2013_06
23
(Sun)21:37

狼の茶菓子

【設定・原作沿い・臨時花嫁】



《狼のお茶菓子》




色とりどりの、砂糖菓子。

綺麗な形の、お煎餅。

干した果実の砂糖がけ。

柔らかそうなお饅頭。


「うーん・・・・陛下のお好みが、わからない・・・」


_________お茶を淹れながら、眉間に皴を寄せ。


夕鈴は、悩んでいた。










陛下がお渡りになると、いつも、夕鈴はお茶を淹れる。

それは、季節に合わせた花茶だったり、緑茶だったり。

そして、それに合わせたお茶菓子の仕度をする。


__________お仕事でお疲れの陛下が少しでも寛げるように。


夕鈴の、ささやかな努力。


でも。


臨時花嫁になってもう随分とたつのに、いまだに陛下のお好みが分からない。

砂糖菓子も、お煎餅の類も、果物の類も、お饅頭も。

黎翔は一向に手をつけず。

夕鈴が淹れた茶だけを美味しそうに口に運ぶ。


そして、連戦連敗な、夕鈴は。

今日こそは!の思いを胸に、茶菓子の群れとにらめっこ、なのであった。





「夕鈴?どうしたの?」

「っ!は、はい!」


茶菓子に集中しすぎて、黎翔のことを忘れていた夕鈴は、ようやく我に返り。


「あ、ごめんなさい!お茶菓子を選ぶのに悩んじゃって・・・・」


えへへ、と頬を少しだけ染めて笑う。


「たくさんあって、選べない?」


黎翔は嬉しそうに夕鈴を見つめ。


「・・・僕、好き嫌いないから、夕鈴が食べたいのを選んでね!」


にっこりと、微笑む。


・・・・私が食べても意味がないんです、陛下。


肩を落とした、夕鈴は。


「それじゃ、だめなんですよ・・・・」


はぁ、と、深くため息をついた。









_______________かわいいなぁ。


色とりどりの茶菓子を前に、真剣な顔で悩む夕鈴に、頬が緩む。


・・・女の子は、甘いものが好き、なんだよね、確か。


今日はどれを食べようか悩んでるのかな。

いっぱい食べてくれていいのに。

夕鈴が気に入ったお菓子があったなら、教えてもらおうかな。

たくさん取り寄せて、政務室にも執務室にも常備して、夕鈴がもっともっとずーっと、僕と過ごしたくなるように・・・・



_________なんて、思っていたら。



「それじゃ、だめなんですよ・・・・」


意外な呟きが、聞こえた。


「ねえ、夕鈴?どうして『だめ』なの?」


夕鈴が怯えないよう、なるべく柔らかい小犬で問いかける。


「う・・・・・えっと。」


ああ、もじもじと躊躇う君も、可愛い。


「うん、なあに?」


頬が緩んでいるのが、自分でもよく分かる。


「あ、あのですね・・・・・陛下は、いつもお仕事ぎっちりみっちりで・・・・」


え?僕?


「ほ、ほら!机仕事が苦手だって、以前仰っていらしたじゃないですか!」


「う、うん。」


「だから!甘いものを召し上がって頂いたら、少しでもお疲れが取れるかな、なんて・・・」


「・・・・・」



参った。

僕のため、か。



黙り込んでしまった僕に、夕鈴が慌てだす。


「ご、ごめんなさい!ご迷惑でしたよね!すぐ片付け_______」


パタパタと、茶菓子を仕舞いだす君の頬は、これ以上なく真っ赤になっていて。

込み上げる嬉しさが、僕を支配する。


「____________夕鈴?」


立ち上がり、そっと手を掴み。

唇を寄せ。


「____________あのさ、夕鈴。」


「は、はいっ!」


これ以上なく赤くなった夕鈴の頬を、そうっと撫でる。


そして。


「私好みの茶菓子を、準備してくれるなら__________」


「っ!」


何かを察知して後退る夕鈴の腰を引き寄せ。


「___________『これ』が、いいな・・・」


赤く色づいた、ぷにっとした頬に、そっと齧り付く。


兎が知りたがっていた、狼好みの茶菓子。


僕を癒してくれる、極上の甘味。


齧り付いて、ぺろりと舐めて。


「・・・うん、やっぱり夕鈴が一番、甘い。」


耳朶を食みながら、考える。

一日の疲れを癒す、甘い甘い、菓子。




・・・ねえ、夕鈴。


食べても、いい?
  
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2013/06/23 (Sun) 22:05 | # | | 編集 | 返信

どうぞどうぞ お召し上がり下さいませ
ほほほ(*^^*)

2013/06/23 (Sun) 22:26 | 織座 #iPUlC.7. | URL | 編集 | 返信

からあげ様へ

ほんしー、本誌!明日は、明日こそはー!
悔しいので、陛下に兎さんを齧って頂いて、妄想で萌えを補完してみました。

2013/06/23 (Sun) 22:46 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

織座さまへ

では、遠慮なく。
いただきます。
ぺこり。

2013/06/23 (Sun) 22:47 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

まいった!

僕のためか。
くはっ(*´д`*)
投げ飛ばしたいくらい好きだぁぁーぁー!!←
ガジガジ食べちゃえ!
夕鈴。好き。←
なんでそんなに可愛いの?
陛下。投げ飛ばしたい(*´д`*)
好きだから~~~!←
完全崩壊です。

2013/06/23 (Sun) 23:04 | 羽梨 #- | URL | 編集 | 返信

Re

ええ、ガブっとね、陛下。
甘くて美味しい兎さん。いいなぁ、私も食べたい!←
陛下を投げ飛ばすと、李順さんに捕まりますよ?ふふ。
「いけない方ですね」
って、耳元で囁かれますよ?ふふふ。

2013/06/23 (Sun) 23:17 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

どうぞぉ――――!!!!
…と言って後ろから突き飛ばす役目を私に下さい(笑)
その後は陛下にすら察知できないような距離をとって、超好感度望遠カメラで遠くから堪能させて頂きます♪
ええ、決してお邪魔は致しませんから!(←馬鹿)

2013/06/24 (Mon) 22:14 | 水無瀬りん #- | URL | 編集 | 返信

水無瀬りん様へ

是非突き飛ばしてやってください。笑
陛下の視力VS超好感度カメラの対決ですね!
その際は是非呼んで下さい!ふふー。

2013/06/25 (Tue) 09:51 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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