2013_06
04
(Tue)10:59

普通

ただのおバカな夫婦のお話です。

笑って読み流せる、お心の広い方のみ、どうぞ宜しくお願いします。




【設定・未来・お子様あり】


《普通》



それは、久しぶりに下町に帰省した時のこと。


気の置けない女友達同士の、他愛のないおしゃべり。

みんなそれぞれに幸せな家庭を持ち、母となっても、変る事のない、女同士のおしゃべり。


・・・・ただ昔と少し違うのは・・・その内容に、艶が生まれたこと。


「・・・それで、夕鈴はさ、まだ旦那様とは一緒の寝室なの?」

「そうよ?」

「うそっ!寝台も一緒?!」

「・・・そう、だけど・・・?」

「ええええっ?!私ならムリ!絶対イヤ!!」

「私も!子どもと寝るほうが安らぐし、いい匂いだし!!」

「・・・・え?・・・・え?」


________うそ。

みんな、旦那様とは寝所は別なの?

うーん、と考え込んでしまった夕鈴を、友人達は生温かい目で見つめ。


「__________さて、夕鈴?」

「なに?」

「・・・・正直に、答えなさいよ?」

「・・・・・え?え?」



夕鈴は、『旦那様』との日常を、洗いざらい吐かされる羽目になった。




__________そして。


夕鈴が得た結論は。


「・・・・・私、おかしい?」



というものであった。












実家から戻った夕鈴の様子が、おかしい。


いつもと変らぬ笑顔なのに、なんだかよそよそしくて。


いつもならそっと頬に触れて起こしてくれるのに、今朝は触れてもくれなかったし。


それなら自分から、と、「ぎゅぅっ」としようとしたら、慌てて逃げるし。


下町では、女友達とおしゃべりして、いつもと変らずに過ごしてた、って報告受けたけど。


うーん・・・・・どうしたんだろう。







思い悩む黎翔は、政務室で侍る夕鈴の姿を無意識に観察していた。




・・・・うん。身体の調子が悪いわけじゃなさそうだ。


ああ、あんなに頬を染めて・・・・かわいいな。


耳朶まで、真っ赤だ。


さくらんぼみたい。


むにっ、と食むと、とっても美味しいんだよね・・・




「・・・・か・・・・・へい・・・・・・か、陛下っ!!!!」


「っ!!」


李順の声に、黎翔の彷徨っていた意識が戻り。


「____________ご休憩を、なさってはいかがですか?」


まったくもう、と言わんばかりの表情でため息をつく側近に、感謝の念が湧く。


「そうだな。」


黎翔はさっさと夕鈴を抱き上げると、四阿へ向った。












「陛下、おちゃ、お茶をお淹れします!だから離してください!」


人払いされた四阿の長椅子で、黎翔に抱きしめられたままの夕鈴は、焦った。


____________『おかしくない』ようにしなきゃ!!


夫の体温と優しい香りに、寛いでしまいそうになる自分を必死に押さえる。


なのに。


「___________だめ。」


すりすりと、夫の頬が自分のそれに寄せられ。


「____________っ!!」


せっかく、『普通』にしよう、って頑張ってるのに・・・・!


情けなさに、涙が零れた。



急に泣き出した夕鈴に、黎翔は驚いて身体を離し。


「ええっ?!どうしたの?!どこか痛いの?!」


小犬全開で、ワタワタと慌てる。


「ち、ちがっ・・・・」


「痛いんじゃ、ない、の?」


こくん、と頷いた夕鈴に、黎翔は胸を撫で下ろした。


「よかったー・・・。でも、なんで?」


ぽろぽろと零れる涙に、黎翔はそっと唇を寄せ、頭をそっと撫でる。



・・・その、温かくて優しい感触に、


_____________もっと。


そう思ってしまった自分を、夕鈴は恥じた。



そして、少し深呼吸をして、自分を落ち着かせ。


夕鈴は、ようやく口を開き。


「・・・・驚かせてしまって、ごめんなさい。」


ぺこりと、頭を下げ。


「実は、ちょっと反省しなきゃいけないことがありまして・・・・」


ぼそぼそと、話し出した。





自分は、世間一般の『妻』に比べて、『夫』に甘えすぎなんじゃないか。

できるだけ一緒に過ごしたい、と思うし。

できるだけ、触れていたいと、思う。

一緒の寝所で寝たい、と思うし。

子ども達と過ごすのは大好きだけど、やっぱり、『夫』と一緒も、心地よくて。




「_____________だから、もう少し『普通』になろうと思って・・・」


「・・・・今朝から一度も私に触れてくれなかった、という訳か?」


くすりと笑い、黎翔は妻の顔を覗き込んだ。


「う・・・・そう、です。だって、私みたいに旦那様を起こしたりする人、他にいなかったし・・・」


「なるほどな・・・・。さて、と。________浩大!!!」


笑みを濃くした黎翔は、隠密を呼ぶ。


「なに~?」


「李順に伝えろ。私は今日は休みだ、とな。」


「・・・・ぶっ・・・・」


「何か言ったか?」


「いえいえ、了解!」


あっという間に、浩大は姿を消し。


夕鈴は急な展開についていけず、きょとんと首を傾げる。


「あの、陛下?おやすみ?」


にっこりと笑い、黎翔は夕鈴を抱き上げ。


「うん、お休み。絶対、お休み。今日はもうどこにも行かない。」


「え?なんで?」


「嬉しすぎるから!!!」


____________狼は尻尾を盛大に振りながら、楽しい一日の過ごし方を考え始めた。




『普通』になりたがった兎は、というと。


____________もう、『普通』じゃなくても、いいです。


翌朝、起き上がれなくなったわが身を悔やみ、心から反省したという。

C.O.M.M.E.N.T

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2013/06/04 (Tue) 11:26 | # | | 編集 | 返信

Re

・・・・ふっ。
羽梨様のご想像通りですよ。
ふふふ。
女友達は、容赦ない・・・。
羽梨様の「男の子陛下」楽しみにしてます!

2013/06/04 (Tue) 11:30 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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