2013_04
06
(Sat)10:40

夕花③

【設定・未来夫婦・お子さま全員&几鍔】

*オリキャラ(お子様達)でます。
*ほとんど、オリキャラと几鍔の未来話です。
*捏造しまくりです。


どうぞご注意下さい!

宜しいですか?

宜しいですね?(しつこい)




《夕花③》


_____________しくじった・・・。

山のような書簡を前に、黎翔は暗い顔で官吏を威嚇する。


『・・・来た!逃げろ、清翔、明翔!』

確かにそうは言ったが・・・・あいつら。

『では、お言葉に甘えて!』

二人がかりで僕を夕鈴に向って突き飛ばすなんて。
まあ、柔らかい胸に向って公然と飛び込めたからそれはいいけど。

・・・・じゃなくて。

「あいつら・・・・・」

ぼそっと独り言を零した黎翔の背を、背後に立つ夕鈴がつんつんと突く。

「お手が止まっておりましてよ?陛下?」

振り向かなくとも、心底怒ったときにだけ見せる氷の微笑が見えるようだ。

仕方ない、と、深くため息をつき・・・・黎翔は開き直った。

「______さて、我が妻よ。夫を手伝ってくれるな?」

くるりと振り向き、艶然と微笑むと、掬い上げるように夕鈴を抱き上げ、膝に乗せ。

「なっ!何を・・・!」

「・・・これくらいしてくれてもいいだろう?大人しくしないと・・・・」

もっとするよ?
そう囁きながら、黎翔は夕鈴の耳朶を甘く食む。

「んっ!」

思わず漏れた自分の声に、耳まで真っ赤になった夕鈴は、もう抗うすべもなく。


(・・・結局こうなりますか。正妃様、申し訳ございません。ですが、これも全て皇子様方のせいですので・・・まあ、半分は正妃様にも責任がございますね。)

視線をさらりと王へ向け、李順は常と変わらぬ冷静さで、新たな書簡の山を崩し始めた。

急に柔らかに変じた政務室の空気に、官吏たちも解凍されたように動き出す。

皆、口には出さないが、心で叫んでいた。

(正妃様、ありがとうございます!!!!)

官吏たちの感謝の念の籠った熱い視線を一身に受け、ますます身を縮ませた夕鈴は、我が子らを恨むのであった・・・・







__________だめだ、仕事にならねえ。

港で荷の確認をしながら、几鍔は苛立ちを隠せずにいた。

・・・桜花のやつ、ほいほい出歩きやがって。
自分がどれほど人目を引くか、わかってんのか?

「・・・・わかってるはず、ねえよな・・・」

自分の容姿に関して無自覚なのは、母譲り。

花が咲くような明るい笑顔と、生き生きとした瞳に、溌剌とした身のこなし。

そして、母にはなかった・・・・漂う気品と、隠せぬ色香。

「・・・・・やっぱり、だめだ。」

几鍔は帳簿を店の者にぽんっと投げ渡し________走り出した。




走りながら、几鍔は思う。

・・・昔っから、アイツはそうだった。

にこにこと俺の後ばかりついて回って。

いつもいつも、一生懸命で。自分の事は後回しで。

ああ、俺も大概お人よしだ。

守ってやらなきゃ、なんて思うなんてな。








目的の商家へ到着したおばば様と桜花は、奥の客間へ通された。

それなりに贅を凝らした作りの客間と、供される茶菓や、香炉から立ち上る高価な香。

それらをごく自然に受け流し、優雅に座す桜花を、商家の主はうっとりと見つめ。

その隙に、おばば様はどんどん商談を進める。

_______気付けば、主は契約書に印を押していた。



その様子を天井裏で盗み見るのは、あろうことかこの国の皇子達。

浩大仕込みの技術が、思わぬところで役に立つ。

「あのさ、兄上。」

「なに?明翔。」

「・・・こういうの、詐欺って言うんじゃなかったっけ?」

「問題ないだろ。桜花に見蕩れるアイツが悪い。」

「・・・兄上、心狭い。」

「父上よりはマシだ。」

「あの人と比べるのは問題あるよ。」

「・・・・おまえ、何気に酷いな。」

「そう?」


______いずれにせよ、一国の皇子がする行いではない事だけは、確かだ。








商談を終え、ほくほく顔のおばば様は、桜花の手に捕まりながら足取りも軽く帰路についた。


普段は手強い商売相手が、桜花のおかげでこちらの言いなり。
帰り際に、桜花の素性をそれとなく探られたが、知り合いの娘だよ、と軽くいなしておいた。

あの店主、『息子の嫁に・・・』とかブツブツ言ってたが、そんなことはこの私が許さないよ!
こっちは何年も待ってるんだよ。それだけの価値がある娘さ。
そう簡単に諦めやしないからね!


女手一つで几商店をここまで大きくした女傑の決意は揺るがない。



「夕花。今日はお前のおかげで本当にいい取引ができたよ。さて、礼は何がいいかねえ・・・?」

思わせぶりに、桜花を見上げる。

一瞬見つめあった二人は、同時に笑みを浮かべ。

「うふふ。それでしたら、是非お願いしたいことがございますわ。」

「・・・だろうね。立ち話もなんだから、昼餉でも食べながら話そうか。」

「嬉しい!温かいお食事なんて、久しぶりですわ!」

「「いいなぁ・・・・・」」
無邪気に喜ぶ桜花の背後に、いつのまにやら黒い影が二人。

「何を言ってるんだい、あんた達も一緒に食べさせてやるよ!今日はいい日だ。遠慮はいらないよ!」

「さすがおばば様!」
「私は、揚げたての餃子が食べたいです!」

清翔と明翔は重苦しい外套を脱ぎ、おばば様と桜花に続いてうきうきと飯店の扉を開けた。




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