2013_06
06
(Thu)18:49

義兄

6月6日は、「兄の日」だそうです。

いろんな「兄」がいますが、ぽんっと浮かんだのが、「義兄」で。笑


お時間のある方、お暇つぶしにどうぞ~。





【設定・未来・夕鈴正妃です】



《義兄》



僕の「義兄さん」は、少し・・・・いや、だいぶ・・・・普通とは、違っている。

誰もが振り返るほどの美貌。

誰をも震え上がらせる威圧感。

誰をも従える威厳。


そして。


正妃だけに向けられる、惜しみない愛情。











僕は、汀青慎。

官吏になってまだ二年目の、ひよっこだ。

姉は、汀夕鈴。この国の正妃・・・なのは、秘密だ。


今日の僕は、非番。


「身体の調子を整え、いつ何時でも陛下のお召しに万全の状態でお応えするのも、仕事だ!」


柳方淵殿のセリフだ。

いつも眉間に皴をよせ、不機嫌そうに見えるけど、方淵殿は僕をいつも気遣ってくれる。

民間出身の僕が肩身の狭い思いをせぬよう、わざと大切な案件を僕に回してくれるし。



昨夜遅くに退庁するときも、ぶっきらぼうに大きな包みを下さった。


「・・・・帰ってから、開け。」


ずっしりと重いその大きな箱には、庶民の手には入らない貴重な書物や、滋養のつく食べ物。筆。紙。墨や硯。・・・・官服まであった。


『姉君からの預かり物につき、気にせず受け取るように。』


短い手紙が添えられていて、驚く。


・・・そうか、方淵殿は、ご存知なんだ。


ほっとしたような、困ったような。

少し、不思議な気持ちだった。







せっかくの姉の心遣いを無駄にしたくなくて、僕は書物を広げた。


「すごい・・・。これも、これも。」


ずっと読みたかった書籍ばかりだ。


時も忘れて読みふけっていると、ふいに、いい匂いが漂ってきた。


「・・・あ。」


まさか、と思い、慌てて台所を覗くと・・・・やはり、そこには姉がいて。

そして、やはり、にこにこと嬉しげな『義兄』もいて。


昨日渡された食材はこのためだったのかと、得心する。


「青慎!もうすぐお昼ができるから!」

「青慎君、僕も一緒に食べていい?」

「陛下はダメです!すぐにお帰り下さい!」

姉の容赦ない叱咤が飛ぶ。

「ええー・・・・ちょっとだけだからー・・・」

王宮とは別人の、義兄の情けない声に、姉の勢いが弱まり。

「う・・・ちょっとだけ、ですよ?!青慎の分しか準備してないんです!」

「「ええっ?!」」

奇しくも、義兄さんと僕の声が重なった。

国王陛下を差し置いて、自分だけ昼餉を摂るとか、ありえないから!姉さん!!

哀しげにうな垂れる義兄。


「・・・・・ゆーりんは、ぼくのこと、きらい、なの・・・?」


ほら、義兄さんが拗ねちゃった。


「そうじゃ、なくて!・・・その、青慎はたまにしかこんなご馳走食べられないし・・・!」


姉さんは料理する手を休めない。


ああ、姉さん・・・・

ほら、ますます義兄さんがへこんじゃった。


「あの・・・・義兄さん。」

「・・・・せいしんくん・・・」

「____________ごめんなさい。」

「ううん・・・・君のせいじゃないよ・・・・」

「でも・・・」

「________ねえ、青慎君。」

「なんでしょう?」

「あのさ・・・・・」


ふいに、義兄の顔つきが変り。


「___________ごめん、ね?」


僕にしか聞こえないように、低く囁くように、呟いた。


驚く僕に、義兄は続ける。


「こんな風に、日々を穏やかに過ごせたはず、なのに・・・・僕が、夕鈴を」

「___________それ以上は言わないで下さい・・・怒りますよ?」


僕はにっこりと、義兄を見上げた。


「・・・・そんなこと、大したことじゃないんです。僕にとっては。」

「青慎、くん?」

「僕にとって、大事なのは___________姉が『幸せ』かどうか、なんです。」

「__________そっか・・・・」

「だから、どうか、姉を・・・・守って、下さい。」

「ああ。わかった。」


くるくると動き回る姉を見つめる義兄の表情は、この上なく優しくて。


見ている僕まで、優しい気持ちになった。








翌日、王宮では。


正妃に手作りの食事をねだる王の姿が、あちこちで目撃されたらしい。

C.O.M.M.E.N.T

可愛いなあ(*´д`*)

方淵を好きになりそうになった((((゜д゜;))))
姉弟と知ってるって、ツボです。
陛下と義兄さんを使い分ける青慎もツボです。
ツボツボなお話で堪らんです。
一番ツボなのは、青慎のご飯しか作ってあげない夕鈴だったりします(笑)
各所で目撃されるおねだり陛下も可愛らしい・・・。

2013/06/06 (Thu) 20:48 | 羽梨 #- | URL | 編集 | 返信

Re

「汀」青慎、ですからね。
方淵あたりがちょっと調べれば、すぐ分かっちゃうんでしょうね~。ふふ。
青慎と正妃の間柄を調べて、ある一定以上まで踏み込むと、必ず浩大が現れるわけですよ。
それで、
「・・・知らんぷりするのと、本当に何も分からなくなるのと・・・・どっちがいい?」
とか訊かれちゃうのですよ。
きっと方淵も死を間近に感じた事かと。
水月さんは、ボーダーラインに手が届きそうになる前に、察して手を引きそうです。
昼食。
やっぱり、愛しい息子の昼食には気合が入りますが、平日休みの夫の昼食に気合は・・・ねぇ。
さすがの私も、あのGW10連休の昼食作りはイヤでした。
そんな事も考えながら書いたから、こんなことに。
夕鈴は陛下にご飯作ってあげたのかなぁ。
きっと、作ってあげたんだろうな。やさしいなぁ。

2013/06/06 (Thu) 21:48 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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