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2013_04
24
(Wed)22:11

【設定・未来夫婦】
【少し大人っぽい・・・?】


《声》



耳を擽る、心地よくて優しい、音。

花々がほころび始める春のような、どこまでも朗らかな、音。

僕だけの、きみの。

__________大切な、声。



胸に溢れる、温かくて落ち着く、音。

新緑の木漏れ日が良く似合う、どこまでも清やかな、音。

私だけの、あなたの。

__________愛しい、声。








・・・・朝から変だとは思っていたのよ・・・



政務室でいつもの席に座り、扇で顔を隠しながら、夕鈴は眉根を寄せる。

今朝起きたときに感じた、喉の少しの違和感。

嗽をして、朝餉を取っているうちに忘れていたそれが、今になってぶり返す。



_____ひどくならないうちに、老師に薬を作っていただかなきゃ。

唯でさえ見劣りがするのに、声まで嗄れてしまったら・・・と、夕鈴は焦った。



明日は正妃としての仕事がある。

隣国の大使が交代するので、その挨拶に立ち会うのだ。




________狼陛下の正妃は、声まで・・・・なんて言われたら、陛下に申し訳ないもの。

いまさら容姿は変えられないけれど、せめて笑顔でご挨拶しなきゃ!



夕鈴はぐっと扇を握る手に力を込め、さらり、と優雅に衣擦れの音をさせながら立ち上がった。



「_______どうした、夕鈴。」

立ち上がった夕鈴に、黎翔が優しく声をかけ、官吏達は緩んだ空気に胸を撫で下ろす。


「・・・・・・」


『少し疲れたので、後宮へ戻ります。』

そう言いたいのに、声が気になって、言葉にならない。


「夕鈴?」

・・・・様子がおかしい。

急に立ち上がった夕鈴の様子に、黎翔は違和感を感じた。


________具合が悪いのか?それとも、ひょっとして・・・・怒ってる?

でも、昨夜はそれほどしつこくしたつもりもないし・・・・・ちょっとだけ、無理しちゃったけど。

うーん・・・・・


悶々と考え始めた黎翔の様子を見た李順は、ため息をつき。

「_________陛下、少しご休憩を・・・」

と、助け舟を出した。







誰もいなくなった政務室で、黎翔は夕鈴の頬にそっと触れた。


「・・・ねえ、夕鈴?どうしたの?」

「・・・・・・」

困ったように微笑む夕鈴は、相変わらず、無言。

逃げるわけでもなく、ただ困ったように微笑を浮かべる。

「うーん・・・・何かの、遊び?」

黎翔の困ったような微笑に、夕鈴は思わず口を開き。


「へぃ・・・・・・・・っ!」

「夕鈴?」

思いもよらない嗄れた声に、夕鈴は真っ赤になって口を押さえる。

「・・・・!!!・・・!!!!」

必死に、身振り手振りで、黎翔に『喉が痛い』と訴えてみるも、黎翔の笑みは深まるばかり。

夕鈴はますます頬を染め、『早く老師のところに行きたい』と訴える。

後宮の方向を指差し、一生懸命手足を動かし、夕鈴は必死に意思を伝えようと奮闘した。


「__________くっ・・・くくっ・・・・・はは、ははは!!」

その姿の愛らしさに、黎翔は破顔し、朗らかな笑い声が政務室に響き渡る。


「へ・・・い・・・・ひど・・・っ!けほっ!ごほっ!!」

今度は怒りで頬を染めた夕鈴が、黎翔に詰め寄った。

「ご、ごめ・・・・・くくくっ・・・・あんまり可愛いから・・・・つい。」

「ぐっ・・けほっ・・・・つ・・・つい、って!けほっ!!」



ふわっと覚えのある浮遊感が夕鈴を襲い、優しい腕に抱き上げられたのを悟る。

「・・・ごめんね・・・。」

「けほっ・・・あやまらな・・・・くて・・いい・・・こほっ!」

「しゃべらないで・・・・」

「けほっ・・・明日のおしごとがっ・・・ぐっ・・・けほっ!!」

「ほら______言うこと聞かないなら・・・塞ぐよ?」

「っ!」

ぱっ、と手で口を覆った夕鈴を、悪戯顔の黎翔が覗き込む。

「________私は、君の愛らしい声を早く治してやりたいのだが?」

こくこくと夕鈴が頷く。

「いい子だ。」

にっこりと微笑んだ黎翔は、ちゅっ、と夕鈴の額に口付けを落とした。









「ほれ、正妃よ。少し苦いかもしれんが、ゆっくりと舐めるのじゃ。」

こくりと頷き、夕鈴は老師お手製の丸薬を口に含んだ。

確かにほろ苦いが、我慢できないほどではない。

ゆっくりと口中を転がし、少しずつ、喉を潤すように飲み込んでいくと、徐々に喉の痛みが楽になった。

「_______ふぅ・・・・やっと、声がでました・・・」

ほっと肩から力を抜いた夕鈴に、老師も安堵の笑みを向ける。

「これ、効きますねー、老師。」

残りの丸薬を指先に摘み、夕鈴はしげしげと観察した。

「後宮管理人、秘伝の薬じゃ!」

えへん、と胸を張る老師に、ふと疑問がわく。

「後宮管理人の秘伝、ですか?後宮のお妃様って、喉を痛めやすいんですか?」

不思議そうに首を傾げる夕鈴を、なんともいえない複雑な表情で老師は見つめ、傍らに立つ黎翔に、困ったような視線を向ける。

「_______老師。この丸薬は正妃の部屋に常備せよ。」

にやりと笑った黎翔に、老師は顔を輝かせ。

嬉々として、薬草の調合を始めるのだった。
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