2013_06
29
(Sat)10:30

いつも通り

【設定・原作沿い・臨時花嫁】
【主役は李順さんです】



《いつも通り》





____________あのような者が、妃、だと?


王宮の回廊で、高官たちが寄り集まり、囁き合う。


____________品もなく、知性の欠片もない。


____________あのような者が、陛下のお側に侍るとは・・・


一層声を潜め、彼らは底意地の悪い笑顔を浮かべ。


____________狼陛下も、先が見えたな・・・・


くくくっ、と、哂った。










「・・・・李順。これで終わりか?」


深夜。

黎翔は山積みの書簡を崩し終え、深々と息を吐く。

その傍らで、李順は机上の書簡を、とんとん、と、整え。


「お疲れ様でした、陛下。本日の政務は、これでお終いです_______が。」


思い出したように、続ける。


「本日、王宮の回廊にて、高官数名の立ち話が『偶然』耳に入ってまいりまして。」


「・・・ふーん。どんなの?」


興味がなさそうな黎翔の横顔を見つめ、李順は軽く息を吐き。


「・・・・『お妃様』への侮辱の言葉と・・・陛下への不満、と言ったところでしょうか。」


黎翔の表情が険しくなるのを、見届ける。


「__________妃への、侮辱、だと?」


「・・・・そう仰ると思いましたよ・・・」


李順はこの先の展開を予想し、口を開き。


「陛下。この件は、私にお任せ頂けますか?________いつも通りに、処理いたしますので。・・・陛下は、早く後宮へ渡らねば。夕鈴殿がお待ちですよ?」


先手を打って、有無を言わさぬ笑顔で、主を見つめた。


しばらく無言で側近を見詰めていた、黎翔は。


「・・・・・では、いつも通りにせよ。」


少し不満げに言い置いて、執務室を後にした。











王宮内に賜った自室で、李順は高官たちの顔ぶれを思い出す。

いずれも、叩けば埃が出そうな者たちばかり。


「ほんっとうに・・・・人をこき下ろす暇があったら、もっとマシな仕事が出来るでしょうに・・・」


李順はさも嫌そうに呟き、立ち上がり。


___________さて、と。『回収』に向いますか。


『いつも通り』、黒尽くめの部下を従え。


隠し門から、王宮を抜け出した。





一刻後。

王宮の地下に誂えられた、「特別室」に、あったのは。


「なにをする!縄を解け!!」

「無礼者っ!!」

「何者だ?!わ、私を誰だと・・・!!」


見苦しく騒ぎ立てる、高官たちの姿と。

最小限に抑えられた灯火のもと、いつも通り、微笑を湛えて彼らを見下ろす、李順の姿。


そして。

すっ、と、前に進み出た李順に、高官たちは口を噤む。


「・・・・あなた方には、色々とお聞きしたい事がございますが・・・」


李順から、ふっ、と、表情が抜け落ち。


「・・・・一言、言わねばなりません。」


一段低い声音に、変る。


「っ・・・・・!」


囚人達は、息を呑み。


ここが『どこ』かを、悟る。


彼らの表情を、満足気に見やった李順は。


「・・・・・お妃様に対する侮辱・・・・それは、取りも直さず、私への侮蔑と受け取ります。」


静かに、告げる。


「あなた方は、運が宜しい。陛下が『いつも通り』私に預けて下さらねば・・・・今頃は_________。」


橙色の淡い灯りに照らされ、闇に浮き上がるのは。

怜悧で美しい、狼の守人。


その顔に、微笑が戻るのを、囚人達が確認する頃には。

彼らにはもう、抵抗する気力すら、残っていなかった。








翌日。

後宮、立ち入り禁止区域。


「違います、もう一度。」

「はいっ!」

「・・・・もう一度!」

「はいっ!!!」



「なぁ、じいちゃん。今日の李順さん、気合入ってんなー。」

「そうじゃのう・・・・。まあ、眼鏡小僧が投げ出さずに面倒を見てるだけ、良いじゃろ。」

「なにが『良い』の?」

「あやつは無駄が嫌いじゃからの。見込みがなければ、教えもせんじゃろ。」

「・・・お妃ちゃんも、とんでもない人に見込まれちゃったねー。」

「・・・・・・」


張元は、少し楽しそうな李順の背を見つめ、笑みを深めた。
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2013/06/29 (Sat) 10:40 | # | | 編集 | 返信

ますたぬ様へ

冗談抜きで、怖いと思います。李順さん。
陛下は息の根を止めてくれますが、李順さんは、止めてくれません・・・たぶん。

2013/06/29 (Sat) 11:02 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

李順さん怖いです…!!
陛下とどっこいどっこいだと思うのですが(゚ω゚)
夕鈴もお妃教育頑張れ~(*´▽`*)

2013/06/29 (Sat) 12:44 | からあげ #- | URL | 編集 | 返信

からあげ様へ

怖いでしょう?
李順さんが怖くないはずは、ない!!
でも、怖くても冷静。激昂しない。そんな気がします。
夕鈴は根性ありますからね。やり遂げますよ、きっと!

2013/06/29 (Sat) 14:04 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

はうっ(*´д`*)

素敵すぎる(*´д`*)
陛下に任される「いつも通り」、側近としての信頼。
夕鈴への信頼。
ハートフルなお話で、李順さんが美しくて、涎が垂れております。
運がいいということは、やはり李順さんは優しいのですね。
さすが、私の李順さん!←
静かな闇が、かなりのツボです。

2013/06/29 (Sat) 16:43 | 羽梨 #- | URL | 編集 | 返信

Re

ハートフル!お褒め頂き、ありがとうございます。
「夕鈴を侮辱する言葉を、李順さんが聞いてしまったら」
と、妄想してみました。
運、良いのです。
だって、一応生かしてるから!
身包み剥がされて官位剥奪&一家離散程度で済んでるはず、だから!
うちの場合、陛下の怒り方のほうが怖くないです。ばっさりだから。
李順さんを怒らせたら、もうお終いかも・・・。
怒ってる李順さんも、綺麗なんだろうなぁ。

2013/06/29 (Sat) 16:56 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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