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2013_04
25
(Thu)09:24

囲い

SNSの我が家で15000人目の「あしあと」を踏んでくださった、A様からリクエストです。

「夕鈴が好きすぎてコントロールがきかない陛下。自己嫌悪に陥るが、やっぱり夕鈴に癒やされて浮上」

という、素敵なリクエストを頂き、嬉しくて書いたのですが。


・・・・なぜ、こうもおかしくなる・・・・





【設定・臨時花嫁】
【少し大人っぽい・・・かな?】


《囲い》


「__________か・・・・!へ・・・・・いか!!」


分厚く頑丈な扉の向こう。

夕鈴は必死に仮の夫を呼ぶ。



「________________________だめだ。」

分厚く頑丈な扉のこちら側。

黎翔は拳を握り締め、奥歯を噛み締める。








ことの起こりは_______夕鈴が、攫われかけたことから。


「たまには里帰りなさらないと、周囲に怪しまれますからね」

そんな李順の判断で、夕鈴に3日の休暇が与えられた。

「・・・・・僕も、ついて」

「「だめです!」」

__________黎翔の申し出が却下されたのは、言うまでもない。




「青慎!洗い張りとか縫い直しとかが必要なもの、全部出しておいてね。あとは掃除と・・・」

「姉さん、せっかくの休暇なんだから・・・・」

「ふふ、大丈夫よ。三日もお休みを頂いたんだから、やれることは全部やっておかないと!」

「・・・ところで、姉さん。」

「なに?」

「今回は・・・その・・・・」

「李翔さんは来ないわよ!!」

真っ赤になって否定する姉と、それを少し眉を下げて見つめる青慎。

「うん。わかった。」

何事かを理解したような表情を浮かべ、青慎は元気に学問所へ向った。






「・・・・あれか。」

「ああ。今朝から休暇で宿下がりしている『王宮の掃除婦をしている娘』で間違いない。」

「掃除婦ごときから、どんな情報を引き出そうと言うのか・・・・」



青慎が出て行ったあとの汀家門前では、商人風の三人の男達がにこやかに談笑していた。



「そんなことは、『上』に聞け。」

「くくっ。俺達は『駒』だからな。言われたとおりのことをするまでだ。」

「・・・・ああ、わかってるよ。」


あくまでも、穏やかに、朗らかに。

男達は人の流れが消えるのを、待ち。

__________するり、と、滑るように汀家へ侵入した。









「____________陛下。こちらの書簡は、本日中に・・・・」

「わかった。」

「陛下。雨季を前に王都周辺の河川の護岸の・・・・」

「わかった。・・・それと、李順。」

「はい・・・・っ。」

ほんの一瞬、李順の動きが止まったが、何事もなく、陛下の前に河川の資料を差し出す。

・・・・上下、逆さに。

黎翔は何も言わずに資料を受け取り、立ち上がった。




書庫の裏には、王のために休息の間が設けてある。

そのあまり広くはない空間で、浩大は跪いて黎翔を待っていた。

「何があった。」

低く冷たい狼の声。

「・・・今朝、『掃除婦』から情報を引き出そうとした三人組が。・・・捕縛済み。」

跪き、俯いたまま、普段の浩大からは考えられない、無機質な声が響く。

「_______っ!夕鈴に、何があった!!!」

黎翔の怒気が、浩大を包む。

「薬を嗅がされかけ、手足を縛られかけた。」

「怪我はっ!」

「なし。薬の影響も、心配ない・・・・・け、どっ!!」

ギリ、と奥歯を噛み締める音が、浩大の唇から漏れ。

黎翔の瞳が、紅く、暗い光を帯びる。

ほんの一瞬、黎翔と浩大の視線が絡み合い、浩大は面を伏せて報告を続けた。

「やつらが『掃除婦』を連れ込もうとしていた家には・・・・拷問道具や、薬だけじゃなくて・・・」

「_________首謀者は。」

真っ白になるほど握り込まれた黎翔の拳から、血が一筋伝う。

「李順さんが。」

「・・・ならば、今頃は牢の中、だな。」

黎翔の顔が青ざめ、浩大はさらに身を硬くする。

「_________ご命令を。」

ピクリとも動かない隠密を見下ろし、黎翔は命を下した。

「_________今すぐ、妃を連れ戻せ。」

黎翔の語尾が消える前に、浩大は姿を消し。

わけがわからぬまま、夕鈴の休暇は終わりを告げたのだった。










「陛下!!!出して下さい!!なんなんですか!!」

急に休暇を切り上げさせられ、後宮へ帰った途端、夕鈴は軟禁された。

「陛下のご命令じゃからのう。・・・掃除娘。しばらくは大人しくしておれ。」

「・・・ちょうど良いではないですか、夕鈴殿。課題をこちらに積んでおきますから、どうぞごゆっくり。」

老師と李順は言うだけ言うと、さっさと部屋を出て行ってしまい。

あとに残された夕鈴は、事態を把握するまもなく、閉じ込められてしまったのだ。




「・・・・・陛下、あれでは少々夕鈴殿がお気の毒では・・・・」

黙々と執務室で書簡を裁く黎翔に、李順が声を掛けた。

「・・・・理由も告げず、閉じ込めるのですか?」

ため息と共に呟かれた李順のセリフに、黎翔の手が止まった。

「__________今晩、話しに行く。」

書簡を見つめたままの黎翔の表情は、李順からは伺えない。

「・・・承知いたしました。」

夕刻までに急ぎの書簡を片付けるべく、李順は宰相の下へ向った。





夜。

「・・・・・私、何かしでかしたのかしら・・・・」

鍵のかかった扉の向こう側で、夕鈴は窓から見える月に問いかけていた。

「・・・閉じ込められたら、お仕事にならないわよね・・・?どうして・・・?」

考えても、考えても、答えは出ず。

「・・・もう寝よ。」

ぽすん、と夕鈴は寝台に身を沈ませた。





________さらり、と髪を撫でられている。

そうっと頬に添えられた、大きな優しい手。

大好きな、陛下の、手。

・・・・でも。

「へい、か?震えてる・・・の?」

夢見心地に夕鈴は問い。

「・・・・・ごめん」

苦しげな声で黎翔は答える。

「・・・怖い、んだ。」

「なに、が?」

「君が消えたら・・・・って、思うだけで・・・・・!」

頬に添えた手から伝わる一層の震えに、ぱちりと夕鈴の目が開いた。

「陛下・・・泣いて・・・」

そっと、夕鈴の手が黎翔の震える手を、引き寄せ。

黎翔の頭を抱きしめるように、包み込んだ。

「どうかなさったんですか?」

「・・・いなくならないで・・・そばに、いて・・・・」




_______まるで幼子のような、貴方の願い。

『いなくならないで。』
『そばにいて』

・・・・それは、いつまで?

じくじくと痛む胸を無視して、私は微笑む。

「_________大丈夫です。陛下のお望みのままに・・・・私は、ここに。」

貴方がそう望んで下さる間は。

「・・・・・・いつまでも。」

私と陛下は、抱き合ったまま_______夜を明かした。





翌朝。



・・・・いい匂い。

温かくていい匂い・・・・

・・・・あれ?温かい、匂い?




寝台でまどろんでいた黎翔は、がばっと起き上がった。


「おはようございます!陛下!」

居間に明るく響く、夕鈴の声。

「朝餉をご用意いたしました。ご一緒に、と思いまして。」

食卓には湯気を立てる粥や皿が並んでいた。

「ふふ。陛下、寝癖が・・・」

そっと夕鈴の手が僕の髪を撫で付ける。

ふわっ、と、夕鈴の香りが漂ってきて、僕は思わず手を差し伸べた。

「・・・・・っ!陛下!何を!!!」

「・・・うん。夕鈴だ。」

「見ればわかるじゃないですか!!はーなーしーてー!!」

「・・・・だめ。」


ぎゃあぎゃあと、騒々しい妃の部屋の外では。

「・・・・ふぅ。まったく朝から騒々しいですね。」

諦めたような笑みを浮かべた李順が、ご機嫌で出てくるであろう陛下の今日の仕事量を増やすべく_____嬉しげに調整を始めていた。
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