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2013_05
04
(Sat)12:28

待ち時間

【設定・臨時花嫁】


《待ち時間》



茶葉を選び、お水を準備して、お湯を沸かして。

茶器を選び、お茶菓子の準備をする。


・・・もう、やることなくなっちゃった・・・・

お妃教育の課題を今日提出したばかりで、特に宿題も無く。

そうだわ、本でも読もう。

そう思いついた時。

紅珠が置いていった巻物が目に入った__________










________遅くなった。

後宮の回廊を大股で歩きながら、黎翔は不機嫌な空気を撒き散らす。

『バイトとお茶を飲むよりも、こちらの書簡のほうが重要です。』

至極当たり前、といった口調でどっさり書簡を積み上げた側近の言葉が甦る。

__________夕鈴とお茶を飲むほうが大事に決まってる。

素直にそう言いたいところだが・・・夕鈴に怒られるし。

『お仕事頑張ってくださいね』

優しい夕鈴の声。

うん、僕頑張ったよ。

だから、今日も一緒にお茶を飲もう?

微笑を浮かべ、徐々に柔らかな空気を纏い始めた黎翔は、見え始めた夕鈴の居住区に向け足取りも軽く_______


_________が。黎翔の足がピタリと止まり。

瞬時に気配が変る。

「・・・なんだ。」

「李順さまより伝言です。『火急の用件がございます。即刻お戻りを』とのことです」

「・・・・・・わかった。」

小さく舌打ちを漏らし、黎翔は踵を返した。








「陛下のお渡りは、少し遅くなられるそうでございます。」

陛下付きの女官からそう告げられた夕鈴は、ふぅ、とため息をついた。


・・・仕方ないわ。陛下のお越しまで、これを読んでおこうかしら。

夕鈴は長椅子に座り、姿勢を正して書簡に挑む。

・・・紅珠。すごいわ。

読み進めるにつれ、どうにも居た堪れない気分になる、きらきらした物語。

正直、自分の知る世界とかけ離れすぎていて、呆然としてしまう。

が。

これも『仕事』。そう割り切って、夕鈴は必死に読み進めた。









_________ふぅ、やっと片付いた。

前々から泳がせていた狢が出した、黒い尻尾。

これでまた一つ、前に進める。

「・・・・そうだよね?_______夕鈴。」

漆黒の闇に向って、問いかける。

自分の中の光に、了承を得るように。

穏やかに、速やかに、歩を早め。黎翔は大切な妃のもとへ向った。






「・・・・・・くっ・・・・・・ぶっ・・・・えぇ?!・・・・なっ!!!!」


愛しい妃の部屋から聞こえる、奇妙な独り言。


「・・・・ちょ、ちょっとまっ・・・・ええ?なに?ちょっと・・・・きゃぁっ!」


夕鈴、誰かと一緒にいるの?・・・まさか、浩大?


「_________もう・・・だめ・・・・」


力の抜けたような夕鈴の声。

それを聞いた黎翔の身体は、考えるより先に動いていた。

「ゆうりんっ!!」

「へ、へいか?!」


黎翔は夕鈴を抱き上げ、ほお擦りをする。

「・・・・よかった・・・・」

「え?え?」

頬を真紅に染め、夕鈴は急な抱擁に戸惑うばかり。


「・・・なに、してたの?」

「あ、紅珠の物語を読まなきゃいけなくて・・・・」

「あー・・・・夕鈴、あれ苦手だよね。」

「・・・はい。なんだか居た堪れなくてですね・・・・」

「そっかー。」



かわいい君の独り言。

愛しい愛しい、大切な、僕のお嫁さん。

今日も一歩前に進んだんだ。

進むたび、僕の手は汚れるけれど。

でも、君の笑顔のためなら・・・・・それで、いい。


_____まるで、床に広がる巻物さながらに、青年王は少女を胸に抱く。


言えない想いを、抱擁に変えて。




今は、二人の待ち時間。

言えない想いを、胸に抱えて。

穏やかに過ごす、貴重な時間。


_________いつかくる、その時までの。幸せな・・・凪の時。

C.O.M.M.E.N.T

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