2013_05
15
(Wed)23:11

兎の逆鱗

夕鈴は何に一番怒りを感じるのかな、と、ぼーっと妄想していたら、こんなSSができあがりました。


お時間のある方、お暇つぶしにどうぞ。

お心を広く、お願いします!!



【設定・未来夫婦・お子さまなし】

*夕鈴正妃です




《兎の逆鱗》




自分がなんと言われようと。

あの人のことを悪く言うのだけは。

_________それだけは、許せない。










「_____________狼陛下も所詮は・・・・」

「老臣どもの傀儡に過ぎん、ということか・・・・」

「血のように、紅い瞳」

「血を見るのが好きらしい」

「陛下が溺愛している后も、いずれは_________」

「ボロ雑巾のように捨てられるさ・・・・」





ひそひそと交わされる、悪意に満ちた会話。

権力に擦り寄ることしか出来ぬ官吏たちの、憂さ晴らし。



「・・・・・・・・。」

偶然通りかかった夕鈴は、『后』という言葉に思わず足を止めたが、会話の内容までは耳に届かず。

_______立ち聞きなんて、はしたないわよね。

後宮へ戻ろうとした、その時。


「__________愚王め」


聞いてはいけなかった言葉が、耳に飛び込んできた。



夕鈴は、生まれて初めて知った。

人間、怒りが極まると、笑みが浮かぶのだ、と。





ガタン。

扉が開く音がし、ビクッと、官吏達が振り向く。

そこにいたのは________美しく微笑む正妃。

その優雅な姿に、彼らは安堵して口を開いた。

「これはこれは、正妃様。このようなむさくるしい部屋へ何用ですかな?」

正妃は一層笑みを深め、扇で口元を隠しながら答える。

「・・・・・なにやら興味深げなお話しですわね・・・・・私もお伺いして宜しいでしょうか?」

「________な、にを・・・・」

うろたえる官吏たちの背後には、明るい笑みの隠密が一名。

「・・・諦めた方がいいぜ?」

それはそれは楽しそうに、鞭を撓らせる。



「・・・私の大切な陛下を侮辱なさいましたわね・・・・?」

正妃の凄みのある微笑に、彼らは青ざめ。

「_______浩大。お願い。」

鈴の鳴るような夕鈴の声が、響いた。









「何やってんだ、おめえら!!!キリキリ動け!!!」

几商店は、今朝も大忙しだ。

積荷の確認、運搬にとどまらず、店内の作業も山ほどある。

きびきびと動き回る几商店の面々の中に、異様に動きの鈍い者達が混ざっていた。

店のものに小突き回され、おろおろと彷徨うその様は、滑稽ですらあり。

「まったく・・・なんて使えないモノを送り込んできやがったんだ・・・面倒ばっかりかけやがって・・・」

台帳を片手に、几鍔は空を見上げてため息をつく。

「ったく、仕方ねえなぁ・・・でも、まあ。アイツの頼みなら仕方ねえ・・・・・性根を叩きなおしてやるか。」


________最近忙しかったからな。


憂さ晴らしには、ちょうどいい。


几鍔は楽しげに、少々年嵩の『新入り』に笑みをくれた。
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