・・いつまでもそばに置くには。


どうしたら、いい?










「・・・・・けほっ。」


侍女さんたちは、ちょっとしたことにも良く気付く。


「お妃様?」


ほら、今も。

ほんの少し咳をしただけで、心配そうに、私を見てくれる。


「大丈夫、なんでもありません。」


ちょっと喉がおかしいくらいで、世話を焼かせるわけにはいかない。

こんな庶民のバイト妃が、侍女さん達にこれ以上の面倒をかけるなんて、とんでもない!

そう思い、にっこりと微笑むと、侍女さん達も安心したように微笑んでくれ、私も胸を撫で下ろす。


「・・・それでは、参りましょう。」

「はい、お妃様。」


夕鈴は、政務室へ向い、ゆっくりと歩き出した。










____________昨夜の宴は、楽しかった。


黎翔は、朝議場から政務室へと歩を進めながら、思う。


宴の時にしか見ることのできぬ、夕鈴の艶姿。


肩を露出した、薄絹の衣装。

結い上げた髪からは、簪の音色と、花の香り。

細い首には金の飾り。

愛らしい耳朶には、衣装と合わせた水色の玉が煌き。

ほっそりとした手首にも。

裳裾に隠れた足首にも。

鈴の音がなるような、輪飾りを着け。


まるで天女のように、清純で可憐な姿に。



・・・・このまま、ずっと。



そう、思った。


何のための宴だったかなんて、よく覚えていないけど。

妃に肩衣を着せ掛けようとした侍女たちを制止したのは、覚えている。



____________羽衣を返さなければ、天女は私のものだろう?



そう、思ったから。






「・・・陛下、お顔が。」


昨夜の夕鈴を思い出して楽しんでいたのに、李順に邪魔をされる。


うるさいな、分かってるよ。

せっかく、かわいいお嫁さんを思い出して和んでいたのに。


途端に不機嫌な顔になった僕に、また李順が話しかけてきた。


「・・・政務室にて、お妃様がお待ちです。」


前言撤回。

うん。やっぱり李順はいいやつだ。


僕は軽快な足取りで、夕鈴が待つ政務室へと向った。









「・・・昨夜の君も美しかったが・・・今朝も一段と愛らしいな。」


機嫌よく政務室に入室した黎翔は、真っ先に妃のもとへ向い、その手を取った。


「・・・っ!あ、ありがとう、ございます・・・・」


夕鈴は、頬を染めて、そう答えるのが精一杯で。

その様子を見た黎翔は、ますます笑みを深める。


「あのように艶やかな君は・・・本来ならば、誰にも見せたくはないのだが・・・・・」


さらり、と、夕鈴の髪を撫で。

そのまま指先が、頬に触れる。


・・・・きゃーっ!!朝からなんでこんなに色っぽいんですか?!陛下?!


心の声を押し殺し、夕鈴は必死に笑顔を保ち。


「・・・・・陛下、皆様がお待ちですわ・・・・そろそろ・・・」


もう限界です!!!


と、訴える。


その引き攣った笑顔を楽しげに見やり、黎翔は。


「愛しい妃よ。しばし待っていてくれ。」


指先に口付けを落とし、漸く夕鈴から離れ。


・・・・・っ!!陛下、演技過剰です・・・・!!


目の前がぐるぐると回るのを感じた夕鈴は、そうっと深呼吸をして、椅子に座りなおした。






____________おかしい。


書簡を捌きながら、先ほど触れた夕鈴の頬の感触を思い出す。

いつもなら、しっとりとして、ぷにっと弾むような感触なのだが、今日は少し違ったような。

口付けした指先が、やけに冷たかったような。


___________気になる。


ちらりと夕鈴を見ると、瞳は潤み、頬は桜色で。

扇で口元を隠し、視線は物憂げに窓に向けられていて。


___________ああ、可愛いな。


思わず、見入ってしまう。


「・・・・・こほん。」


李順の咳払いで我に返り、書簡に目を戻し、再び政務に集中した黎翔だったが。


___________やっぱり、気になる。


再度黎翔の視線が夕鈴に向けられたのと。


ずるり。


椅子から滑り落ちるように、夕鈴が崩れ落ちるのは、ほぼ同時で。



「_______っ!!夕鈴っ!!!」



夕鈴は、自分の名が呼ばれているのを感じながら。


ゆっくりと、暗闇に意識を沈ませた。












「__________あ、れ?」


重たい瞼を持ち上げると、見慣れぬ天井が目に入る。


「・・・・あ、れ?わたし・・・・」


政務室にいた筈なのに・・・・


「なんで寝てるの?!」


慌てて起き上がろうとした夕鈴だったが、何かが自分に乗っかっていて、動けないことに気付く。


「・・・・えっと・・・・」


冷静に、冷静に。


自分に言い聞かせ、恐る恐る、頭を巡らせると。


自分の顔のすぐ横に、見慣れた黒髪が。

自分の胸の上に、見慣れた色の衣装と、重たい腕が。


「・・・・・ぎっ・・・・・」


叫びかけた夕鈴だったが、すんでのところで思いとどまり。


「あ・・・・そっか・・・倒れちゃったんだ・・・・」


状況を、理解した。






「あ、夕鈴、起きた?」


夕鈴が目覚めたのに気付いた黎翔は、身を起こして額に触れ、熱を確認する。


「うーん・・・まだ少し高いね、熱。昨日の宴で風邪引いちゃったんだね・・・」


「ごめんなさい、陛下。私とんでもないご迷惑を・・・・」


夕鈴は身を縮ませて謝るが、黎翔は一向に気にしていない様子で。


「あ、夕鈴、お水飲む?それとも果実水?氷がいい?」


心配に曇った瞳で、甲斐甲斐しく妃の世話を焼く。


「じ、自分で!自分で飲みます!!」


慌てて寝台から降りた夕鈴だったが、立ち上がると同時に、身体が傾ぎ。


「ほら、危ないよ?熱、高いんだから、大人しくしてて。」


少し怒った様な口調の黎翔に、寝台に戻された。


「・・・・・ごめん、なさい・・・・」


情けなさに唇を噛み締めて俯く夕鈴を、黎翔は優しく抱き締め。


「・・・・僕のほうこそ、ごめんね?」


そっと、囁く。


「昨夜の君が、あんまり綺麗だから・・・・ずっと、一緒にいたくて。君が天女みたいに綺麗だったから、羽衣を、返したくなくて。」


「・・・へい、か?」


「僕の子ども染みた妄想のせいで、君に熱を出させちゃった・・・・ごめん。」


「え・・・?」


訳が分からず、きょとんと首を傾げる夕鈴を、愛しげに見つめた黎翔は。


「さ!夕鈴!果実水、お水。それとも氷?」


卓上に準備されたそれらを指差して、小犬の笑顔で選択を迫り。


「・・・・・では、溶けちゃうともったいないので、氷を・・・・」


子犬につられて答えてしまった夕鈴に、狼の笑顔を向ける。


「__________では。氷、だな?」


「__________っ!!!んっ!!」


「_______もうひとつ・・・・」


「・・・んっぅ・・・ふっ・・・も、いいで・・・」


「だめ。もういっこ。」



もう、肩を出した衣装なんて着ない!!!


熱くて冷たい、不思議な氷を味わいながら。


夕鈴は、激しく後悔したのだった。

C.O.M.M.E.N.T

氷( ´艸`)

どうやって、んんっ!ってなっちゃう、熱くて冷たい氷をあげたのかな?
ぐわーっと邪な妄想が広がってしまいましたよ?
氷を熱い肌に這わせて、君の熱で溶かされていくよ?
いけない肌だな。とかいっちゃってプレイが始まっ・・・。
すみません。
春部屋じゃなかった。
えと、えと、熱があるから色々我慢しよう!
あれ?
なんか素面なのに、おかしい私。

2013/06/30 (Sun) 22:06 | 羽梨 #- | URL | 編集 | 返信

Re

羽梨さまへ
・・・ほら、溶けちゃうよ。もったいない・・・・
とか言いながら、色々やらかす陛下が脳内に展開。
臨時花嫁設定なのに!!なぜに春部屋?!
大丈夫。おかしいのは私ですから。

2013/06/30 (Sun) 22:11 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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