2013_05
11
(Sat)15:13

不快感(「会心・続」の裏話)

【設定・未来夫婦】

「会心・続」の裏話的なSSです。

*ご注意!!
李順さん一家(オリキャラ奥様子ども)&皇子様(オリキャラ)しか登場しません!




《不快感》




_______そう、まだ子ども。子どもだ。

_______そう、このあどけない寝顔。

_______そう、この小さな手足。



・・・・・なのに、なんでしょうか。

娘の手を離さない皇子に対して湧き出す。

_______この、言い知れぬ不快感は。









後宮の、清翔の部屋。

王命により呼び寄せられた李順一家は、まだ幼い清翔の子守を勤めていた。

皇子・清翔と、李順の息女・玉華は、大変に仲がよく、降ってわいた『お泊り会』に大喜びで。

「________わぁ!!なんて大きな寝台!ふかふかですね、清翔様!」

「気に入ってくれてよかった。玉華が来るって聞いたから、ほら、可愛い枕も準備してもらったんだよ?一緒に寝ようね!」

きゃあきゃあと、大騒ぎだ。



________一緒に、寝る?

「清翔様!!だ、だめですっ!!!」

とんでもない!と、李順は顔色を変えて叫んだ。

・・・・が。


「「なんで?」」


きょとんとした顔の可愛らしい子ども達に、返す言葉が見つからず。

「そ、それは・・・・」

目を泳がせ、妻に助けを求める。

小さく口元を押さえて笑いを堪えながら、芙蓉はそっと口を開いた。

「玉華?清翔様は、太子様ですよ?」

「・・・・・はい。」

首をかしげて、玉華は母の目を見つめる。

「太子様の寝台でご一緒にやすむ、というのは・・・・お妃様のお仕事ですよ?玉華?」

「そう、なのです、か?」

「ええ、そうなのですよ、玉華。」

こくん、と頷き、玉華は清翔に向き直り。


「・・・清翔様、申し訳ございません。ご一緒に休むことは不敬にあたりますので、私はこちらの長椅子で休みますね。」

にっこりと笑顔で、告げた。

李順はほっと胸を撫で下ろし、この件はこれまで、とばかりに、碁盤を出し、卓に置き。

「________さあ、太子様。碁でもなさいませんか?」

殊更に明るく、声を掛けた。


・・・・・のだが。


「___________玉華。」

清翔は、碁盤に見向きもせず、玉華の手をとると、にっこりと美しく笑い。

「僕の、妃になって?」

その小さな手に、さも当然、とばかりに・・・・口づけた。





____________さすが、陛下の御子。

一瞬あっけにとられた李順は、急いで自分を立て直す。

「皇子!!そういう事は軽々しく口にしてはなりません!お立場をおわきまえ下さい!」

軽く既視感を感じながら、なんとか口を開く。

「こんなことを誰かに聞かれでもしたら・・・・・・っ!」

刹那、ぞくり、と背筋に悪寒が走った。


・・・これは、まさか。

恐る恐る、李順はその「まさか」を確認する。


・・・・ああ、やはり。

光る、紅い瞳。
薄く笑みを含んだ、唇。

「__________李順。」

「はい・・・・・」

陛下、と答えそうになったのを何とか飲み込んだ。

「李家の息女を妃に迎えることに、何の不都合がある?」


瞳の紅が、より濃くなり。
笑みに、怒気が混ざる。


________これは、まずい。

清翔の『本気』を感じ取った李順のこめかみに汗が伝う。



大切な娘を『後宮』に?
・・・・・ああ。申し訳ありません、皇子。
_____そればかりは、許可できませんね。



一瞬で腹を決めた李順の纏う空気が、変じ。

つい、と、細く長い指が眼鏡を持ち上げる。

優しい父の顔から、『狼陛下の側近』の顔へ。


_________まだ子どもと言えど、相手は『狼』。こちらも本気でかからねば・・・


・・・・不穏な空気が満ちかけた、その時。




「・・・・皇子。」

よく通る、柔らかい、芙蓉の声が場を変えた。

「娘を妃に、とは・・・身に余る光栄にございます・・・。ですが。」

「・・・・なんだ?芙蓉。」

「娘の気持ちを、聞いてやっては頂けませんでしょうか?」

ふわり、と慈愛に満ちた芙蓉の笑みに、清翔の気配がほんの少し、丸くなる。

「・・・もとより、そのつもりだ。」

清翔は改めて玉華に問いかけた。


「_________玉華、僕のお嫁さんに、なってくれる?」

玉華はにこっと笑い。

「まだ、わかりませんわ・・・だって、私も清翔様も、まだ子どもですもの。」

至極真っ当な答えを返した。

だが、清翔は引かず、少し考え、また口を開く。


「________ねえ、僕が大きくなったら、結婚してくれる?」

「________ふふ、太子様が、大きくお強くなられましたら。」

「うん、大きく、強くなったら・・・だね。『約束』だよ?」

清翔は安心したように笑い。

「それじゃ、碁でも打とうか!」

子どもらしい声をあげた。



その夜は結局、清翔が玉華の手を離さず、二人仲良く寝台に並んで眠ることになったのだが。


当然、寝たふりをしていた清翔は。

先に寝入った玉華の手を優しく握り直し、心の中で呟く。

_________大きく強くなったら、か。

・・・・よかった・・・『王族はいやだ』って言われなくて。

父上より、大きく、強く。

・・・・そしたら、僕のものになってくれる?

なってくれる、よね?
____________玉、華。



李順のじっとりと睨みつけるような視線を感じながら、そんなことを思っているうちに。

清翔も安らかな眠りに落ちていったのだった・・・
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