2013_05
05
(Sun)15:22

李順さんの一日

SNSでキリ番のニアピン記念に頂いたリクエストです。羽梨さま、ありがとうございますー!


【設定・原作沿い】

ご注意!ほぼ李順さんしか出てまいりません!!




《李順さんの一日》


朝。




・・・・眩しい・・・・

目を眇め、李順は目覚める。

寝起きで揺らぐ身体を支え。

深く息を吐き。

ゆっくりと、息を吸う。

寝乱れた柔らかい髪を手櫛で梳き、右肩の辺りでざっとまとめ。

冷たい水を張った水盤で、白皙の顔を洗い、顔を拭う。

「___________さて、と。」

今日の予定が脳裏に浮かび。

まず最初にすべき事を、思い出す。









「____________朝議では特に気に留めるべき案件はございません。・・・が、朝議場から政務室へ続く廊下で、柳大臣が・・・歩きながらで結構ですが、お耳に入れておきたい件があるそうです・・・おそらく、翠国の動向についてかと・・・政務室で通常業務ののち、昼前に、夕鈴殿が来室。『演技』の後、昼食。そのまま王宮へお戻りいただき__________謁見の間にて、氾大臣とその他高官による外交関係の現状報告。後、政務室にて決裁待ちの書簡を_________」


「ちょっと待て李順。」

「なんでしょう?」

書類を片手に、李順は笑顔を浮かべる。

「・・・・・覚えきれないよ?」

「大丈夫です。私が覚えております。」


さらりと交わし、『本日の予定』を最後まで読み上げ。

御前を下がり、官吏の詰め所へ向う。


__________あとは、予定通りに、各部署を動かすのみ。


ふぅ、と安堵のため息を漏らし、李順は自室の椅子に身を沈め。

「___________どなた様も、遺漏なく。」

ふっ、と、薄く笑みを浮かべ。

おそらくは、『予定通り』には行かぬであろう、『今日』を想像する。







昼。



「___________陛下・・・・」

王宮に戻らぬ主と戸惑う臣下を、李順はため息とともに眺める。


・・・ですが、これくらいは想定内ですよ。

李順はスタスタと後宮へ向い、四阿でバイトを弄って遊ぶ王を見つけ出し。

「・・・王宮にお戻りになるお時間です。陛下。」

嫌そうな顔をする主を無視して、バイトに(特別手当出しますよ)と、目配せをし。

「陛下、お仕事頑張ってくださいね!」

朗らかな声援に見送られ、心なしか肩を落とす陛下に従い、王宮へ戻る。


「・・・・李順・・・・今日は早めに上がれる?」

「陛下次第でございます。」

_______いつも通りの会話を交わしながら、陛下の様子を伺う。

・・・少し元気がありませんね・・・

後ほど、夕鈴殿に茶菓子でも差し入れて頂きましょう。





夕方。


夕鈴殿の差し入れの饅頭を食べ、ようやく元気になった陛下に、本日最後の書簡の束をお渡しする。

「これが終わりましたら、本日のお仕事はお終いです。」

「ほんと?!」


夕鈴とごはんー、と嬉しげに呟きながら、陛下はサクサクと書類を片付ける。

にこにこと、嬉しそうに仕事をする狼陛下・・・・こんな姿は誰にも見せられませんね・・・・


このペースだと今日は日暮れには終わりますね。

明日は少しやっかいな案件が入りますから、今日はこれくらいにして、明日に備えねばなりません。

ああ、方淵殿お任せした明日の資料作り。心配は無いと思いますが、事前に目を通さねば・・・

それから、夕鈴殿の特別手当の加算も。


あれこれと思考を巡らすうちに、知らず知らずこめかみに手を当てていたらしく。

「・・・李順、どうしたの?」

珍しく、陛下が心配そうに私を見て下さった。

「なんでもございません。失礼致しました。」

「顔色悪いよ?」

「ここのところ、政務が詰まっておりましたからね。陛下もお疲れでしょう。あと少しですから、お早く終わらせてください。」

「はーい」

素直に筆を動かす陛下を黙って見つめていたら、突然くらりと視界が揺れた。

・・・・なんでしょう・・・・

睡眠も取りましたし、食事もきちんと・・・・・あ。昼食を摂り忘れていました。

方淵殿と明日の資料について少しお話しているうちに、食事のことを忘れていたのですね。

なるほど。それでは立ちくらみが起こるのも仕方ありません・・・・

冷静に分析し、陛下の手元の書簡の量を確認する。

・・・あとあれくらいでしたら、私が倒れる前に終わりますね。

うんうん、と頷いて、廊下に出て侍女を呼ぶ。

「あと半刻ほどで、陛下がお渡りになられると、お妃様に。」

「承知いたしました・・・・・あの、李順様。」

顔見知りの侍女が、そっと目を上げる。

「お顔の色が・・・・」

「ああ、少し立ちくらみがするのですよ。大丈夫です。」

にっこりと笑ってやると、戸惑いがちに侍女が紙包みを差し出した。

「あの・・・砂糖菓子でございます。お疲れのときは甘いものが宜しいかと。」

少し震える指先からその包みを受け取り、

「ありがたく頂きますよ。」

陛下に聞こえぬよう、囁くように礼を言うと、頬を染めた侍女は足早に去っていった。


・・・なかなか質のよさそうな砂糖を使っていますね。色合いが美しい。

これなら陛下の自室に常備しておいても・・・・

包みの中を確認しながら執務室へ戻ると、書簡の山はほぼ崩されていた。


「りじゅんー、もう終わるよ?」

「今しがた、後宮へ使いを出しました。本日はゆっくりとなさって下さい・・・・明日は忙しいですよ。」

「えー、やっぱり?」

つまらなそうに口を尖らせる主を、仕方ない、と言った表情で李順は見つめ。

「・・・・明日が無事に終わりましたら、夕鈴殿に夕食を作って頂きますので。」

ご褒美をちらつかせる。

「ほんと?!じゃあ、頑張る!!」

本当にあなたはあの狼陛下ですか?

と突っ込みたくなるほどの小犬っぷりに、軽く頭痛を覚えながらも、ウキウキと後宮へ向う主を見送り。



「_______________さて。食事を摂って、仕事の続きをせねば。」

自室に積みあがっているであろう、明日の資料と雑多な案件の山を想像し、笑みを浮かべる。

「無理難題をどう処理しましょうか・・・・考えるだけで楽しみです・・・」



繰り返される、忙しくも落ち着いた日々。

「転戦していたあの頃を思えば・・・・まるで夢のような日々ですね。」

少し暗い表情で、李順は呟き。

日暮れ前の、逢魔が時特有の、曖昧な空を見上げる。

「・・・大丈夫ですよ、陛下。陛下は間違ってなどおられません。」

累々と積みあがる、物言わぬ兵士達。
舞う烏。
血に濡れた手。

_________逢魔が時には、あの頃を思う。

それは、李順が自分に科した日課。

忙しい日常にあっても、忘れぬよう。

どれほど政務に忙殺されようと、いつでも立ち返れるよう。

空を見つめ、笑みを浮かべる。


「__________さあ、仕事を続けましょう。」


側近の一日は、まだ終わらない。
抱擁   
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C.O.M.M.E.N.T

結構いつも来ていますが、コメントさせてもらうのは初めてです。
李順さんの一日、すごくすごく良かったです!!
本当きっとこんな毎日なんだろうなって素直に思いました。
本誌の幕間のようで、なにやら自分でもわかりませんが、ものすごくツボでした。
別に李順大好きってわけでもないんですが、あの話は大好きですw
私も別名でSNSに登録はしているのですが、いまいち使いこなせていないので、個人でサイトを立ち上げて下さると、とても有りがたいし来やすいです。
これからも頑張って下さいね!
ちなみに私は陛下が大好きです☆
陛下のお話も待ってます!

2013/05/10 (Fri) 15:15 | 花梨 #- | URL | 編集 | 返信

Re

コメント、ありがとうございます。
この「李順さんの一日」は、今までで一番苦労して書いたので、気に入って頂けて嬉しいです♪
もしよろしければSNSでも気軽にお声掛けくださいね。
これからも、どうぞよろしくお願いします!
あさ

2013/05/10 (Fri) 16:06 | あさ #- | URL | 編集 | 返信

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