2013_05
13
(Mon)18:35

テニススクールで、的に向ってストロークしていたら、こんな妄想が浮かびました。笑



【設定・臨時花嫁】


《的》




小刀を、的に正確に突き立てる。

タンッと一本。

トンッと二本。

ダンッと三本。

ドンッと四本。


「_________あと一本・・・」


ぎらつく紅い瞳に、喜色が浮かぶ。

左手から右手に、小刀を持ち替え。

「_________利き手ばかりでは鍛錬にならんな・・・」

的に向って、呟いた。





「へ、陛下・・・・マジ?」

『的』が口を開く。

「ああ、もちろんだ。」

平然と、笑みを浮かべる黎翔。

「・・・・逃げても・・・・」
「逃がさん」

「ちょ、ほんとに誤解です!誤解!!勘違い!!」
「――――――見苦しいぞ。浩大。」

狼陛下が極上の笑みを浮かべ。
浩大の背に、嫌な汗が伝う。

「へーか・・・本当に、違うって。」
「・・・妃の白い肌を味わったお前に、弁解の余地はない」

「味わってないです!!本当に!誤解!誤解だってば!陛下―――!!!」

ガンッ

最後の小刀が『的』に当たり。
浩大の悲鳴が、むなしく響いた。





遡ること、一刻前。

浩大はいつものように、夕鈴の護衛についていた。

今日の護衛は、いつもと違った。

なぜなら・・・・刺客が誰か、あらかじめ分かっていたから。

新入りの、女官。

彼女がクロなのは、先刻承知。

ただ、証拠がなく、泳がせていたのだ。


「お妃様、襟元に小虫が・・・失礼致します。」

何も知らぬ夕鈴は素直に動きを止め。

刺客は物静かに、標的に近づき、襟元に手を伸ばす。

――――――その指先に摘まれているのは、小さな、針。

小さな毒針が、夕鈴の肌に届く直前・・・・浩大の鞭が刺客を捕縛した。

が。

「っ!」

ほんの少しだけ、針先が夕鈴の肌に触れ、浩大は青ざめた。

夕鈴の襟を肌蹴させ、針が触れたと思われる首筋に吸い付く。

血の味を探り、毒の味を確認する。

―――――――大丈夫。刺さって、ねえ。

ほっとため息をつき、刺客を改めて縛り上げようと、振り返った浩大が見たものは・・・・・周囲の景色を黒く染めるほどに、どす黒い怒気を発する、黎翔の姿で。

―――――ああ、やっちまった。

一瞬で、浩大は死を覚悟した。








翌日。


「浩大?!どうしたの?」

掃除婦姿の夕鈴は、老師の部屋で倒れ伏した浩大を見つけて、慌てて駆け寄った。

・・・・が、老師が夕鈴を押しとどめる。

「掃除娘・・・小僧に近づくでない。」

「え?どうしてですか?・・・だって、具合が悪そう」

「小僧のためを思うなら、今日は近づかんでやってくれ!!」

必死の表情で、老師は夕鈴を説得し。

「・・・たいした事はないのじゃ。身体が悪いわけでも、怪我をしたわけでも、ないからの。」

「・・・・そうなんですか?」

「・・・・まあ、そうじゃな・・・疲れが出たんじゃろう。精神的な、な。今日は寝かせてやれ。・・・おぬしも浩大がおらんでは心細いじゃろうから・・・今日は陛下のお側に居るが良い。」

「は、はい・・・」

首をかしげながらも、夕鈴は言われるがまま、妃の衣装に着替え。

一日中、政務室で黎翔の膝の上に座る、という苦行を強いられたのだった。
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