2013_05
31
(Fri)13:21

皇子の願い⑤

珀清翔(長男にして、李順の長女と夫婦。李家に居候中。)
珀明翔(次男にして、時期国王・・・なのは、まだ内緒。)
珀桜花(三人兄弟の末子。長女にして、女王。几鍔の嫁になることが決まっている。)

李芙蓉(李順さんの奥様。)
李玉華(李順さんの長女。清翔の妻。姉さん女房。)


この他にも、オリキャラさんが出てくる予定です。


苦手な方は、ご無理なさらず!!




《皇子の願い5》





どれほど立ち尽くしていたのだろう。


「・・・・ほら、帰るぞ」


背後からぽんと肩を叩かれるまで、明翔は夕日を浴び続けていた。


「几鍔おじさん。」


「・・・桜花から連絡が来た。心配してたぞ?」


「あ・・・もう、夕暮れですか。」


子どものような明翔に、几鍔はやれやれとため息をついた。






三人兄弟の真ん中の明翔は、手がかからなくて、よく気が利く子だった。

いつも兄や妹を気遣い、両親が笑顔でいられる様に、手を回し。



まだ子どもだった清翔が、毒の食事のせいで『病弱』と囁かれていた頃も。

逆臣に攫われた桜花が、歯を食い縛って辱めに耐えた時も。


___________気付かぬ振りをし。痛みを隠し。怒りを押し殺し。声を飲み込み。


晴れやかな笑顔だけを、家族に見せ続け。


「守りたい」ただそれだけが、コイツの望みで。


コイツは___________よく、似ている。記憶の中の、俺の幼馴染と。




初めて見る明翔の表情。

どこに行ったらよいのか分からず途方に暮れる、迷子の顔。


「__________難しく、考えすぎなんじゃねぇか?」


自分と同じくらいの背丈の明翔の肩に、几鍔は手を回した。












離宮。



「・・・・それで、太子は今王宮だよ。なんか桜花ちゃんと内緒話ししてる。」

「内容は。」

「聞かせてもらえると思う?あんたの子だよ?陛下。」


浩大の報告は続く。


「それで・・・浩大、明翔の様子はどうなの?」

「あー・・・だめ。全然ダメだって、本人が言ってた。」

「何があったのかしら・・・」

「えーっと、それはー・・・ねぇ、陛下。」


浩大は、黎翔に助け舟を求めた。


「・・・・・あのさ、夕鈴。」

「はい、陛下。」

「明翔も年頃の男の子なんだから・・・ほら、悩みの一つくらいは、ね?」

「・・・・あ、そういうことですか。・・・どちらのお嬢さんなのかしら。あの子、粗相してないといいけど・・・」

「あー、その辺は大丈夫。手は早いけど、粗相はしない人の息子だから________って、陛下!なんで小刀投げるの?!」

「うるさい。」

「_______________手が、早い?誰が、誰に?」

「ちょ、夕鈴誤解!!誤解だって!!夕鈴にしか、僕は手を出してないから!!ね?!」


報告は、なかなか進まない。










王宮。



「________玉華が、どうしても首を縦に振らないんだよ・・・」


清翔は心底困っていた。


「白陽国に必要なのは、臣下出身の正妃じゃなくて、交易で巨利をもたらす異国の皇女だ、って言うんだ。」


「・・・・・」


桜花は、無言だ。


「毎日毎日、『君しか要らない』って言葉を尽くして行動にも表してるのに・・・・絶対、うん、と言わない。」


「・・・・・それは、李順さんの娘ですもの・・・ある意味お父様より手強いですわね。」


「それで、泣くんだよ。玉華。」


「え?玉華さんが、泣くのですか?!」


桜花は心底驚いた。


「私、玉華さんが泣いたところ、一度も見たことありません!」


「____________泣くんだ。抱かれながら、すごく、哀しそうに。」


「あ・・・・・」


「ねえ、桜花。どうしたらいい?」


「・・・・・・・」



どちらからともなく、ため息が漏れた。












日も暮れ、夜の帳が下りる頃。


離宮の中庭で、黎翔は月を見上げて立ち尽くしていた。




_____________やっぱり、許せない。


自国に侵攻し、妻と娘を奪おうとした、翠国の前国王。

今の国王・玉環は、温厚で勤勉。前国王の甥に当たるが、血は、遠い。


____________明翔が翠国の皇女を娶る。


外交的には、これ以上ない縁談かもしれない。


もう何年も前の、全てが終わっている事を蒸し返すのは、狭量だ。

明翔が心から想うのなら、良いではないか。

明翔が想う相手なら、きっと気立ての良い皇女なのだろう。



だが。



『・・・・へい、か・・・・黎翔様・・・』



翠国の離宮に夕鈴と桜花を奪還しに行った、あの時の。

自分の姿を認めた妻の、あの表情と、震える身体。


思い出すだけで、身が焼けるようで。


「______________すまん、明翔・・・」


やっぱり、いやだ。


黎翔は、自分の狭量さを呪った。


皇子願い⑥へ

C.O.M.M.E.N.T

むむぅ。

やっぱりそこは許せないのが陛下だと思いますよ。
夕鈴に関しては、底なしに狭量であって欲しい。
愛だもの!
それを乗り越えてこその恋の成就ですわよ!明翔くん。
ところで、妹に妻が抱かれながら泣くんだと相談する清翔くん。
ドキドキしたじゃないかー!
良すぎて泣くみたいに聞こえちゃう!
哀しそうに。がなければ。
玉華ちゃん、もうギリギリの精神状態?哀しい気持ちにさせてると義父上に叱られない?←叱って欲しい。

2013/05/31 (Fri) 17:46 | 羽梨 #- | URL | 編集 | 返信

Re

陛下の狭量さにてこずり、お話しが停滞してしまいましたよ。笑
続き、UPしました。少し動きが出ます。
さてと、蚊帳の外だった夕鈴に、頑張ってもらいましょうか。

2013/05/31 (Fri) 18:48 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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