2013_05
12
(Sun)23:12

【設定・原作沿い】


《鏡》


美しく結われた髪。

施された化粧。

侍女さんたちは、「まだ足りない」と言うけれど・・・充分に飾られた、自分。

毎朝鏡を見るたびに。

昼に、夕に、化粧直しをされる度に。

私は鏡の中の「妃」に違和感を抱く。

・・・その違和感も仕事の内だと分かってはいるけれど。


教えられたとおり、上品に。

少し口角を上げ、唇は軽く閉じ。

目は、細めすぎず、開きすぎず。

瞳の光はほどほどに。


_________鏡の中の私は、「妃」。












『_________またお前か。』

今日も鏡に映る自分を見つめる。

暗く光る紅い瞳。

闇のような髪。

酷薄な薄い唇。

死人のような、白い頬。

鏡の中の、「狼陛下」が自分を見下す。


冷酷非情の二つ名に相応しく。

底冷えのする瞳で。

自分自身を、見透かす。

鏡の中の自分は________「王」






どこまでが虚で、どこまでが実か。

曖昧なままに、今日も「王」と「妃」は睦み合う。

互いの真実を欲しながらも、「演技」をする。

「演技」の微笑が、鏡の中とは異なることに、気付かぬよう。

自分自身に、「演技」をする。


零れ出る笑みは、演技か真実か。

考えぬよう______目を、瞑る。
  
«  HOME  »

C.O.M.M.E.N.T

コメントの投稿

非公開コメント

トラックバック